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童心にかえろう!廃校利用いた宿泊施設
みどりの時計台
野田由美子さん(左)/野田正樹さん(右)
近年廃校を利用した宿泊施設をたくさんみかけるようになりました。
多くの人の想い出がたくさん詰まった「学校」。
それはその地域にとってもシンボルであり、愛着のあるもの。廃校になってもそこを残したい、なんとかしたいという思いは、どの地域も共通してあるようです。
今回紹介するインターンシップの受け入れ先は、高知県長岡郡大豊町にある休校を宿泊施設にした「みどりの時計台」。
大豊町に移住して来た野田夫妻は、この学校が気に入り「利用したい!」と申し入れ、役場や地域住民を説得し、宿泊施設として運営を始めた。この地域には縁もゆかりもない、いわば「よそ者」であるお二人。田舎ではよそ者を歓迎しない地域が多くあると聞きますが、お二人の場合はどうだったのでしょうか?
高知県長岡郡大豊町や吉野川の魅力についてお話をうかがってみました。
―まず、お二人はご出身は?
由美子さん:
富山出身です。旦那さんは大阪出身で、
結婚して、大阪でしばらく住んでいました。
-ここ大豊に来られたきっかけは?
由美子さん:
初めて訪れたのは1998年。当時はあまり知られていなかったラフティングのガイド募集をみて、面白そうだなぁと思って大豊町に来たんです。すごくこの土地が気に入ってしまって、それから何度か足を運ぶようになり、2年後の2000年に移住しました。
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ラフティングで有名な吉野川は徳島県の川だと思っていましたが、この小学校の目の前を流れている川はなんとその吉野川でした。
まさか、高知に吉野川があるなんて。
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正樹さん:
僕らは“打倒四万十”やからな!笑。「清流の四万十川」なら、こっちは「激流の吉野川」やナ!笑。
四万十川と比べれば、やっぱり川の流れが違うし、ラフティングは吉野川が一番やと思う!
来て泊まらずに帰るのがもったいない!
-宿をはじめようと思ったきっかけは?
由美子さん:
移住してからも、最初の2年ぐらいは、冬は大阪に帰ったりして、行き来していたけど、でもやっぱりこっちでずっと定住したいって気持ちはずっとありました。
ラフティングのガイドは夏場がメインですから、それ以外に何かをしなきゃなともおもってたんです。
ラフティングガイドをしている時、お客さん達からとてもいい所だとよく言われていました。でも町内に滞在するところがなかったんです。こんなにいいところなのに、来た人も滞在せずに帰ってしまうのが、もったいない、もっと知ってほしいと思いました。
そこで、宿をやろう!と思ったんです。
そうこう考えている時にこの小学校を知ったんです。ここは特にアクセスもいいし、木造もいい感じだったので、貸してもらえるなら是非やりたいと思ったんです。
集落の人を説得するのは自分たち 地道に地域の人を説得
由美子さん:
そういうことをやったことがなかったから場当たりになってしまって最初は苦労しました。それで小学校を使わせてほしいなぁと思い、役場に問い合わせをしてみても反応は無し。口答でダメならと提案書を出してみたんです。
それでも反応は全くなし。やっぱり個人で学校を借りるというのは無理なんだろうとあきらめかけていた頃、集落のお花見があって、そこにわざわざ町長さんが挨拶にきて
「いいご提案をされていたのに、ほったらかしにしてすみません・・・。前向きに考えていきましょう!」と声をかけてくださったんです。
「やったー!」って感じですよ。
田舎の人は学校をすごい大事にする地域のシンボルでもあり結びつきの象徴だから、地域への理解が必要だと思い説明会を開くことになりました。
その段取りなども役場の方がやってくださったんですが、
いくら役場が応援するとはいっても、集落の人がダメっていったらできませんから、「集落の人を説得するのは、野田さんたちの役目ですよ!」と言われました。
3集落で説明会をひらき、まず自分が何者かという説明から、そしてなぜここを見つけたか、そして自分達の想いの丈を一生懸命話しました。
当時はまだあまりラフティングが知られておらず、イメージも良くなかったことから「人がわいわい来て、荒らされるのは嫌や」と言われてしまいました。
正樹さん:
1回目の説明会の後、ある人の自宅に呼ばれて「活性化せんでもいいんじゃ」「ひっそりしててもええんや」と言われた。
人がいっぱい来た後はゴミがいっぱいになっていて町にとっては迷惑なこともある。
特に年配の人はそういう考えの人も居てるのが実情。それでもあきらめずに説得したんです。
由美子さん:
最初に壁はどうしてもあると思うので、それを取り除く努力をしました。
地域の人がもってる不安を全部聞き、それを1つ1つ解決するようにしました。
例えば、宿泊の人は地元道を使わず大きな道を通ってもらうように配慮したり、
ゲートボールのおばあちゃん達がグラウンドが駐車場になるんじゃないかと心配をしたので、駐車場をほかに借りる約束をしたり、
思い出がある学校の廊下の写真は「残します!」と。
そんな地道なやり取りと、改善案にも納得してもらえ、
最終的に「じゃあ、頑張ってみいや」って言ってもらうことができました。
由美子さん:
それからは、役場によって廃校にする手続きを進められていきました。
1月くらいからはとりあえず住居スペース確保するために土日をつかってリフォームしだしました。業者はほとんど頼んでなくて、リフォーム業をやってくれている友人が1週間とまってやってくれたり、ほんといろんな人が手伝いにきてくれましたよ。
毎週末が楽しくて楽しくて。でもほんと契約の4月に鍵を渡されるまでとても不安だった。いつ話がひっくりかえってもおかしくないし。そんな気持ちでした。
なんとか、2006年4月無事契約することができ、7月にプレオープンしました。
宿の運営など、素人なので、いろいろ試行錯誤です。少しでも早く受け入れられるようにしようということで、準備も大変でしたけど、夏に間に合わせたくて。
当初、旦那さんはラフティングガイドをずっとやっていたので、私1人で切り盛りしていました。シーツも自分で洗ってアイロンかけていたし、掃除もすべて1人。とりあえず自分でやってみないと、人にも頼めないしね。
2年目ぐらいから、近所の方が「手伝えるよ~」といってくれたり、お客さんも増えてきたので、リネンを頼んだりするようになりました。3年やってようやく形が見えてきだしたかな。集客も最初に目標してたぐらい達成もできて、5年で安定してきた感じ。余裕ができてきたので、バーベキューができるようにテントを建てたり、やりたいことを毎年少しずつやってきました。
移住者同士の交流がきっかけで、今では移住促進の担当に!
由美子さん:
ここに引っ越してきた時すでに嶺北には移住者が多くて、移住者同士で交流の一環で、シンポジウムなどをしようという動きがあり、最初のうちは参加者側やったけど、各地域で移住促進に関して熱い思いがあって、かかわっているうちにのめりこんでしまったんです。
高齢者の方の中には、集落が廃れるのを覚悟で住んでいる人もいるようです。
でも、私達は何にもない田舎に惹かれてきて、ここにずっと住みたいからあきらめるわけにはいかないと思ったんです。人を増やすためにはどうしたら良いか年々その気持ちは強くなるし田舎暮らしをしたい人も増えてきているから、より一層力が入るんです。
「れいほく田舎暮らしネットワーク」は民間として6年間やってきたけど、やはり行政とも連携して情報を共有し、より強力な体制をとる必要性を感じていました。
今年はついに嶺北4町村で連携を取ろうと、各町村に移住専門の担当を置くことになったので、私が立候補した感じ。
フレキシブルに対応できるのは、やっぱり民間なので、今までのノウハウをうまく行政と連携して移住促進につなげていきたいです。
― 宿泊の事についてきかせてください。
正樹さん:
お客さん同士も、キッチンも共同だから、距離が近くて、
一緒に合宿しているような雰囲気かな。
逆に大変なのは、コミュニケーションしすぎて、全部のお客さんとこ回るのにごっつい時間がかかってしまって(笑)!時にはがっつり話し込んで、恋話したりとかして(笑)
一番大切なのが接客。そこが一番エネルギーつかうけど、一番楽しいわ!
ここ来る前までは、キャンプ場で働きたかってん。
だから、ここはキャンプ場みたいな宿かナ。
ホテルのカウンターみたいなお堅い受付とかが居てる雰囲気じゃなくて、
「いらっしゃ~~い!!!」「ようきたね~」「どう順調??」っていろいろ会話をして、お客さんとコミュニケーションをとる宿を心掛けてやってる。
学校というシチュエーションを利用して、「廊下は走らない~!」っていうと、みんな生徒に戻ったように「はい~~!!!!」って返事が帰ってくんねん。(笑)。
そんなやり取りが楽しいねんな~
-インターン生の受け入れについて1ヶ月間で、どういうことができそうですか?
由美子さん:
宿業のことがひととおり勉強できると思います。時期によっては地域活動にも参加できます。
ここを拠点に公民館活動もあるし田舎と地域とどう関わるかということが学べると思います。
1ヶ月あれば、町内いろんなところも回れるし、町内を知ってもらえる。意欲次第でいろんなことを学べる。どういう思いでここをやってきたか、語る時間はたくさんあるので移住をしたいと思ってたら情報はいっぱいもってる!
移住したい地域が大豊や、嶺北じゃなくても移住する際の心がまえは共通している、どこにいっても一緒やと思う、だから田舎に興味があれば、私たちが経験してきたことは参考になると思います。