FPIおむすビーズの南です。寒くなってきましたね。皆さん冬に負けていませんか?
私は高知県土佐町に移住して三回目の冬を迎えています。土佐町はすっかり寒い。11月にしてすでに灯油ヒーターが大活躍。でももうやっと慣れてきたかな、という実感もあります。
ちなみに私、数年前に東北で暮らしたことがあるのですが、土佐町の冬、東北とそんなに変わらない気がします(笑)
さて皆さん、「冬の食材」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか? 高知で「冬の食材」と言えば、なんと言っても<ゆず>。土佐町では10月末~11月末頃が収穫どきです。
土佐町にはたくさんのゆず農家があります。専業ゆず農家というよりも、自宅の敷地内にゆずの樹があって、他の季節は別の品目を扱っているけれどこの時期はゆずに専念するという農家さんが多いように思います。
この時期はゆずの収穫ラッシュで、農家さんは手が足りません。最近合言葉のごとく「ゆず、採りにこんかえ??」という言葉を聞いている気がします。
そういう状況の中、先日私はゆずの収穫のお仕事の手伝いに行ってきました。今回は、インターンシップの引率でもなく、体験ツアーのレクリエーションでもなく、リアルなお仕事の現場。そこに潜入してきました。
現場はこんなところ
その日、私は、朝5時半起床。7時に同行者を迎えに行き、8時に収穫現場に集合。
今回お手伝いした農家さんはNさんという方で、以前に農業インターンシップのゼンマイ収穫をさせて頂いたお宅です。
Nさんの実家の母屋
家から見える景色
Nさん宅のゆず畑は完全無農薬。急斜面に樹が植わっていて、谷を見下ろすと黄色い実がポコポコなっているのが見えます。
8時を過ぎると、その日お手伝いとして雇われた方々が集まってきました。その日は計10人くらいで作業しました。
ちなみにこの日、私と同行したのは、二か月前に農業インターンシップで土佐町に来たYさん。土佐町への移住意欲が高まっており、実際移住が叶うまでにもときどき土佐町を訪れるようにしたいということで、現在土佐町に長期滞在されています。
撮影中のYさん
さて、メンバーが揃ってきたところで収穫開始です。
ゆず収穫ってこんな作業
作業のやり方は男女で役割が異なります。
ゆずの樹は本来、収穫期に入る前に枝の剪定をこまめに行い、樹の形を整えておきます(そうしないと、枝がぐんぐん伸びて背が高くなり収穫も困難です)が、Nさんのゆず畑では収穫と剪定を同時に行います。
男性の作業。かなり首にくる作業のようです
男性は高枝切りばさみで高いところになっている実を枝ごと切り落とします。高枝切りばさみでも高さが届かない場合は、脚立に上ったり樹に足をかけたりもします。
女性は男性が切り落とした枝から実をより分け、ヘタを短く切ります。
女性の作業。肩腰にきます(笑)
言い忘れていましたが、ゆずの作業の際に気をつけないといけないことは、トゲ!!ゆずの樹にはたくさんの鋭いトゲが生えています。そのためゆずの収穫の際は専用の革製手袋を使うことが多いです。
また、ときには地面に落ちたトゲが靴を貫通し足に刺さることもあるそうです。今回、足は大丈夫でしたが、私は一度お尻にトゲが刺さりました。お尻にトゲが刺さるって、なかなかの恐怖ですよ。
女性は地面に転がっている実を拾いながら作業し、頭上では男性が枝を切り落とす。時には頭上から「危ない!」「そこ降って来るよ!」という声がして避難することも。頭に当たったら大事です。
こんな風に枝を豪快に切ることも。これが上から降ってくる!
ゆずのトゲ!
また、ゆず畑は傾斜地にあることが多く、移動するだけでもなかなか大変です。ベテランさんは地下足袋(スパイク付のものも)を履いている方が多いです。斜面恐怖症ぎみの私は何回かズサーーッ!と滑りながら畑の中を歩いていました。
果物類の収穫というとのんびり、牧歌的なイメージがありますが、決してそうではないゆずの現場。でも危ないことに気を付けていれば、作業自体はシンプル。樹上の実を片っ端から採っていくのみ、です。
必殺仕事人??
この日現場に来ていた方々のほとんどは初対面の方でした。だから、現場の雰囲気がどんな感じになるのか全然検討がつかず、足手まといになったりしないだろうか?と心配していましたが、皆さんとてもいい方でした。
作業しながら「どこから来たのー?」とか「土佐町慣れたー?」とか「どんな仕事してるのー?」とかいろいろ気にかけて下さったり、ゆずやその他地産食材の活用法を教えて下さったり、形のいい実を見つけたら「これ持って帰り」と譲って下さったりと、皆さんすごく優しくて、すぐに場に慣れることができました。
キレイな実をおみやげとして下さいました
で、おもしろいなぁと思ったのが、ベテランのおっちゃんの方々が樹上で「ああ~もう疲れた。やってられん」「はよ終わろ、終わろ」「帰ってビール飲みたい」「もう11時半やからもう休憩しょーや(←まだ早い、と周りの人に制されていました)」など、わりと素直に愚痴をこぼすんです。あ、そういうの言っていいんだと思いました(笑)
でも、ここポイントなんですが、そんな愚痴をこぼしながら皆誰一人として手を止めないしだらけない。作業スピードは速いまま。そして、いざ家の人から「12時だから昼休憩しよー!」という声がかかっても、「今やめたらキリが悪いっ」と言って、なかなか皆さん手を止めませんでした。さすがだなぁ、かっこいいなぁと思いました。
また、この農家さんのおうちには92歳のおばあちゃんがいるんですが、この日一緒に働きました。ずっと一緒にくっついて、ヘタきりをしていました。
このおばあちゃん、数年前に体調を悪くして以来、普段はあまり現場に出てこないそうで、無茶な働き方はできないと言われているということでしたが・・・それでもやはり作業が速い!ときどきポーズをとるのがめちゃかわいかったです。
ゆずのブローチ^^
本日の収穫量
この日は16時頃まで作業して、71コンテナ分収穫することができました。重量にして、1349kg!!!
この日収穫したゆずは、農家さんが持ち帰り、水分や汚れをふき取り、選果してから出荷するということでした。出荷先は地域のゆず加工工場。果汁を利用してゆずドリンクや調味料に生まれ変わるのです。
私もこの日お土産のゆずをたくさん頂いて帰りました。家で酵素ジュースを作ろうと思います。
余談:ゆず収穫の日雇いバイトについて
ちなみにこのゆず収穫の作業、人手が足りないときは日雇いのアルバイトを募集する農家さんもいます。
気になるお給料(一例)ですが、作業が危険な分、男性は時給1000円、女性は時給700円。突発的に人手が欲しいときに周りの人に声をかけているということです。
こういう仕事に参加することのメリットは、「地域の人と仲良くなれること」。身体を動かして同じ作業をすると、やはり自然な交流が生まれます。また、顔を覚えてもらえるとまた次の仕事をお願いされたりと、その後も繋がりが続きます。
田舎の短期バイトについては、また機会を改めて書きたいと思います^^