学ぶ

いなかインターンシップ

この募集は、終了しています。受け入れを希望する場合は、お問合せください。

有機農家の思いを作る!

菜食土源 新井さん

菜食土源
新井博明さん

四万十川中流域にある四万十町の小野集落、ここは四万十町の文化的景観にも選ばれた美しい丘陵で山ばかりの中流域では珍しく平らな土地が多い。この平らな土地を利用して農業も盛んな場所である。そこで農薬、化学肥料などを使わない有機栽培で農業を営む新井博明さん。地元のおばちゃん達が「あの人は本当によく働くね」なんて噂もちらほら聞く若き農業家。菜食土源(さいしょくどげん)という名前で農園と奥さんが始めた服屋さんを一緒に運営している。 新井さんは「田舎と野菜が好き」という理由だけで農業の知識もなく親類や知人もいない四万十にいきなり飛び込んできて、試行錯誤しながら農業を続け、今では銀座の百貨店や高級スーパー、人気のレストランにも野菜を卸している有機農業界のホープ。 もちろん、こんな人を周りがほっとかない。新井さんを主人公にしたゲームが出来たり、新井さんのところで勉強したいという若者が現れ一緒に働いている。今回はそんな新井さんにお話を伺いました。

▼新井さんとインターンシップ研修生との対談

ちなみにありきたりの表現になりますが新井さんの野菜は本当に美味しい。新井さんのホウレン草を食べた時、「何にもつけなくても野菜ってこんなに美味いんだ」と思ったことを今でも思い出します。 その新井さん、好きな事はトコトン実直に取り組んで、嫌いなことはスッパリやめる。まだ32歳とは思えないしっかりとした考え方と絶対にブレない軸がある人。熱い思いが周りの人にも飛び火するくらい。そんな新井さんの野菜と人を惹きつける秘密にせまりました。

営業も収穫も嫌。作ることに専念したい。

- 新井さんの畑ではどんな野菜を作ってるんですか? - 新井さん 春はえんどう、ズッキーニ、オクラを冬には菜花(なばな)に生姜がメイン。サブでじゃがいも、そら豆、ピーマン、きゅうり、ナスなんかを作ってる。それ以外はちょっと珍しい手に入らない野菜を楽しみで色々作ってる。それでメインで作った野菜を直接レストランに売ったり、仲卸の業者さんに出したりして*百貨店や*スーパーに野菜が並んでるかな。 *誰もが知っているような超有名なお店が多い。 菜食土源新井さんの畑 -すごい場所で野菜が売られているんですね。 -新井さん 有機栽培はどうしても高くなってしまうからそういう場所になってしまうのかな。本当はみんなに食べてもらえるような価格にしたいのだけど、現状、お店とかに並ぶ野菜が安すぎる。市場原理に合わせて安く売ってしまうと作っている野菜全てを安くして行かないといけないし、どんどん農業がしんどくなるだけ。 だから有機栽培で作っていく難しさを理解してくれる業者としか取引しないし、出来ない。それで、基本的には出来たものだけを卸していくのだけどパッケージはこうして欲しいとか、話していくうちに価格がどんどん下がって来るような業者とは「あ~もう無理、うちは無理ですね。価格競争に参加しません」とキッパリ言う、もっと安いところと取引してくださいと。 もう、営業も収穫も嫌だ。営業は計画的に作らないと行けないからプレッシャーだし、嫌いだな。作ることに専念したいな。 菜食土源新井さんをテーマにしたゲーム -営業、収穫は好きじゃないと? -新井さん 普通みんな収穫好きでしょ、研修生とか、でも作るところが一番楽しい。野菜が出来たら みんな畑に入って採って、お金だけ置いてってや!(笑)やっぱり作るのが楽しい。 - ちなみにこの山間部では広い土地が殆ど無いし、農業をやるのは難しくないですか? -新井さん うん、ここは平らな土地がない、山ばっか。都心部に近い千葉とかは土地も広いし、何より土が良い、売り場も近いし、資材もある、そういうところと比べれば、ここでやるメリットはほとんど無いかな。現にここで農業を始めて広い平らな土地を求めて出て行った人も多い。残念ながら畑のことだけを考えると不利なことが多いかな。 だけど、面白い人が四万十には本当にたくさんいるし、何より生活を考えると断然こっちの方がいい、自由だし、自然も多い、排気ガスもない、お金を使わなくて済む、使うところ無いし(笑)。都会にいたら誘惑が多いから無駄にお金は使うし、排気ガスの中で野菜をつくるのも嫌だな。だからこっちに移住したい人は田舎が好きじゃないと難しいと思う。憧れで来られても困るかな。 小野集落

農業なんて、あんな汚い仕事は出来ないと思ってた

-新井さんは憧れてこちらに来られたのですか? -新井さん ぜんぜん、農業をやろうと思うまではこういう仕事はしないと思ってた。全く興味も無いし、「土とかさわれへんな~」農業なんてあんな汚い仕事は出来ないと思ってた。 -え~そうなんですか? -新井さん 車も乗らなかったから免許なんて身分証だと思ってたし子供の頃の夢はサラーリーマン、スーツを着て仕事をしたかった。それで学生の頃は電気工学を勉強してファーストフード店でバイトしてた。親父が田舎で左官屋をやってたからスーツを着て出勤する人とか都会に憧れていたのかもしれない。とにかく最新こそ素晴らしい、ちょっとでも出世して、その流れから脱落しないようにと思って生きてた。 -そこからどうして田舎に来ることになったのですか? -新井さん そのあとコンピュター関係の会社でシステムエンジニアをやってた。土曜日も日曜日もないような会社。新卒でその会社に入ったのだけど最初の仕事で大ゴケするプロジェクトのチームに入って(笑) 半分失敗することは分かってたらいしいんだけど、理解できなかったのは自分一人の力で失敗したわけでなくて、みんなの力で失敗したわけで、何で俺はそんな無駄なプロジェクトを頑張ってやらなくちゃいけないんだとずっと思いながら1年間やってた。すごいいい経験だったけど。その時、既ににもう1回こういうプロジェクトがきたらもう辞めようと思ったね。 けどね、困ったことに俺はすごい仕事ができたから、会社でやりたい放題だったね。 -お~すごい!バリバリ仕事ができたんですね。 -新井さん 上司に「お前は俺の部下だぞ」「そんな事分かってますよ」って言い返してたくらい。 先輩とかボロボロにしてたな、「何でそんな事出来ないんですか?」「しゃべる時間もったいないから後にしてください」とか平気で言ってた。でも成果主義の社会に入ったからそれが当たり前で、できる者が上に立って行く会社に入ったつもりだったけど、他の人はそうなりきれてなかったのが現状だったのかもしれない。でもちょっとやりすぎたかな、人間として最悪な時期だったな(笑)。でも面白かったし、給料も破格、勉強も出来た。 その時から偉そうにしてたのは今も変わらなけど(笑) それでついに3年目にまた大ゴケするプロジェクトに巻き込まれて、それも最初から無理だと思ってたんだけど、先輩がやれるというんで結局やるはめになった。そのプロジェクトは銀行のシステムで先方はヤクザかと思った(笑)。見積書とかをみんなの前でバリバリに破ったり、怒鳴られたりしながらやってた、全く休みもなかった。「もうこれは無理だなと」と思い始めてきた時期かな。先輩も納品が明日なのに変更を取ってきたりして、もう無茶苦茶だった、そんなん黙っとけと、もうアホかと(笑)。 案の定、大ゴケ、大失敗。

定年後の夢を前倒し

それでやめるぞと決めて、みなみ(新井さんの奥さん)との定年後の夢だった田舎で暮らしながら野菜をつくることを前倒しして農業やろうかなと。 -それでいきなり農業を始めたのですか? 最初はいろいろ調べてて、みなみから教えてもらって有機農業があることを知った、まあなんでも良かったんだけど。それでししとうが好きだったから、スーパーにおいてあったパッケージを見て「高知産か、じゃ高知、行こう」と場所はすぐに決定した(笑) それで四万十に有機農業をやっているグループがあることを知って、四万十でいいかと思って来た。即断即決は性格もあるけど前職の影響かな。 もう最初は畑もないし何していいかわからなかったから、とにかく畑の周りを歩いていた。農家の人に話を聞きたくて、次の日もその次の日も歩きまわってた。そのかいあってか、3ヶ月くらしたら、ようやく畑を借りられた、その時は嬉しかったな。 「よし、ししとう作るぞ」と早速、種買ってきて撒いてししとうメインで始めた。50メートルくらい全部ししとう。でどんどん育ってきて、どんどん採れた。 で、どうすんだこれと言うくらい採れた。最初は一本の木に一つできるのかなと思ってたんだけど(笑)なんにも知らなかったし、売ることも考えてなかったから。毎日丼ぶりに収まらないくらい食べまくった。もちろん捨てなければいけないくらいの量。それで、流石に飽きた(笑)。もう今じゃ、ししとうはあんまり食べない。 - あれだけ好きだったししとうが。 オクラの収穫研修生と一緒に -新井さん でもその当時は楽しくて仕方なかった。今じゃ考えらないけど、毎日、一本一本丁寧にホースで水をあげてた。「お、水あげたら元気になったぞ」とか「肥料あげたら大きくなった」と楽しくてしょうがなかった。お腹もすごい減るし、モリモリ食べて21時に寝て10時に起きて畑に行ってた、どんだけ寝るんだよと(笑)。やることがなかったというか、何をすればいいか知らなかった。

とにかく楽しくて

-そんなに水を上げなくてもいいんですよね? -新井さん うん、別に手であげなくてもいいし、だけど心配で心配で。とにかく楽しくて。有機栽培のグループにちょっとづつ教えてもらったり、本とかで勉強した。そのグループの人達とかが魅力的なことを言うんだ。「毎日野菜の葉っぱの色が違うよ」とか、「ただ野菜をつくるんじゃなくて生活全てを環境のこと考えて生きている人が有機農家だ」と言われたりして。すごい魅力的で深い分野なんだなとのめり込んで行った。 - ここまで来るのに、途中悩んだりしなかったんですか? 2~3年目でこのままでいいのかと思った。結構しんどいのに、年収200万円で歳をとってきたらどうなるんだろうと悩み始めた。それまでは無闇に楽しいから作る、余ったら食べたり、配ればいいやと思ってたけど安定した収入を得られる野菜を作ったり、価格が高い野菜を作って行こうと少しづつ考え方が変わってきた。「売ること」から「食べてもらうこと」が有機農業を広めていくことになると考えてる。 でも、本とか読んでると「これ作ってみたいな」「これ面白そう」と思ってついつい作っちゃうんだよね。で食べきれない(笑) 種さえ撒けば誰でもできる。どんどんできる。スーパーとかでは見たこと無い大きなセロリができて、「うわ~すげーな」と感動しちゃうけど、それだけ。 もう本当におもわず作っちゃう、それで売り先もないし食べきれなくて、また悩み増やしてるじゃんと(笑)そこはダメだな。 ただ野菜は作るのは誰でも出来るけど、売ることが出来ないんだなと思ってる。 それに最近は少し休みたいなとか思うようになったし、有機農家はマルチ※とかトラクターとかの機械を使うのはあり得ないと思って時期もあった。 けど無理、無理(笑)、そんなに甘くない、だからマルチも使うしトラクターも使う。 ※マルチとは・・・農業資材で、土の表面を被覆する資材のこと。雑草の抑制や、地温の調整などにつかわれる。 - すっぱり決めて変にこだわらないバランス感覚があるんですね。 安田くん(新しいスタッフ)も入ってきたようですが今後の展望は? -新井さん 今はメインで作っている野菜も作れば売れる。もう本当に一人では限界だったから、誰か来てくれという状態だった。俺の右腕が欲しいと。だから去年の研修生が来てる時からもう引き抜きを狙ってた。研修生に「都会のどこがいいねん」「都会はな~駄目だな」とか適当に言ってたらやっさん(安田くん)が来た(笑)。嬉しかったね。やっさんは右腕になる気はないみたいだけど(笑) きゅうりの畑

有機農家の思いを買ってくれてる

- 安田くん そんなことはないですよ。 -新井さん それで、お金もだいぶ取れるようになってきたし、次の人にお金とか有機栽培の考え方をを伝えていこうかなと。「有機野菜を買ってくれるのは商品を買ってくれてるんじゃなくて、有機農家のその思いを買ってくれている」という教えがあるので、次の若い人にその思いを伝えていきたい。 やっさんがもうちょっと覚えてきたら、自分で売り先を取ってきたら面白いかなと思ってるんだけど。けど、やっさん無理だっていうんだよ。自分で作ったものを自分で売る、買い手側の意見とか聞いたら勉強になるんじゃないかな。 - 安田くんは営業とか得意じゃなさそう・・・ですよね。 -新井さん やっさん、きゅうり売って来てよ毎日100本。 -安田くん 無理です。 ? ? ? ▲※昨年度インターンシップ募集の際に撮影した新井さんのメッセージです。(2011年6月)

FacebookTwitterLine
インターンシップは有機農業の営業活動でもあるから、有機農業はこんなんやで、 死ぬほどしんどいぞと(笑)。やっぱり野菜に興味がある人、畑をやってみたいと 思っている人に来て欲しいと思ってる。

募集要項はこちら

お申込み・お問い合わせはこちら