農耕民族の血
2017/09/04
- 執筆者 川村かおり
- 所 属
今年の3月、精力的に毎週末、上京して参加したイベント。その中の一つに、自然の菌だけでお酒を造る蔵元のイベントにも行ってきました。
日本酒ってお米を発酵させて造るお酒なんですけど、今の日本酒造りの主流は速醸酛(そくじょうもと)なんですね。酛(もと)っていうのは日本酒のスターター、この酛を時間をかけて造ってから、蒸したお米や麹、お水を入れて発酵させていくのです。
発酵に必要なのは菌、つまり微生物。微生物の生命活動が発酵なんです。速醸酛の造りでは最初に清酒造りに適した乳酸菌と酵母を添加します。
でも自然の菌だけで作るお酒というのは、人為的に菌を添加せず、空気中に浮遊している菌に降りてきてもらう。だから時間もすごくかかるし、菌が好むような環境をつくってあげないといけません。手間暇かかるんですよね。そういった造りを生酛造りといいます。
で、以前からすごく興味あった生酛造りの酒蔵のイベントへ行ってきたのです。さすが、”自然との共生”がコンセプトの蔵のイベント。
いろいろな人たちが雑貨や自家製天然酵母パン、ピザやどぶろく、漬物に発酵調味料など、体によさそうな天然素材のものをふんだんに使ったものを出店していました。
私、以前にも書いたと思うんですけど、高知へきて、
「わーい!いなかだ!自然いっぱい!畑やりたい!」
と意気込んでみたものの。トマトすら枯らすという、農業まったくできない人だという事実を突き付けられ、早くも野菜作りには挫折していたのですが。手作り雑貨の出店者さんが売ってた店の一角においてあった『自然農法』っていう本にちょっと興味をひかれまして、つい衝動買いしてしまいました。
いや、でもね。結論からいいますと、うん、これなら私にもできるっていう農法ではないのです。 むしろ難しい。ちゃんと植物のこと知ってないと無理、これ。だけど納得はすごくできたのです。ストンと胸に入ったというか。もしも私がまだ20代とかだったら著者のところへ弟子入りしたいくらい。
で、先日。仕事が休みだったので杜氏の田んぼへ草刈りのお手伝いに行ってきました。と言っても私があの電動草刈り機を使いこなせるわけありません。やったことないですもん。
そこで、副杜氏が刈ったあと、用水路の溝に落ちたたくさんの草や、溝のふちについている苔をジョウレン?(だったかな?)という農機具できれいに掃除していく作業。それを担当することになりました!
まずはジョウレンの使い方を最初に教えてもらって。さぁお掃除スタート!
4月上旬。お天気もすごくよくて太陽の光が草に反射して、ずっとお日様にあたっていたら暑いくらいだけど、風がふいててすごく気持ちいい。気づいたら無心で農作業してました。
でも農作業ってそんなに根つめてやっちゃダメだそうで。休み休みやらないとって。とはいえ、
「楽しいんだもの!やりたいんだもの!てな感じでマジ、農業ってすごい!」
って思いました。なんていうの。もともと農耕民族である日本人のルーツ、本能?
『自然農法』の本にもね、最初のほうは農法というより著者の思想が訴えられてて、人は農業さえやってたらいろいろ大丈夫っていうような思想(まちがってたらごめんなさい)で。そういう考え方もあるのね、と読み進めてたわけですが。
いや、でもこんなに没頭できるなら私も農耕民族の血が流れているんだなぁって実感できたわけです。いろいろやってみないとわかんないものですね。