地域おこし協力隊は地域に眠る炭窯を再稼働させることができるか?其の二
2015/03/16
- 執筆者 石田朋久
- 所 属四万十町地域おこし協力隊
毎月このいなかマガジンの原稿は10日までに送るようにしていて先月もちゃんと9日に送ったのに、何故か忘れ去られていたために冒頭の節分ネタが時期外れになってちょっと悲しかった石田です。
今回も先月に続いて炭窯修復のお話です。落ちた屋根を建て直す他にも、窯の真上に残っている屋根がちょっと傾いているので、こちらの補強もやらないといけません。これらの作業に使用する柱は、窯の持ち主の方が所有する山からヒノキを伐り出してきて使おうかと考えていたところ、ある方から栗の木を提供していただけることになりました。自分は知りませんでしたが栗は屋外でも腐りにくくて長持ちするのだそうです。
この写真に写っているのが提供していただいた栗の柱です。長年屋外に放置されていたようで、表面はボロボロで一部苔の生えているところもありましたが、中は堅くてしっかりしており、ズッシリと重くてとても一人では持てません。
山の仕事が得意な人に手伝ってもらうと、設計図も無しに大胆かつ繊細にチェーンソーで木を伐ったり削ったりして手早く進めてくれて大変助かるのですが、次の作業にその人が来ないとどう進めていいのか解らなかったり大変でもあります。しかしそこはまた別の人が機転を利かせて臨機応変に対応しながら作業は進んでいくのですね。
今までに出会った十和の人は代々受け継いできた技術を継承し、生活していく上で必要なスキルは備わっていてほぼ何でも自分で作れてしまうのが凄いです。自分なんかは話を聞いても理解できないけど、何度もこういう現場に行くことで少しずつスキルアップできればいいかなと思います。
柱を立てるだけでも、グラグラしないようにしっかりと埋める方法やら、曲がった柱を使う時はどう向きに使えばいいのかなど、建築に関わる人なら当たり前のような事を一つずつ勉強しているところです。
何かのTV番組でTOKIOがやっているような事を自分がやりたいと思えばいくらでもそういう仕事はあるわけで、都会だと炭窯を作りたいとか古民家を再生させたいと思ってもなかなかできることではなく、無理に炭窯を作っても炭を焼く段階で近所から煙をなんとかしろとかの苦情が出ることは避けられないでしょうね。そんな事を考えながら周りを見ると、山の斜面に綺麗に石を積んである茶畑とか、家の庭先に沢の水を引いてくる方法とか、昔は重機や機械も使わずに行っていたと思われる「生活の知恵」がいっぱい見えてきます。
前回の作業ではここまでできました。(下記写真参照)
手前に建てた柱と同じ物をもう一組窯の近くに建てて、その間を垂木で繋いで波板を打っていくというような作業を今日行う予定にしていたのに雨天延期となりました。仕方がないのでこの原稿を書いています。 というわけで、なかなか進まない炭窯再稼働プロジェクト。来月には完成の報告ができるのでしょうか?そして暑い夏が来る前に炭を焼くことはできるのでしょうか?多少の不安を残しつつ来月へと続きます。