農業ビジネスを学びたい!起業したい!地域を担う一員になりたい
弘法菜園
代表 横田弘平さん
広島市内から車で1時間、島根県との県境に位置する北広島町大朝。田園風景が広がる自然豊かな「いなか」です。夏は涼しく、冬は雪が降り、ウインタースポーツが楽しめます。神楽が盛んで大朝地域内だけでも10の神楽団が今でも活発に活動しています。
他の「いなか」と同様に、人口減少にともなう小学校の統廃合や地域行事が続けられないなどの問題を抱えていますが、元々の住民と移住者が垣根なく地域を盛り上げようと活発に動いているまちです。
そんな大朝で3年前、28歳の時にホウレンソウ農家として起業した弘法菜園・代表の横田弘平さん。横田さんのもとで農業ビジネスのこと、地域でイチから自分の仕事をつくり出すことを学べるインターンシップがはじまります。
起業したくて船乗りから農業へ
広島市出身で、「船乗りになりたい」と商船高専に進学した横田さん。卒業後、念願の船乗りとして山口~松山の航路をつなぐ会社に就職しましたが、日々決まった通りに走る船の仕事に違和感を持ち、起業したいと思うようになりました。
農業関連のお仕事をしていたお父さんに相談したところ「農業は儲かるぞ」と言われ、農業の現場を体験しようと仕事の休みの日を利用して、広島市内の農家さんのところへ手伝いに通いはじめます。
そこで比較的育てやすく、価格が安定しているホウレンソウに着目し、ホウレンソウ農家として新規就農することを決意しました。
広島県の中でも冷涼な気候で一年間を通じてホウレンソウを栽培できる北広島町へ移住し、町の研修生制度を利用して2年間ホウレンソウ農家の元で学んだ後、大朝地域に土地を見つけ、2018年に28歳で独立しました。
就農して3年目、現在は正社員2人、パート5人、ベトナム人スタッフ3名(この春から6名)を雇用しています。食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証制度である「J-GAP」を取得するなど持続可能な農場生産に取り組んでいます。
「町内にあと3、4軒くらいホウレンソウ農家の仲間が増えてほしい。そうすることで北広島町がホウレンソウの産地として知られるようになり、共同で出荷もできると思うんです」
と横田さん。今でも町内にあるホウレンソウ農家で集まって月1回勉強を開いていて、コロナ禍がおさまった後は県外に視察へ行くことも計画しているそうです。
「ホウレンソウは育て方で味が全然違います。弘法菜園の目標は規模を今の10倍にすること。同じ作物だとコントロールがしやすいので調整して休日も取れます。農業は休めないというイメージがあると思いますが、うちは基本8時~17時で、生育が遅い冬場は週3日休める日もあります。」
とのこと。
ホウレンソウのシーズンは3月~11月
夏場は朝6時頃から、冬場は8時頃からビニールハウス内のホウレンソウを機械を使って収穫します。
実はホウレンソウは収穫よりもはるかに出荷作業に手間がかかり、人手が必要になります。「調製作業」といい、サイズに分け、悪い葉を取り除き、軽量して袋詰めしていきます。調製作業は3~4人のスタッフで行っています。
忙しいのは春と秋。冬場はそこまで仕事がないので、3~11月はホウレンソウの仕事をし、冬場はスキー場や酒蔵で働くという働き方もできるそうです。
自分の生き方が何かのヒントになれば嬉しい
「何か面白いことないかな、と興味を持ってくれる人に来てほしいです。人生で仕事をしている時間は長いので、起業でもいいし、自分の好きなことをやったがいいと思ってます。自分の生き方が何かのヒントになれば嬉しいですね」
農業ビジネスを学びたい人も、農業に限らず経営に関心がある人でも歓迎とのこと。
「インターンやってみて自分も独立したいと思ったらいろいろ教えることもできます。初期投資が必要なのでできれば20代~30代にはじめることをお勧めします」
自分を成長させてもらえる大朝
広島市内から北広島町大朝へ移住した横田さん。大朝はどんな地域か聞きました。
「小さいまちだけど大きな祭りが多いなという印象。ノリが良い人が多いです。商工会青年部に属していると他の経営者の方と話すことも多く、成長させてもらっています」
毎年、春に開催される祭り「わさまち」や秋に開催される「大朝鯖祭り」の他、ホタル祭りや地域ごとの秋祭りなど季節ごとにイベントがあり、タイミングがあえばそういった祭りを手伝うこともできます。
インターン中は大朝地域にある一軒家のシェアハウスを利用できます。地域づくりに取り組むNPO法人INE OASAが管理していて、そこでも地域の面白い人たちと出会える場所です。
「いなか」に興味があるけど何からやっていいのかわからない、若い経営者の話を聞いてみたい、いろいろな人にあって自分の働き方や生き方を考えたいという人はまずは大朝に来てみてください。