わざわざ寄ろう! 三原村!

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執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2016/04/27

 

 一月初旬。年末年始を一日も休むことなく乗り切った私は、家族そろって旅行をかねた遅めのお正月。久しぶりの遠出、しかも家族旅行とあって、遠足前夜のようなワクワクする心持ちです。

  車を走らせることおよそ2時間。一路、目的地である高知県最西端の大月町へ向かっていたのですが、その道中ふと何気なく看板を見ると「三原村」の文字。

 

三原村

 

 そういえば、編集者時代に高知県内のあらゆる市町村をあくせく飛び回っていた私ですが、唯一、三原村だけは行ったことがない… 別段わざわざ立ち寄るほどの村でもあるまい、と思う反面、そういや旦那さんの本籍でもあるんだよなあと思いめぐらせていると、そんな私の逡巡を読み取ったのか、彼から「寄ってみないか」のナイスな一言が。よし、これで高知県内全ての市町村を制覇っ!

 

 三原村は高知県の西部に位置し、周辺を四万十市・宿毛市・土佐清水市に囲まれています。とはいえ、その周囲を450m~850m級の山脈が囲んでいるため、隣接する上記3市とは完全に独立した立地なんだとか。人口はおよそ1600人余り(※平成28年1月31日現在)主な産業といえば、想像に難くないTHE・農業(トマトの水耕栽培は特に有名かと)。周辺を豊かな山々に囲まれた三原村では、県内では一つのブランドとして定着しつつある「三原米」の収穫が盛んで、その味はもはや折り紙付き。のみならず、品質の良さで全国的に有名な「土佐端渓石」は、書道家たちから非常に高い評価を受けていて、中国の端渓石に勝るとも劣らないとか。それはスゴい!

 

 とはいうものの… この村、はたして観光や名所みたいな所ってあるの? と半ば半信半疑に思いながら三原村のパンフレットを手に車を走らせていると「みはらのじまんや」と銘打った看板が。期待値ゼロのまま店内に入ってみる。新鮮な野菜やお惣菜、日常の買い回り品などがズラリと並んでいます。さらに地域の特産品である「どぶろく」や「三原米」、はたまた「ゆず」など、どれもこれもがお値打ち感があり美味そうなものばかり。これはたしかに堂々と自慢してもいいな、と思いながら商品を吟味していると、何やら女性店員さんと親しげに話している旦那さんの姿が。曰く、彼女は親戚の知人でどうのこうので、それからかくかくしかじか… なるほど、人口が少ない分、人と人とが密接に繋がっているんですね~。

 

みはらのじまんや

 

 親戚の知人ついでに、三原村の主な観光名所を聞いてみたら、村内の星ヶ丘公園に群生する花「ヒメノボタン」の観賞イベントがあったり、県内でも有数の標高を誇る山として知られる「今ノ山」の遊歩道など、とにかく自然にフォーカスした名所がたくさんあるんだとか。ですが… やっぱり私が心惹かれたものといえば、そう、やはり「どぶろく」です。ここ三原村は、言わずと知れた「どぶろく特区」なんですね。

 

どぶろく特区

 

 あなどることなかれ、一口にどぶろくといっても、その味はバラエティに富んでいて奥が深いんです! ことに三原村のどぶろくは、美しい山々から湧き出る清水から育ったお米を、それぞれの米農家さんが丹精込めて手作りしているんですね。そのいずれもが添加物を一切加えていないため、からだにも優しい味わいなんです。

 

 さて、せっかく三原村まで足を運んだのだから、ぜひ試してみたいのがどぶろくの飲み比べ。なんでも三原村では、平成16年にどぶろく特区の認定を受けて以来、現在でも7軒の農家さんがどぶろくを製造しているんだとか。で、パンフレットによると、その数件が、土佐清水へ抜ける道すがらに無駄なくキレ~イに点在しているわけですよ。これはもうね… よほどにやにやしていたのでしょうか、旅の途中だし昼間からそれは止めておけと制止する旦那さんを振り切り、ここで私が意気揚々とハンドルをにぎります。大丈夫、飲んだら否が応でも変わるからっ。

 

 さて、まず最初に訪れたのは「農家食堂 風車」さん。こちらのお店、昼は食堂、夜は民宿となっておりまして、さらにどぶろくまであるというこの完成されたトリプルスリーっぷり。まさに至れり尽くせり。そしてそして、製造者の池本さんの奥様のお名前から命名されたというどぶろくの名は「富キ(異字体につきカタカナです)」。なんとも愛に溢れたこちらのどぶろく、女性に好まれる甘さと辛さを程よくミックスさせたものなんだとか。奥様にもどぶろくにも愛を注ぐ池本さん、とにかくステキな方でした!

 

富キ

 

 

 次に訪れたのは「農家食堂 青空屋」さん。こちらのどぶろくのこだわりは、昔ながらの味。お客さんからは、ほんのり懐かしい味がすると評判も上々のようです。さらにその名称にもなっている「元代」は、製造者である斎藤さん夫妻の名前から一文字ずつとったそうな。もしかすると、どぶろくと愛は切っても切れない関係なのかもしれませんね~。

 

元代

 

 

 なんてことを旦那さんに冗談ながらに言っていると、私はいつの間にやら助手席に移動しておりまして。つまり知らぬ間に飲んでしまっていたわけで。これ以上この地に留まり、飲み比べをしていると目的地の大月町までモタナイと判断させられまして… 他にも「今ちゃん」さんや「つの」さんなどが控えていたのですが、やむなくどぶろくめぐりは終了となりました。また次回に持ち越しです!

 

 さて、大月町への道すがらひょっこり三原村に立ち寄ってみた私ですが、土佐清水市には岬や竜串、四万十市には四万十川があるように、三原村にも、どぶろくや三原米、土佐端渓石など、独自の文化が色濃く根付いていると強く感じました。雄大な自然に囲まれたこの村は、まさに故郷の源流であり、それは土佐清水市でも四万十市でも真似できない、真似し得ないほどの魅力が存分に詰まった無二の価値を有するものだと思いました。私が三原村へ献辞を贈るとしたら、きっとこうです。

 

「わざわざ寄ろう! 三原村!」

(おや、どこかで聞いたことがあるような…w)

 

 うん、間違いありません。一日だけじゃ物足りない、それほど魅力的な村なのです。

 

 産業がない、遊ぶ所がない、とたびたび県民からも揶揄される高知ですが、実はそれは高知県民自身が高知を知らない、あるいは知ろうとしないだけであって、本当はこの三原村のように、見えざる魅力がそこかしこに、いや無尽蔵にあるのではないでしょうか。今回の旅行で、高知の全ての市町村に足を踏み入れた私も、また改めて高知を知ろうと、しみじみ思ったのであります。

 

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