商店さんと補助金

2014/06/17

 

 とうとう梅雨入り。先日は中土佐町も大雨がふり、場所によっては床上浸水の被害もあったりして。山一つでこうも降雨量に差が出てしまうなんて。 山ってすごいですね。

 

 さて、先月書いた記事の続き。今から2年前のこと。

 

 一応、中土佐町の中心的な商店街ともいえる大正町市場。 その入り口の魚屋さんが閉店!となってしまっては廃れ具合がいっそう濃くなり、メディアにもよく出るわけだし、対外的にもよくないだろうと中土佐町は感じたわけです。そこで、空き店舗対策として、いろんな市町村で取り組まれていた「チャレンジショップ」というのを、大正町でもやってみようということになったのです。そしてそれを事業として行うことになったのは、企画ど久礼もん企業組合 担当は私、川村でした。

 

まず初めに。

 

 商店街のことをなーんにも知らない、まして地元の人間でもない私がいきなり、商店街活性化、空き店舗対策をやるなんて、無理にきまっています。商店街の実情、はたまた、その実情を危惧している人、その気持ちの度合い、きっと商店それぞれ違うだろうし、その温度差も全く知らない。というか温度差があること自体知らないわけです。

 

高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

昔の商店街

 

高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

昔の大正町市場

 

 ど久礼もんの理事たちから商店街のことについて、説明はありました。閉店する商店が増えていったり、地元の買い物客も減って、ここの商店街を歩く人が少なくなってからは、商店街の組合から抜ける人もふえ、事実上、商店街組合は解散。共同の建造物でお金がかかる街路灯や駐車場の管理だけ、組合に残った人たちでやっている、そんな状況でした。

 

高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

今の商店街

 

高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

今の大正町市場

 

 これはやはり、何も知らない私一人では無理があるので、きちんと事業を行うに至った経緯から説明しなければならず、そこで商店さんたちに集まってもらうことになりました。

 

高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

商店街の集まり

 

 大正町市場の入り口である店舗を空き店舗のままにしてはいけない。この思いはみなさん、わかってくれました。

 

けれど。

 

 「補助金」ということに抵抗ある商店さんもいれば、ど久礼もんが普段、どんなことをしているか全く知らない人もいたりして。そんな人にとっては、商店街をどうするか、空き店舗対策事業なんていっても、ようは補助金ほしさにやっているだけじゃないのか。補助金を自分たち会社の経営に使うだけじゃないのか、などのストレートな意見もありました。補助金の使い方、内訳、報告は行政だけではなく、商店街に対しても行わなければならず、そして自分がちゃんと仕事をしなければいけないプレッシャーに押しつぶされそうになりました。それでもなんとか上司のアドバイスをもらいながら、商店さん一人一人と向き合いながら、少しずつ、プレッシャーをとかしていくしかありませんでした。

 

で、チャレンジショップをどう運営していくか。

 

 事業を行える期間は1年。 この1年で誰かに何かの店舗を出してもらって、次年度からは自分の経営力で以て営業してもらう。チャレンジ期間は家賃を免除、光熱費も1万円まで事業主体(私たち)が負担、それ以外の経費(営業許可手数料、設備費、1万を超える光熱費、仕入等)は自己負担。チャレンジ期間は3か月で、3事業者(人、組)募集しよう、ということになりました。

 募集してもらうための条件も決めなければなりません。大正町市場の事情を知ってもらって、活性化に協力的な方、あとあとこの地で継続して営業したいという思いのある人、そういったガイドラインや選定基準も決めました。募集の広告は町の広報や、回覧板を利用しました。

 

しかし、私が個人的に感じたことは。

 

「3か月、自分のお店を出す」

 

 大正町市場に合うような、つまりお魚目当てにくるお客さんがターゲットとなる店。什器の負担や売る商品によっては営業許可も必要で、とか考えると。街中でよくあるチャレンジショップ(食べ物除く)の感覚で考えるのとは、ちょっとわけが違うな、と。たった3か月の営業に対する、費用対効果を考えると・・・。チャレンジャーもある程度経験や、持っているものを駆使して営業する工夫も必要だなあと。結構むずかしいんじゃないかと思いました。

 けど店を出したい、経営者になりたいって、そりゃ相当の覚悟とか準備が必要なわけだし。クリアできないんじゃ、そもそも今後の経営だって不安。やっぱりある程度、客層もわかっていて、田舎の割には客数も見込める場所なのであればお金をかけてでもチャレンジしてみるべきかも?

 

自分が店を出したい気持ちになって考えてみても悩むー!!どうしよ??

 

 実際、チャレンジしようかな、なんて考えた人は相当、悩んだりしたのかな。結局チャレンジショップには地元の人が手をあげました。

 

食堂が2件、

 

チャレンジショップ 高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

チャレンジショップ1

 

魚屋さんが1件。

チャレンジショップ 高知 中土佐町久礼 大正町市場商店街

チャレンジショップ2

 

 

 売上こそわかりませんが、傍から見た感じ、しっくりくるのは魚屋さんかなぁと(あくまで個人的に思ったこと)。幸い、この事業が終わり、いよいよ次年度となるとき、チャレンジした人たちに今後どうしたいか聞いてみると魚屋さん以外は続けようとする人はいませんでした。

 

 補助事業に関する経費についての処理も、滞りなく行い、あとは報告書作り。忘れてはいけないのは、常に写真を残すこと。これ、結構私、忘れちゃうんですよね。会議の様子、出店の様子、ちゃんと写真にとって時系列にまとめておくと、あとで報告書を作るときに非常に助かります。

 

 この空き店舗活用事業を行ったことで、商店街の歴史を知ることができたのと、商店さんたちと親睦を深められ、地域に直接入り込んで行けたことはとても大きな成果だと思っています。とかく、都会にいたり企業にいたりすると、効率を重視するあまり、人づきあいが希薄になったりすると思うのですが非効率でも、一軒一軒商店さんを回って、店主さんといろんなお話しながら問題についての意見を一人一人に聞いたりすることが結局、何かをしようというとき、協力してもらえるので、こういうコミュニケーションはすごく大切なんだなと実感しました。

 

 ど久礼もんに所属していた最後の一年で行った事業が、あとあと大正町市場含め、周辺の商店街の活性化を考える今の仕事につながったわけですが。すんなり市場にとけこんでいけたのは、このおかげだと思います。

 田舎にきて地域に溶け込むのは、やっぱりどうしてもその地域の人と話して、たわいない挨拶、会話からなんですね。それは自分を知ってもらうことや、周りを知ることにつながります。面倒くさいことももちろんたくさん。 集まりもあって時間を束縛されることもしばしば。でもそれを楽しめる気持ちの余裕が、田舎暮らしを快適なものにしてくれると思います。

 

 

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