考える村でじっくり考える、のススメ

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執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2016/07/12

 

 高知には、方々を問わず、隠れた名所があります。県内すべての市町村を訪れた私も、見聞を広めながら新たな発見をしている日々でございます。そう、高知には県民ですら知らない未踏の地が、数多く眠っているのです。

 

 さて、今回ご紹介する施設は、安芸郡芸西村にある「考える村」と呼ばれる何とも哲学的なネーミングの所。実はここ、他県民はおろか、高知県民でさえその存在をほとんど知らないみたいなんです! しかし、なぜ私が考える村を知り得たのかというと、実は自らを「考える村フリーク」だと豪語する主人からの紹介なんです。彼曰く、本当に心の奥底からゆっくりしたいとき、空っぽにしたいとき、何かを真剣に考えたいときに訪れるべきだ! とのこと… 普段は物静かな彼がえらく熱弁を振るうので、迷わず訪れることに。

 

 高知市内からは車でおよそ50分。芸西へ向かう国道沿いに、考える村へ通じる登り口を示す案内板があるのですが、これがともすると見落としがち。案の定、一度は私も通り過ぎ… 険しい山道を乗り越え、やっとこさたどり着いたそこで目にした看板がコチラ。

 

考える村

何とも重厚です。刻まれております、しっかりと。

 

 

 しかしさて、なぜ「考える村」という他に類を見ない独特な名前なのか、皆さん気になりませんか? お教えしましょう! 何でも、桂浜の坂本龍馬像の建設に尽力した故・入交好保氏が「自然の中に身を置き、人間の生き方を見つめ直し考える」そのための時間と場所をどなた様にも提供する、という目的で設立されたのだそうです。だからこそ「考える村」と呼ばれるんですね~。

 さて、車を停め施設へ通じる入り口へ向かう途中にも、素晴らしい金言が。

 

 故・入交好保氏

これだけで、否が応でも色々と考えさせられます。

 

 

 さらに村の敷地の中には「語録の道」と呼ばれる全長約4キロの遊歩道があります。坂本龍馬の船中八策をはじめ、土佐の偉人たちが残した語録の碑十六基が設置されています。先人たちの言葉に触れながら、のんびりと歩く人も多いのだとか。

 そして石畳を登った先には、太平洋をこれでもかと望むテラスが。龍馬像もビックリの素晴らしい景観です!

 

黒潮カントリークラブ

手前に見えるゴルフ場は「黒潮カントリークラブ」。まさか上から眺められるとは。

 

入り口まで広々

テラスから入り口まで広々としているので、思い切り伸びをしたくなります。

 

 

 中はこんな感じでさらに広い!

 

 ギャラリーホール

施設の中心でもあるギャラリーホール。

 

ギャラリースペース

3階はギャラリースペース。写真展や作品展を開催できます。

 

考堂

奥に見える畳の間に正座して瞑想してみました。

 

 

 考える村の中心施設である「考堂」と大きく掲げられたギャラリーホールでは、展示会やミニコンサート、各種研修や合宿、それに教室やセミナー、体験プログラム等、とにかく利用方法が幅広く豊富。取り分け物づくり展やネイチャーウォーク等の体験プログラムは人気みたいです。さらに、ここ考える村は宿泊まで出来てしまうというから驚き!

 

セパレートタイプの12畳の部屋

セパレートタイプの12畳(6畳×2)の部屋。

 

 

 こちらの和室は宿泊だけでなく、日帰りの会議や研修にも利用できます。もちろんお風呂も完備しているため、ご家族やご友人同士でのお泊まりもオッケー。さて今回、私が訪れたのは、ギャラリーホールに併設されている「茶房 舞花」。

 

茶房 舞花

ゆったりとした時間が流れます。

 

地元高知の陶芸作家の器

座敷もあります。その隣りには地元高知の陶芸作家の器。

 

手作りケーキセット

手作りケーキセット。自家製ケーキ+飲み物 600円。

 

 

 舞花さんのメニューは、すべて村で沸くミネラル豊富な地下水と、地元農家さんの新鮮な野菜をたっぷり使っています。ざっとメニューのラインナップ(一部)はこちら。(2016年6月現在。7月以降はメニューの変更があります)

 

 ●太陽のめぐみランチ……前日までの予約制。

 ●季節野菜の焼きカレー

 ●やさいあんかけうどん

 ●もりそば

 ●ざるそば

 ●白玉ぜんざい

 

 等々…「旬の素材をお客様に楽しんでいただく」を第一にし、「身体と心に優しい」おもてなしのメニュー構成となっているそうな。そして器は地元高知の陶芸作家さんのものや、唐津焼、そして備前焼まで豊富に取り揃えています。こだわってますね~。雄大な太平洋を望みながら、さらに四季折々の草花や鳥たちのさえずりを聞きながら、ほんっとうに、ゆったりとした時間を過ごせます。

 

 ●茶房 舞花……営業時間/10:00~16:30、事業整備のため、6月末までは臨時休業。7月以降は土・日のみ営業。

 

 そして、ここでは至る所で格言&教訓が見られます。それは廊下の掛け軸の一言であったり、あるいは石に長々と刻んであったり。どれもこれもが、もれなく「考えさせられる」もので、思わず見入ってしまいます。

 

先人たちの言葉

先人たちの言葉は説得力があります。一つひとつの言葉が五臓六腑に染みます。

 

 

 滞在時間にして、およそ3時間くらいだったでしょうか。たったの3時間という短い間でも、普段は「考える」ということを意識しないだけに、改めてじっくり物事を考える=静かな時間を持つ、ということの大切さに気づかされました。太平洋を望む圧倒的な景観、時間を忘れさせてくれる空間、素材にこだわった優しい手作り料理、小鳥のさえずり、色とりどりの草花… 都会の喧噪に疲れた人、人付き合いに疲れた人、人生に行き詰まっている人… あらゆるものがグローバル化し、情報が行き交い、めまぐるしく変化し、その果て、ともすると大切なものを見失いがちな私たち現代人にとって、この考える村は必要不可欠な施設なのかもしれません。

 

 さて、冒頭で自らを考える村フリークだと豪語していた主人は、本音はここを大々的には広めたくないそうです。隠れ家的スポットとして、心のうちにひそめておきたいとか。紹介しておいてなんですが… なんとなく、わからないでもないです(笑) この感じは行ってみないとわからないものかもしれません。しかし、あえて自信を持って言いましょう! みなさん、ぜひ「考える村」へわざわざ行きましょう!

 

一般社団法人 考える村

高知県安芸郡芸西村西分甲5502-2

TEL/887-33-3681

 

 

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