地域おこし協力隊は、そこに流れている川を活用することができるのか?其の二
2015/08/13
- 執筆者 石田朋久
- 所 属四万十町地域おこし協力隊
8月8日は立秋で暦の上では秋になりますが、まだまだ暑い日が続きますね。残暑お見舞い申し上げます、十和の石田です。
5月にカヌーインストラクターの講習を受けているというお話を書かせていただきました。
「地域おこし協力隊は、そこに流れている川を活用することができるのか?」
カヌー講習の際には四万十町のお隣、四万十市のガイドの皆さんにお世話になりましたし夏休みに入ってからはお客さんもたくさん遊びに来ているようなのでガイドのお手伝いをしに行きたいのですが、四万十町でもラフティングのガイドさんが不足していて、問い合わせがあった全てのお客さんを受け入れることができないという状況になってきているようなのです。
そこで、一緒に講習を受けた協力隊の菊池君と菊池君の奥さん、そしてわたくし石田が休日に助っ人ガイドとして協力できるようにラフティングガイドの勉強をさせていただきました。
下の写真は特訓中の菊池夫妻です。カヌーと比べてボートが大きいのでなかなか思うように動かせず、流れや風の影響も受けるので大変です。
この後特訓は日暮れまで続きました。
自分がこのラフティングガイドの勉強をする目的は三つ
一つ目は、四万十町に遊びに来てくれる人の満足度をアップさせるため。
わざわざ遠くから遊びに来てくれるんですよ。年に一度の夏の大イベントとして計画を練っているご家族もいらっしゃるかもしれませんし、子供達は「川で遊ぶのならラフティングがしたい!」と決めているかもしれません。そこでお父さんは子供達のためにラフティングできる所を調べて予約の電話をするんですよ。しかし残念なことに予約がいっぱいだったとしたらもうこれだけで夏休みの楽しさは半減ですよね。1日に1艇増便することができれば、最大で月に150人が夏休みの楽しい想い出を作ることができるんですよ。
二つ目は、安全に川で遊んでもらうため。
ガイド付きのボートが予約できなかったら、自分でボートを持ってきて、川下りを計画する人がいるかもしれません。それもラフティングに使っているような多少岩にぶつかっても、穴が開いたりすることは無い丈夫なボートじゃなくて、すぐに穴が開きそうな危険なボートを持って来るかもしれません。それに安全な川の水量とかもわからずに、なんとなく「ザブンザブンの川を下るのがラフティング」だと思い込んでいるために、危険な川に船を出してしまうかもしれません。こんな「危ないかもしれない」を少しでも減らせるように、できるだけガイド付きで遊んでもらいたいのです。
三つ目は、収入を得るため。
ラフティングやカヌーに乗るためには、ライフジャケットやヘルメットなどの装備が必要です。自費で揃えた装備代ぐらいは稼ぎたいし、報酬が発生するかしないかで仕事に対するヤル気も変わってきます。人の命を預かる仕事なので知識や技術も必要ですし、何よりも乗りに来てくれたお客さんに楽しんでもらえることが大事だと思うのです。そして、自分が経験したことならば、夏休み限定のアルバイトや、来年の奥四万十博に向けて、新規にガイドを募集する時にも自信を持って勧めてあげることができるでしょう。
6月に地元の小学生達とピザを焼くイベントがあって、午後からはその子供達がこのラフティングを体験する機会がありました。その時も初めてラフティングを体験する子供が多いことや、川に入った経験があまり無い子供が多いことに驚きました。ずっと四万十川の近くで育ったのなら川で遊び慣れていてみんな河童みたいなのかと思っていたのですが、今はそんなに川では遊ばないのだそうです。
子供の頃からこんな感じなので、ガイドが足りなくて地元の人に働いてもらおうとしてもなかなか人は集まらないし、町外から労働力を確保しようとしても通勤するには遠すぎる、住み込みで働いてもらうには住む所が無いといった状況で、この四万十町ではせっかくの四万十川を有効に使えていないのです。
ただ、ラフティングやカヌーなど、川で遊ぶ人が増えることによるデメリットもあります。それは鮎釣りの釣り人の近くをボートが、通過してしまうことがあるということです。釣りに来ている人は、この四万十川で釣りができるように漁協に入漁料を払って釣りをする権利を買っています。今、協力隊が教えていただいているガイドさんは、何よりも地元の漁師さんや釣り人の事を優先に考えていて、迷惑をかけないように細心の注意を払うようにと指導してくれています。それでも釣り人が両岸に並んでいるような時はどうしてもボートが通るだけのスペースが空いてないこともあります。
自分も釣りが好きなので釣り人目線で考えてみると、のんびり釣りをしているところに賑やかなボートが下ってきたら、やっぱり迷惑だと思うような気がするんですね。
いくらラフティングが盛り上がったとしてもそれが原因で釣り人が敬遠するようになるのは良くないし、川を利用するみんなが共存できるように考えていかないといけませんね。
そして8月6日、石田も無事にガイドデビューしました。初めてのお客さんは東京から遊びに来られた4人家族で、初心者ガイドの操船が上手くいかずに反省することも多かったのですが「楽しかった」と言ってもらえたし、本当に四万十川を満喫しているように見えましたので良かったです。