井仁の棚田の秋の出来事
2016/10/31
- 執筆者 友松裕希
- 所 属安芸太田町地域おこし協力隊
雨の降らない夏が終わり、秋の雰囲気になりました。井仁の棚田の夏はセミやカエルが至る所で鳴き、草刈り機の音がしていて賑やかだったのに、稲刈りが終わると、静かになりました。
8月は快晴が続いたので、棚田の稲はすくすく育ちましたが、9月に入ってからの連日の雨と台風には困ったものでした…雨が降ると、田んぼがぬかるんで、稲刈りができなかったり、天日干しした稲の乾きが悪くなり、芽が出てしまうのではないかと心配になりました。
天候不順でしたが私が借りていた田んぼも、無事に実り、稲刈りや脱穀を地域の方々に手伝ってもらい、無事に食べるお米になりました!収穫できた量は、玄米150kgほど。自分の力で作ってみて、初めて感じる一粒一粒のお米のありがたさ、そして、一人では決して作ることはできなかった協力してくれた地域の皆への感謝を感じております。
9月のことですが、井仁では、大学インターシップを行いました。広島大学が行う地域志向インターンシップとは、地域・自治体と大学が連携し、学生が体験したり研修生等として働き、自分の将来に関連のある地域体験を通じて地域に貢献する人材を育成しようとするものです。
昨年から、井仁でインターンシップに取り組み、今年で2回目となりました。前回は、初めてのインターンシップであったので、受け入れる際の準備でわからないことが多々あり、今年はもっと良いものにしたいという思いがありました。今年は四人の学生が来てくれました。スケジュールは以下のような感じです。
H28大学インターンシップ スケジュール
1日目 顔合わせ&棚田散策
2日目 大工の職人さんと木工細工体験
一人暮らしのおばあちゃんの家の障子の張替
3日目 草刈り&井仁棚田交流館の民具整理
4日目 稲刈り
5日目 野草の会&交流会
6日目 ワークショップ
前年は、地域の人数名と毎日、作業に取り組むという形にしましたが、参加した地域の方の負担が大きいのと、作業の内容が偏っており、井仁のいろんな面を知ってもらうには難しい内容でした。
今年は、井仁の棚田に住む人や関わる人のもとを訪れ、作業を教わったり、手伝いをしたりしながら、田舎の暮らしを知ってもらうような内容に変更しました。地域の関わる人や作業が分散したので負担が少なくなり、地域の方との密な交流をとることができたと思います。
大学インターンシップなどの田舎の暮らしを体験するイベントや日本各地で行われており、いろいろな形式があると思いますので、ひとつの例として参考になればと思います。6日間をまとめた動画を作りましたので、ご覧になってください!
H28 広島大学 インターンシップ
井仁の棚田では、数年前、地域でできた野菜を直売する青空市がありました。しかし、地域のおばあちゃん達の高齢化から継続が難しくなり、青空市はなくなってしまいました。地域の方から、青空市を復活させたいという声が時々あがりますが、実際に行動することもなく、今に至っています。
地域おこし協力隊として、皆を説得して再度、挑戦するのも一つの手ですが、時間がかかるし、復活させたのに上手くいかなかったときのリスクは大きい…と思ったので、「今年は自分が畑で作った野菜があるし、まずは自分ひとりでやってみて、地域の人に反応を見てもらおう!上手くいけば、地域の人が手伝ってくれたり、一歩踏み出してくれたりするかも!作戦」で青空市をしてみました。
井仁で木工細工を作っているおじさんが一緒に作品を並べてくれ、おばあちゃんも野菜を持ってきて手伝ってくれました。この日は、見ごろシーズンの棚田の写真が新聞に載った、最初の休日だったので、人が棚田を見に来るだろうという確信があり、予想通り朝早くからたくさんの人が途切れなく来てくれて、野菜を買ってくれました。青空市をしているのを知って、様子を見にきてくれたり、後日、また青空市しようと言ってくれた人もいて、小さな行動ですが、トライしてみて良かった思える出来事でした。
他には、新たに取り組んだことで、棚田パブリックビューイングがあります。地域の方が、昔に構想していたイベントで、その時は実現することができなかったそうですが、やってみようと声があがり実現することができました。
今回は、第一回だったので、地域の方と関係者のみで広島カープの試合を観戦することにしました。
この日は、広島カープの優勝決定戦の中継でした。自分は大人数でスポーツを観戦するという経験があまりなかったのですが、優勝が決まった瞬間の喜びは、より記憶に残ると思います。スポーツの力ってすごい!やってみたいと思っていたけど実現に至らなかったことが、こうやって形にできたことは、大きな一歩です。
いくつか最近の出来事を紹介しましたが、他にもテレビ番組の収録があったり、稲刈り体験会、敬老会やらいろいろありました。
田舎のイメージに、ゆっくりのんびりした暮らしをしているイメージがありましたが、実際住んでみるといろんな事が舞い込んできて、結構忙しいじゃん!と思いました。
できる事があるということは、それだけ、井仁にいろんな人が関わってくれているということの証なので、ありがたいことです!これから、もっと寒くなって、厳しい冬がやってきます。あと少し秋を満喫したいと思います!