12名の山地の小学校

 前回は保育園の廃園について書かせていただきましたが、今回は小学校の事について書かせていただきます。

 

 今年の4月8日に長男の和正が飛渡第一小学校に入学しました。飛渡第一小学校は「ふるさと環境学習」が評価され、ユネスコスクールに新潟県下で公立の小学校としては最初に認定されたという特色ある小学校です。

 地域の方々との関わりも多く、私も子供が入学していない地域おこし協力隊だった時からちょこちょこ関わらせていただいておりました。今年からは保護者として関わる事になります。

 

入学式

 この4月は和正含めて4名の1年生が入学しました。

 

全校生徒

全校生徒は12名です。5年生1名、4年生3名、3年生4名、1年生4名です。

 

 実は、朝日新聞に4月9日~12日にかけて、4日間この飛渡第一小学校の事が連載記事として紹介されていました。今後、生徒数は緩やかに増えて行く予定で地域に今いる子供達だけで18名までは増える見込みがあります。ただ、その後子供がこれからどれだけ子供が産まれていくかによって、飛渡第一小学校の命運がどうなるか全くわからない状況です。

 

 都会から来た人間としては友達の人数が少ない事以外はとてもよい環境の小学校であると思いますので、田舎ぐらしをしたい人に情報を発信して、生徒数を増やせるようにしたいと思います。という事で都会からこういうところで田舎暮らししてみたいなと思ってもらえるように飛渡第一小学校の様子を少しご紹介していたします。

 

 

 4月26日に小学校の授業参観がありました。複式学級というのはどういう形で授業をしているのか全く想像もつかなかったので実際に見て変わった授業の形だなと思いました。

 道徳の時間だったのですが、私が小学校の頃は道徳の教科書を読んで先生が何かコメントしたり、生徒に問題を出して生徒が手を挙げて発表していたような記憶があります。その時の道徳の教科書の中にあったのは、部落差別のテーマ等で、暗い内容だったなあという記憶があります。

 

 飛渡第一小学校の今回の授業では先生が穴埋めの紙を生徒達に埋めさせ、問題を出しました。一例をあげると、「だれかが話している時にはその人の○○を見よう」というような内容で、こういったものが5問ありました。(この問題の正解は「目」でした。「顔」と答えた子もいました。)

 生徒達は1年生4名と3年生4名の8名だったので、発表の機会が必ず全員にありました。この穴埋めの内容はロン・クラーク著「あたりまえだけど、とても大切なこと」というの中に書かれているものだそうで、先生がそのを紹介してくださいました。授業の進め方も先生と生徒が双方向でいい感じで、こういう形で目が行き届くのであれば学級崩壊はあり得ないと思いました。

 

 その後、生徒一人一人が自分の家族に対して思っている事を見に来ている保護者に向かって発表しました。内容は「お父さん(お母さん)は○○(良くない点)だ、でも○○(良い点)してくれる、お父さん(お母さん)大好き」という形での発表でした。

 ちなみに私自身は「パパはいつもポテトチップを食べる、怒ると怖い、でも一緒に戦いごっこをしてくれる、肩車をしてくれる、一緒に味噌きゅうりを食べてくれる。パパ大好き」と言われました。これを聞いて、子供は大人をしっかり見ているんだなと思い、気が引き締まるとともに、ちょっと感動しました。

 

 この日は夜に小学校の先生の歓送迎会があり、飲みながら先生方とも色々お話が出来ました。先生曰く「普通の小学校だと、勉強の成績についての目標があり、厳しく言われるのですが、飛渡第一小学校では勉強の成績について特に厳しく言われないので本当に大切な事に時間を使える。」との事でした。

 

こういう環境で子供が学ぶことが出来るのはとても良い事だと思います。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

5月7日には星空観察会がありました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 自然観察の専門家である南雲先生をお招きし、星を見ました。天気も良く、とても星がきれいで満点の星でした。

 また、今年はとても珍しい事だそうですが、火星、木星、土星、月が全て見えました。これらの星は天体望遠鏡で見せていただきました。

 木星はおぼろげながら縞模様と4つの衛星が見えました。火星は小さく、正直あまりよくわかりませんでしたが、土星は環も見えました。月はとてもはっきりと見え、天体望遠鏡の覗き口から写真を撮るとクレーターまできれいに映っていました。

 

月

 

 自分が小学生の時は図鑑でしか見たことがなかったので空を見て火星や木星や土星が見えるなんて全く思わなかったのですが、この小学校では実際に空を見上げて天体望遠鏡で見るという体験が出来るのは子供の感性を育てる上でとても良い事だと思います。

 

 本当に都会から田舎に来た私からすれば飛渡第一小学校の環境は安心できる良い学校だと思います。特に学級崩壊やいじめなどの心配もなく、自然や地域の方々と触れる機会も多いというのは都会の小学校では考えられない事だと思います。しかしながら、人数が少なくなりすぎると保護者としても子供に同年代の友達が全くいないのはかわいそうなので大きな学校に統合してもらわざるを得ないと考えてしまうのもまた人情だと思います。

 

 こういう環境の学校をなくさないためにはある程度の生徒数を確保していく事が必要になります。そのためには今いる人が子供を産むという事と合わせて、外からの子供を増やすという事が必要です。自分が事務局長をしている十日町市地域おこし実行委員会は十日町市から委託を受けて移住促進の仕事もしています。東京に移住相談会に出展したり、さとナビというWEBサイトの管理をしたり、十日町市内への田舎暮らしインターンシップの受け入れのコーディネートをしたりしています。

 

 田舎では都会だと考えられないぐらい安く住宅を購入する事が出来ます。(中古物件ですが、物件によっては200~300万円で購入可能なものもあります。)仕事に関しては今のご時世都会にいても田舎にいても就職が難しく、田舎では若い人手が足りませんので、仕事を選ばなければ探せば何とかなります。

 ふるさと回帰支援センターという田舎暮らしの相談窓口などを行っている団体によると、東日本大震災の前は移住相談の問合せ件数は4000件代だったのが、東日本大震災後には7000件代に増え、2013年度には9000件代にまで達したとの事です。都会から田舎暮らしを検討している人の数は徐々に増えてきていると言えるでしょう。

 

 子供には良い環境を提供したいという方々は田舎で自然や地域の多様な方々とのふれあいを大切にするような環境で子育てを考えてみてはいかがでしょうか?(奥さんの方が子育てに関しては色々やっているので自分がえらそうに言うのもなんですが・・・)

 

 

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