高知観光の隠れた名所、物部川流域
- 執筆者 吉尾洋一
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
2016/06/13
高知の観光でメジャー所に行き尽くしてしまった人が、新しい開拓地として目を向けてもらいたい地域が物部川流域です。
高知には一級河川が4つあります。四万十川、仁淀川、吉野川、そして物部川。前3つはいずれも最後の清流、仁淀ブルー、激流などでそれぞれ全国に知られている川ですが、物部川?何があるの?と結構ノーマークになりがちな川です。しかーし!高知好きに再チェックしてもらいたいのが実は物部川!!それぞれの川は流域によって文化的な特徴も違います。
物部川はダムもあり、川の流れも緩やかなので湖畔のように穏やかな文化が根付く場所かと思いきやそうでもない。穏やかでも尖った人が集るのがこの流域だと勝手に思ってます。
僕が行って物部川流域のここは押さえたいというイベント、場所情報をまとめて紹介します。
湖水祭り
数ある高知の盆踊りで間違いなく一番ホットなのは毎年8月14日に行なわれる湖水祭りです。
湖と山に囲まれた会場に近づくと大音量でみんなが輪になってディスコサウンドで踊っている姿は異様ですが必見!笑 この祭り、ディスコサウンドと盆踊りをテレコに流し、老若男女問わずエンドレスで踊りまくるという踊らずにはいられないようなお祭りなのです。
振り付けも割と単純なので、行ってしばらく周りのまねをしていると、何となくみんなと一緒に踊れてしまい、体力が続く限り祭りの環が広がっていきます。地元の人も、外からきた一見さんも、一緒になって踊っているのが高知らしいというか、この地域の気質が現れていると思います。是非高知に来たら体験してもらいたい祭りの一つです。
高知県民は祭りが大好きなのか、至る所で祭りやイベントが行なわれ、今もなお作られ続けています。最近は外から入ってきたエネルギーと、元々のお祭り好きの県民性も加わり、毎年何が生まれるか目が離せないようなイベントがたくさんあります。
くぼっちゃん祭り
湖水祭りのある会場より更に物部川を上流に登った、山の中にある木造校舎の旧久保小学校で始まったのが「くぼっちゃん祭り」。残念ながら今年は開催されなかったようですが、こんな山奥に遠方からこんなに人が!と思わず目を見張る祭りです。
校舎もかなり味があって、階段なんか傾いていますが、それもご愛嬌です。
実は、こういう手作りイベントは広く知られていないだけで、高知ではよく行なわれます。
売られている物はみんなが安心して食べられる食べ物や手間ひまかけられて作られるモノ。
ライブも遠くから熱い出演者がたくさん集ってきています。
山奥で開催されるこういうイベントでは、若者が楽しんで地元の人は敬遠しがちだったりしますが、このくぼっちゃん祭りが素晴らしいのは地元の人の積極性です。若者のパワーに負けず、地元のおばちゃん達もグイグイ入ってきます。
外からのアーティストに加わって、おばちゃんたちのこんにゃくづくりワークショップも大盛況!一緒に参加した友達も「空家ならなんぼでもあるけん、この集落にきいや」と積極的勧誘を受けるほど器の広い地元の人達。
若者と地元の人のコミュニケーションがとれていないと出来ないことなので、こういう場所は祭りがなくても何か面白いことが起こりそうです。この地域も目が離せません!
香北町
物部川を下流に下って、アンパンマンの作者のやなせたかしさんの出身地である香北町周辺にも、面白い人達がたくさんいます。
今回はどの観光案内にも載っているアンパンマンミュージアムの紹介は省きますが、高知県に来た人ならすぐ気づくのは、高知県は至るところに、やなせたかしデザインに溢れています。そして、中でも香北町はやなせたかし先生のお膝元。何処よりもやなせデザインが溢れています。
ものべがわCafeチャリ
香北町の面白さを隅々まで伝えてくれたのは、株式会社わらびのの方々。
わらびのでは、ものべがわCafeチャリ というチャリツアーを企画しています。
昨年秋のいい時期に体験して来ました!はじめは、なぜ「カフェ」と「チャリ」と思ったんですが、体験してみると、なるほど、物部川は確かにカフェとチャリが楽しめる場所だなと分かりました。
この日は天候も申し分無しのチャリ日和!
人って自転車乗ってるだけで幸せになれるんですね〜
物部川の醍醐味は湖のような静かな川。確かに県内の他の一級河川にはない良さがここにはありますね。
ツアーでは途中、地元の人しか知らないようなヒミツの場所も案内してくれます。自転車好きの人なら自分で自転車を持って行きたい人もいると思いますが、短時間で地域の要所を回ろうと思ったらやっぱり地元のガイドがほしいです。しかも、ガイドの風人さんは、いくつもあるコースから参加者のその日の体調を考えたコースを、臨機応変に対応してくれる名ガイド。
お昼はいくつも候補がある中で僕たちは今回バリ料理、北インド料理のお店『 バリ・ジャスミン 』 を選択しました。
バリから高知にやって来た奥さんがはじめたお店。北インドの料理人も調理してくれるとのことでどんなお店かワクワクしていったら・・・ 高知の山なのにバリ感すごいです。
もちろん味は間違いなし!このカレーを食べるために香北町にきてもいいレベルです。ここに行った人は、バリにするか北インドにするかきっと迷うことでしょう。
食後、今回なぜか修行好きのメンバーが集結してしまい、これまでの参加者で最長で難所の滝コースを選択することになりました。しかし、やってみると山を自転車で登るのは結構しんどい。日頃の運動不足を目の当たりにするのでした。。
それでも、やりきったあとの開放感はこの上無し!しばし、マイナスイオンに癒されます。
その後、下り坂にのって、おやつを食べにカフェへ一直線!
言わずと知れた撮影スタジオなのに、なぜかかき氷の名店 『 ラフディップ 』
あ〜、疲れた身体にかき氷が染みわたる~。
満足感で心も身体も癒されます。
書いていてまた食べたくなってきます。
かき氷なのに冬でもお客さんが絶えないラフディップですが、このかき氷を食べれば納得します。
さすがスタジオだけあって、店内には食べなくても来たくなるような気が行き届いた雑貨や本がそろえられています。
野菜収穫
その後、ご近所のニラ農家さんの元でニラの収穫体験と試食。このニラがあまーいのです。
ニラがこんなにうまいとはとみんなから歓声が上がっています。
ツアーには、都会から来る参加者のために、収穫体験を入れてくれているのでしょう。中には、このニラ収穫が一番良かったという声もあるそうです。風景、食、地元との交流と1日の自転車ツアーで、これだけ満足して回れるのは香北町じゃないとできないですね。別の流域では、1日でこれだけの場所を回ろうとすると、やっぱり車が必要な地域が殆どだと思います。香北町周辺の物部川は、チャリが合うなぁと、納得するツアーでした。
湖畔遊
最後は、近くにある『 湖畔遊 』で身も心も開放させてもらいました。
しかも、源泉かけ流し!人も少ない!温泉好きも満足できるお風呂。
この日だけで満たされ感が半端ない日になりました。
うずまき舎
ここまで来たら、山の上で本屋『 うずまき舎 』も是非行ってみてほしいお店です。ちよさんの微笑みに癒されることでしょう。
まだまだ伝えきれていない程掘れば掘る程わさわさ出て来るのが物部川。高知市からもわりと近いので観光で来た方、移住者して来た人、物部川がアンパンマンミュージアムしかないと思っている地元の人も、一度物部川流域の遊びを楽しんでみてくださいねー。