ジェットスター就航で高知の外国人旅行客が増えるのか?

顔の写真
執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2019/05/22

 旅行好きな人、仕事でもプライベートでもよく飛行機に乗る人ならすでにご存知かと思いますが、20181219日に、四国では高松、松山につづいて3都市目となるジェットスターが、高知で就航となりました。

 当日の就航セレモニーでは、尾崎知事やジェットスタージャパンの片岡社長、ジェットスター公式キャラクターの「ジェッ太」などが盛大に初就航を盛り上げていたのが記憶に新しいところですよね。

 この就航により「陸の孤島」と呼ばれていた高知はもはや過去のことで、いよいよ大都市や海外との距離も近くなった気がします。

 

ジェットスター
東京と大阪を結ぶジェットスターは、往復でも1万円未満という安さ。

 

 そもそも高知は陸路からのアクセスが他県より群を抜いて悪く、前述した通り、かつては陸の孤島とたびたび揶揄されていました。

 鉄道とバスは一定数の需要はあるものの、それでも四国を出るだけで片道34時間はかかります。飛行機なら関西まで4050分で着くものの、費用の面でコストがかかる。潜在的な需要こそあるものの、アクセスと費用の板挟みで苦しんでいるのが高知県という土地だったのです。

 そこへ彗星のごとく現れたのがジェットスター! 多くの高知県民は、これを待ってました!と言わんばかりに大いに喜びました。時間や費用の側からみて、今までの東京高知間の深夜バスの寝苦しさも、電車の乗り換えや四国を出る煩わしさも、これで解消されると誰しも思ったものです。

 

 しかーし、よく考えてみると、ジェットスターだけの力で、果たして高知に訪れる人や国外へ行く人が増えるのかどうなのか 高速バスや電車利用者のパイが飛行機に移行しただけなのでは… 要はそれだけのニーズがあるのか疑問なんですよね。

 たとえば東京や大阪や京都は、特別なプランを打ち出さなくても勝手に人が集まってきます。これは大都市や観光名所が数多くある土地の最大の強みでもありますよね。

 四国の片田舎にすぎない高知は、こうはいきません。龍馬マラソンのスローガンを知っていますか?

「わざわざ高知で走ろう!」

ですよ。この自虐のスローガンが示す通り、端的に「高知に来る理由」が必須の項目なのです。現に、ジェットスターの就航がはじまっても、「かつおゲストハウス」の外国人(日本人)ゲストが増えたようにはまだ感じられません。

 

 静岡県の空港を例にあげてみましょう。2009年に誕生した静岡空港は、当初は年間138万人の利用者を見込んでいたのですが、蓋をあけてみると、初年度はわずか50万人程度にとどまり、その先も数年は赤字が続いたのだとか。

 静岡に降り立つなら、名古屋や東京に行くよ~という人が多かったのかもしれません。しかしながら、静岡空港はその後に国際線の路線を大幅に増やすことにより、主に中国からの観光客を呼び込むことに成功します。

 しかしそれも、離着陸の枠が比較的空いていたこと、静岡ならではの「富士山」という立派な観光資源があったからこそ成功に結びついたのです。それに加え、東京にもほど近く、名古屋にも大阪にも行けるアクセスの良さ=ロケーションが最大の要因とも言われています。

 東西の観光の選択の拠点として、まずは静岡から、という考え方の訪日客を増やしたということですね。これは良い例です。とはいえ、これを踏まえて海外観光客目線で見ると、

 

東 京-- 外国人なら一度は訪れてみたいスポットでしょう。

京 都-- 定番中の定番。古き良き日本の姿は日本人でも行ってみたい。

北海道-- 美味しい食べ物ありますからね。

高 知-- え? どこそこ? where

 

となるに違いありません。

 日本人が初めてアメリカへ旅行に行く場合、ルイジアナ州とか、カンザス州とかには行きませんよね。だいたいロスとかニューヨークとか、ある程度は名の知れた州都や地名へと行くのが普通の感覚です。

 高知めがけて来る、という人は高知で観光したいなあというぼんやりとした考えより、何かしらの「明確な目的」を持った人がほとんどです。

 実際に「かつおゲストハウス」に来る外国人ゲストは、ほぼ目的ありきの高知旅行者です。サーフィンがしたい、仁淀川や四万十川など大自然を堪能したい、四国一周旅行中、牧野植物園に行きたい、幕末が好き、ひろめ市場で飲みたい、高知城へいってみたい、お遍路の途中 などなど「I Want to…」がはっきりしていますよね。

 

 それに日本旅行が3回目以上の人とか、在留カードをもってる人、ビジネスの人、ワーキングホリデー中やALTなどが多く、日本ツウの日本語が少しでも話せるプロフェッショナル外国人が訪れるんですよねぇ。

 では、どうするのがベストなのか? 高知にも出来るインバウンド誘致とは? スタッフちゃんや、外国人ゲストたちと一緒になんとなく考えてみました。

 

①「タタキ~Tataki~」とか「ワラヤキ~Warayaki~」を世界に浸透させる

 スモーク料理が世界に浸透しているくらいなので、もっと時短になる藁焼きスタイルが世界に浸透しないわけがないっ! まずは家庭用のスモークキッドならぬ藁焼キッドなどを開発して、世界にPRしてはどうでしょう。

 藁焼き体験中のビジュアルもカッコイイし、塩やニンニク、ミョウガをトッピングにスタイルも独特。オーブンなどで簡単に藁焼きが出来ても良いかもしれません。またかつお以外の食材でも藁焼きで広がっていく可能性もあります。

 

②英語の1Dayアクティビティをたくさん作る

 外国人ゲストからの声ですが、これが実現できたら間違いないでしょう!

 

③高知フォトジェニックをもっと流出

 高知の良さは「龍馬」「かつお」「アンパンマン」「四万十川」だけじゃない!

 最近の流行はフォトジェニックからはじまるので、「仁淀川」のように、もっと高知の素晴らしい景色や美味しいものを押してヒットさせても良いはずです。

 教科書から龍馬が消えるとなれば龍馬さん頼りのままじゃいられません。じゃらんの観光ガイドで高知の人気スポット「1位」になってるのは「高知城」ですよ。そんなわけない!

 

④手軽で安いバイクレンタルをはじめよう

 高知は車じゃないといけないところが多いので、バイクの格安レンタルもたくさんあると良いかもしれません。バイクレンタルができるお店が日本には以外と少ないですよね。アジアにいけば外国人観光客がバイクを借りて乗り回している光景によく出会いますし。自力で旅をすると旅の記憶も強く残るので、コレはナイスアイデアです。

 

⑤「よさこい」「お遍路」文化を世界に発信!

 世界に高知の名前を轟かすことができる有力候補は、恐らく「よさこい」と「お遍路文化」でしょう!

 フランスとスペインには「カンミーノ」というキリスト巡礼の道があって、世界中の人が旅行感覚で巡礼を楽しんでいます。

 四国のお遍路も、もう少し観光色を強くだして、飲食店や宿泊施設などがタッグを組んで観光ルートとして整備されれば、外国人お遍路さんがもっと増えるはずです。かつおゲストハウスに来るお遍路さんは、ほぼ外国人ですからね。

 最近では日本人の歩き遍路と、外国人歩き遍路の数が同じくらいという話しをお寺の人から聞いたくらいです。また「よさこい」も、「よこさい=よさこいソーラン」とならないよう、高知が元祖であることをしっかりPRしていくと共に、高知への誘致、よさこいの体験プラン、ミニよさこい祭りの定期開催など、色んな企画が考えられると思うので、地道に活動していきたいですね。

 

国際線の定期便を就航させよう!

 現実的ではないかもしれませんが、もし大都市を経由しない国際線があれば、東南諸国から(特に中国)からの需要を見込めそうな気がします。わざわざ来る人しか、利用はしないでしょうから。

 

⑦観光立国であることをもっとPRする!

 観光は、いまや高知の基幹産業です。実は高知へ訪れる外国人は年々右肩上がりなのですが、それに見合うだけのPRが出来ていないような気がします。もっと積極的に、もっと英語で、もっとSNSを使って、大げさなくらいに情報発信することが重要です。

 

⑧英語の案内板&情報提供、体験プログラムを増やす!

 外国人ゲストからの声が多いですね。日本国内では都市部こそ英語の表記の案内板が数多くありますが、それでもまだ、先進国の割には少ないと言われています。それを高知県が先駆けて、徹底して英語の案内板や情報提供、観光商材を増やしていけば、勝手にインバウンドは増加するのではないかとにらんでいます。

 と、いうのも、旅行者にとっていちばん快適なのは「旅行のしやすさ・ノンストレスな旅」です。

 例をあげるなら台湾です。時期を問わず未だにあれだけの日本人観光客が多いのは「ある程度の日本語が通じてしまうから・言語が理解できるから」というのが、物価や治安レベルうんぬんより先にある、潜在的な要因であると思います。台湾行って言葉が通じなくてストレス溜まった~なんて話は聞いたことがありません。

 

 と、話を戻しますと、歩くたびに、わざわざ日本語→英語へ変換する作業は、それだけでプチストレスでしょう。そのストレスを取っ払ってやるだけで、観光のしやすさ、満足度は段違いにアップするはずなのです。

 欲をいえば、県民全体の英語レベルを上げられたら、さらに最高ですよね。それが評判となれば、高知では英語が通じる!?→ノンストレスな旅行が可能→風光明媚な観光地も多くある!→SNSで拡散→外国人増加!?と、なるのではないでしょうか?

 

英語パンフ

ryoma

高知駅前の観光施設「とさてらす」には主要な観光施設や景勝地の英語のパンフレットが置いてあります。が、やはりごくごく一部で、さらに現地では英語の説明や案内版がなかったりするのが現状のようです。

 

 と、理想をつらつらと述べてきましたが、言うはやすし行うは難し。個人的には、高知は単に外国人観光客を増やすのではなく、日本ツウの外国人や日本で働いている外国人、日本旅行上級者など、日本旅行のプロフェッショナル層の外国人を地道に誘致した方が、面白い展開ができるのではないかと思います。

 

 とはいえ昨今の日本のインバウンドの伸び率は目を見張るものがありますので、この流行に乗るように、高知もジェットスターの就航をスタートさせました。となると、否応なく高知に来る外国人は多少なりとも増加するハズです。そこに胡座をかくことなく、おもてなしを強化していけば、高知がよりワールドワイドな観光スポットだと認知されていくのではないでしょうか。

 

 かつおゲストハウスでは、高知への新規観光客を増やすよりも、高知へのリピーターをしっかり増やしていけるよう、ゲストさんへのアテンドを丁寧に行い、地道に高知をPRし続けたいと思っています。そしてそれこそが、かつおゲストハウスしかできない役目なのかなとも! 高知は知られてないだけで、面白い場所、大絶景がたくさんですからね~♪♪

 

かつおゲストハウス

 

FacebookTwitterLine
顔の写真
安澤真希さんのプロフィール・記事一覧はこちら
    • かつおゲストハウスのヘルパー募集中!詳細はこちら

    • 前田真希