ほしい未来は自分でつくる。1年間を振り返って

2016/05/15

 

 はいたーい!沖縄県名護市東海岸、やんばる(漢字では山原と書きます)の入り口にある久志地域(くしちいき)からお届けします。

 私がこの久志地域に移住したのは2015年5月。そして久志地域交流推進協議会で働きだしたのも同じ時期です。今回の記事では1年暮らしてみて、働いてみて感じたことを振り返りたいと思います。東京での慌ただしくも刺激が多かった暮らしが、沖縄に来た今、どんな意味を持っているのかいないのか。こうして振り返ることで新たな一歩が見つかるかも?と思っています。

 

シーカヤック

これは家の前の海でカヤックをした時の写真です。夫婦でカヤックに乗りました。夫には「これが新婚旅行だよ」と言われました。笑 本日の内容にはあまり関係ないです。笑

 

 

学んできたこと・やってきたことと

 

 私は沖縄に移住する前に、「環境教育」「ESD」「地域コーディネーター」について大学院で研究していました。学校と地域を繋ぐ「学校支援地域本部」の「地域コーディネーター」に着目し、どんな役割があるか・どんなスキルが必要か、それは「ESD」を推進する「ESDコーディネーター」と類似するものがあるのではないか。というマニアックな研究です。

 まず、「ESD」とは何か。持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)と言って、持続不可能になりつつある社会をいかに持続可能にしていくか。人と自然・人と人・人と社会の繋がりを考え、行動できる人を育む教育のことを指します。抽象的ですね。具体的に言うと…と語りだすと、この記事数本かかってしまいそうなので止めておきます。とにかくそういう研究をしていました。

 

 大学院に通った3年間、同時に「社会教育指導員」という仕事もしていました。職業としては公務員で、仕事内容は地域の学びの場づくりでした。人権・環境・福祉・子育て…様々なテーマで講座を企画・運営したり、それを地域の方と一緒にやったり、青少年教育として地域のジュニアリーダー育成にも関わっていました。簡単に言うと学校以外の学びの場づくりです。

 ここでお伝えしたいのは私の研究内容でも前職のことではなくて、「今までやってきたことが今にどうつながっているか」について。

 

ゼミ合宿の受入の時

夏に行ったゼミ合宿の受入の時の写真。これが私の今までと今のつながりを考えるきっかけになりました。

 

 

「今までやってきたこと」が「今」にどうつながっているか

 

 このいなかパイプの最初の記事で「何もできない私が田舎でできること」について書きました。そこでも書きましたが、元々「沖縄に住みたい!」と思っていた訳ではないし、そんなに「沖縄大好き!」という訳でもありませんでした(今は好きですよ笑)。ただ「縁」があっただけです。仕事内容も完全に自分がやりたいことかどうか、自分のやってきたことが活かせるかどうか、分からないままに決めてしまいました。正に「直感」です。私は今までも結構「直感」を大事に生きてきたので、今回もそうでした。

 そう言えば、このいなかパイプの記事で久志地域交流推進協議会についてあまり取組などを紹介していなかったかな?と思うのでご紹介します。

 

久志地域交流推進協議会

 

 久志地域交流推進協議会は、この図にあるように、観光交流に取り組む地域住民(土の人)と来訪者(風の人)を繋ぐ役割を担っています。繋ぐための交流の場づくりをすることで、「いきがい・ゆいまーる(相互扶助の関係)・しごと」を生み出し、「豊かな久志地域の暮らし」を創出し、「住み続けたくなる、持続可能な地域の実現」を目標にしています。

 主な事業は「民泊」と「日帰り体験ツアー」です。その他にもこの記事でご紹介したような「ゼミ合宿の受入」や「移住体験ツアー」、他には「地域を学ぶ講座」として古酒講座や地域散策ツアー・ものづくり講座を行っています。「民泊」は、一般的には修学旅行生を対象にしたものが多いですが、久志地域では一般対象の民泊を行っています。この記事を読んでくださっているあなたも民泊できますよ。

 

 これらの取組はすべて、地域の人と来訪者・地域の人同士が交流できる場をつくるために行っています。実際に、これらの活動を通して、民泊受入民家さんからこんな声を聞きます。

 

「地域をもっと盛り上げたい!私にできることは何かな?」

「自分の地域の暮らしが結構魅力的なんだな~って気づいた」

「田舎にいるのにいろんな人に会えて、自分が旅行した気分だわ~」

「何もない田舎だと思ってたけど、案外いろいろあるよね」

 

 また、この地域で民泊や日帰り体験をした方々の声には、こんなものがあります。

 

「いろいろあるけど楽しそうに生きてるな~、こんな風に生きていきたいんだよな~」

「今まで沖縄の海とか景色が好きなんだと思っていたけど、人が好きなんだって気づいた」

「自分の畑で育てた野菜で時間をかけて夕食の準備をしてくれている。下ごしらえのあたたかさを感じた」

「1日が25時間あるのかと思った。それくらい時間の流れが違った。」

 

 1年間この仕事をしてみて、休みと仕事の境目が分からなくて気づいたら「休みって何?」みたいなことがあったり笑、あまり金銭的な儲けがなかったり、事務所はプレハブ小屋だったり、愚痴を言い出したらキリがないですが、振り返ると涙が出るほど嬉しかったり、鳥肌が立つほど感動したりすることもたくさんありました。自分の直感は間違ってなかったと思っています。そう思えているのも、学んできたこと・やってきたこととのつながりが見えてきているからです。

 

ほしい未来は自分次第

 

 

大切なのは「つながっているか」より「つなげるか」。ほしい未来は自分次第。

 

 夏に行ったゼミ合宿の受入を通して、この地域の魅力ってなんだろう?と私も考え、研究してきたESDの視点で整理して、こんな図にしてみました。

 

「なんくるないさ(なんとかなるさ)」「ゆいまーる(相互扶助・たすけあい)」「いちゃりばちょーでー(一度会ったら皆兄弟)」そんな方言からも分かる、沖縄の人の気質と、人との関係性のあり方。大切な価値観。地域の繋がり・絆、それを保持する地域の伝統行事。

 自然の中で暮らすための生きる知恵・食生活、感謝・拝みの文化。沖縄にしかない植物や生き物、山・森・サンゴの広がる海。

 目の前にある課題、過疎・高齢化。開発による環境汚染、平和のあり方を問う基地問題。地域の人々の向き合い方、課題への取組。

 

 今挙げた全てがこの地域にあること。地域の人と関わり、生き方・暮らし方を知ることで、これからの社会を考えられる視点をたくさん得られます。そして住んでみるとその課題を、身を以て感じるし、自分事で考えることができます。というか、考えざるを得ない。毎日眉間に皺を寄せて考えている訳ではないけど、一歩一歩課題解決に向けて取り組みを進めている実感はあります。これって今まで私が学んできたことだし前職でやっていたことがつながっているな、と今感じています。

 今までやってきたことに何も無駄なことはなくて、「つながっているか」より「つなげているか」。私がつなげようとすればつながるんだと思います。学校での勉強も経験したことも。「ほしい未来」は与えてもらうのではなくて自分でつくる。仕事にも暮らしにもそういう気持ちで取り組んでいたいと思っています。移住2年目、もっともっと楽しんでがんばって暮らして働いていきます!

 

 

私の右腕・新規職員を募集します

 

 久志地域交流推進協議会では、只今、私の右腕として一緒に取り組みを推進してくれるメンバーを募集しています。

 交流の場づくりを通して、地域の人にとっても訪れる人にとっても新たな気づきや学びが生まれること、住んで良し・訪れて良しの地域づくり、そこに価値を持っていっしょに働ける方を募集します。ぜひご応募をお待ちしています! 詳しくはこちらをご覧ください

 

 

 

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