春の訪れとともに。~井仁の棚田の人々 その1~

2016/06/09

 

 安芸太田町地域おこし協力隊のトーマスこと友松裕希と申します。寒さが和らぎ、やっと暖かくなってきたなと思っていたら、あっという間に6月になってしまいました。

 春になってから自然の変わりように驚くばかりですが、人の動きも活発になりました。あの冬の寂しさは何だったのでしょう・・・ということで、春の井仁の暮らしと井仁に関わる人を絡めながらお話したいと思います!

 

春の井仁の暮らし

 

 私は、今年から地域の方にやり方を教わりながら、米作りに挑戦しています。特に、エビスヤさん(※井仁に住む家には屋号があります)というお爺さんは親身になって教え、私ができない作業をしてくれるありがたい存在です。井仁で生まれ、米づくりを始めて50年ほど経つ大ベテランであり、もともと林業関係の仕事をしていたので山仕事もテキパキこなし、一緒にいると勉強になる、かっこいい先輩です!安芸太田町で取り組まれている民泊の受け入れもしており、5月の中ごろに私が借りた田んぼで、中学生と一緒に田植えをしました。

 

田植え

 

 エビスヤさんは、米だけでなく野菜も育てており、昨年はかぼちゃを使った焼酎を作りました。その際に、ラベルをデザインしてくれ!と頼まれて、私がデザインを担当しました。なんとかデザインも完成し、製造をお願いしていた酒造から製品が出荷され、4月末から道の駅「来夢とごうち」にて販売が開始しました。できた本数が35本だったのですが、味が良かったのでしょうか?ほぼ売り切れとなりました!今年はもっとたくさんのかぼちゃを作って、焼酎を販売してくれることでしょう。

 

 エビスヤさん

 

焼酎

 

 井仁では、月に一度、「野草の会」を開いています。野草の会が開催されるようになったのは、安芸太田町に住み、自然農や体に安全な食を大切に生活している方が、自然が豊かで薬効のある野草がたくさん生えているこの地で、野草の素晴らしさを伝えたいということで、野草の会がスタートしました。健康や食に興味が高い女性や子育てをしている家族に好評で、口コミながらも参加される方が増えてきました。野草博士の自然の話を聞いて、ファンになる方もいます。

 

野草の会

 

 4月に6名の新しい協力隊が加入した際の研修では、井仁の新たな魅力を知ってもらうために野草の会をしました。野草博士の説明を聞きながら、野草を取り、食べる様子は、状況を知らない人から見ると、ただの草刈りのようにも見えて、不思議な光景かもしれません。

 

 野草博士

 

 そして、井仁の棚田には、農家ばかりが住んでいるわけではありません!(ナンダッテー!)なんとウメダさんという腕の良い大工さんも住んでいます!現在は、大工の仕事は時々で、その大工の技を活かして木工細工を作っています。私が協力隊になって数か月たったころに、ひょっこり現れ、自分の作品の話やこれからの目標などを熱く語り、それからは私の活動に協力してくれるようになりました。ウメダさんの木工細工は彫刻刀で、木の板に絵を彫り、光を裏から透かすと、綺麗な花火の絵が浮かび上がる綺麗な作品です。

 

 あかり絵と木っぱ細工

 

 作り始めてから、3年程が経ち、ようやく人に見せることができるようになったとのことで、イベントの際に展示してくれます。今年の冬の間には、木っ端を使った木の皿を作りました。ひとつひとつ手作りで、あたたかみがあり、お菓子やパンの皿にしたり、コースターや物置にぴったりです。木の皿は、かぼちゃ焼酎と同じく道の駅「来夢とごうち」にて販売がはじまりました。他にも、いろんな木工細工を製作しているので、今後、販売していけたらと思います。

 

木工細工

 

 棚田の見ごろの時期は、水が張られた今の時期ではないでしょうか。棚田に水が張られた様子は、風光明媚であるので、写真を撮りに来る方がたくさんいます。中には、定期的に訪れて、いろいろな井仁の棚田の風景をおさめ、井仁の棚田の写真展を開かれた方がおります。この方は、6年間、写真を撮り続け、地域の方とも交流し、よく井仁のことを知っておられます。私も、写真展にお邪魔しましたが、井仁の事についてたくさん話をしてくださり、愛情が伝わってきました。

 

 写真展

 

 今年の6月で、私は協力隊となって丁度、一年となります。安芸太田町のこと、井仁の棚田のこともほとんど知らず、地域おこしとは何だろうと自問自答しながら進んできた私を支えてくれた人のひとりである、いにぴちゅ会(井仁の自治会)の会長であるコウノさんは、井仁の棚田のキーパーソンです。コウノさんは、年は40くらい離れていますが、時には私の人生の師匠であり、対等に扱ってくれるパートナーでもあります。コウノさんがいなければ、井仁の棚田での活動は、より大変なものとなっていたと思います。先日、井仁の棚田で新聞の取材があり、二人並んで撮影をしました。こうやって、二人並んで撮った写真は、今までなかったので、私にとって大切な写真です。

 

 いにぴちゅ会

 (中国新聞社提供)

 

 今回、何人か紹介しましたが、他にも素敵な人たちがたくさんいますので、今後も引き続き紹介していきたいと思います!井仁に住む人、関わってくれるよそ者、共通するのは井仁の棚田に愛着を持っていることだと感じています。井仁の棚田の自然や景観、都市との交流ができること…、井仁の好きなところは人それぞれであると思いますが、井仁を訪れて魅力を発見し、深く関わってくれたら…と思いながら、そんな人たちを増やしていけるような活動をしていきたいなと思います。

 

 

 

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