郷の静で癒
2017/10/24
- 執筆者 川村かおり
- 所 属
高知県の真ん中よりちょっと西。 中土佐町久礼(なかとさちょうくれ)から川村です。こんにちは。
えーと、ちょっとご報告。
東京からこっちへ来て11年目。5年くらい地域活性の仕事に携わりながら、”発酵”の勉強を経て”酒造り”の世界に入り。ものすごくこれが大好きになって、ずっと一生、この世界にいたいと思っていたものの、続けることがこのたび無理になり、酒蔵をやめました。あ~あ。
理由は書きませんが、目標が失われた、夢敗れた、そんなんでものすごく落ち込む日々です。マガジンにこのこと書けたことで、ちょっと前を見始められた?かもしれなくてちょっと救われています。
かと言ってまだ、限られた友人以外、誰にも会いたくなく。 町へ買い物すら出かける気になれません。
出かけていくとしたら、本当に何かやらないといけない用事をこなしに、わざわざ路地裏の道を選んで駅へ行き汽車に乗って隣町まで行っています。
それくらい誰も私をしらないところでしか何にもできない、したくない気持ちです。あ、ダメダメかも、やはり。
けれどホントに何もせずにただ家にいるのは、ますます気分が沈んでいくだけなので。義姉の農家でイチゴのお世話をしたり、義母の畑を耕したり、猫が破いた障子を直したりしています。
落ち込んでいる私を見かねた夫が、そういう小さな用事を作ってくれて、初めて使う手押しの小さな耕うん機の使い方も教えてくれるので、気を遣わせているなぁと申し訳なく思いつつ、感謝しています。
きっと町に出て、元気な漁師のおかみさんたちとたわいない話をしたら元気をもらえると思う。落ち込んだ気持ちなんて、笑ってふきとばせちゃうのだろうと。
でもあんまり強い薬には相応の副作用があるように、今の私にはそんなきっと楽しいシチュエーションはそのあと一人になって、やりたいことがなくなっちゃった現実に戻った時のダメージの大きさが怖くていけません。
幸い、うちは久礼の中でも郷(ごう)とよばれる地域で、漁師さんのたくさんいる港付近から離れたところなので、あんまり人に会うこともないし、静かな環境です。
周りはハウスばっかりだし、今は桜もないので新緑や、これから花を咲かせそうな紫陽花、のびきった新しい竹、ミミズやアリンコ、カエルにヘビ、人より植物や虫、爬虫類のほうが多いかも。
そんな環境もほんの少し、救いになっています。
いつになったらまた何か新しい目標とか夢とかもてて、そのためにがんばれるのか今はまだわかりません。
心の穴が急に大きくなって、それ飲み込まれる夜もある。朝目が覚めてすぐ穴に落ちることもある。
眠れなくなって涙が出ることも、朝から泣くのを我慢して夕方には限界になることも。
それなのに朝が来て、昼になって、太陽と月が入れ替わる。また入れ替わって雨が降ったり、きれいに晴れたり。
そしてマガジンの締切もやってくる。
世の中は私の気持ちとは無関係に動いていて、時間も虫も植物も、あんまりいないけど近所の人も同じように流れてく。
その中で私は心の穴をゆっくり静かに実感する。 結局受け入れるしかないんだから。