都会の子どもたちと創る! 十日町市飛渡の田んぼアート
- 執筆者 福嶋美佳
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2017/12/22
こんにちは。NPO地域おこしの福島です。
突然ですが、皆さんは「田んぼアート」をご存知でしょうか??
様々な色をした多種類の稲を田んぼに植えて、絵を描くのが「田んぼアート」。青森県田舎館村が一番有名だと思います。
私たちが活動する池谷集落が位置する、飛渡(とびたり)地区でも、住民が中心になって「田んぼアート」の活動をしています。
田舎館村ほどの完成度ではありませんが、今年で6年目になるので、市内では知る人ぞ知るスポットになっているようです。
そんな飛渡地区の「田んぼアート」。私たちNPO地域おこしも関わらせてもらっていますので、制作の様子をご紹介したいと思います!
まず、田んぼアート制作の中で一番大変で、一番重要な「下書き」の作業。
きっと田舎館村のような大掛かりな田んぼアートでは、きちんと測量して高度な技術で下書きの作業をしているんだと思いますが、私たちはそんな技術がないので、プロジェクターを使ったお手軽な方法でやっています。
どんな風にするのかというと、まず、キャンバスとなる田んぼにプロジェクターで下絵を投影します。もちろん明るい昼間ではできないので、夜暗くなってからの作業です。
山間地なので人はあまり通らないですが、通りがかった人からみると、怪しいことをしている集団に見えること間違いなしです…笑。
左側にうっすらと映っているのがプロジェクター。道から見下ろす田んぼに投影するのですが、高さが必要なのでコンテナを積んでいます。
さらにプロジェクターに角度が必要なので、タオルで調整しています。田んぼの水面におさまるようにプロジェクターを調整するのも、なかなか技が必要なんです。
写真では結構はっきりと絵が映っているように見えますが、実際はもっと光が薄かったです。
田んぼに映す下絵の位置が決まったら、田んぼにざぶざぶと入り、光の線に沿ってイボ竹(ナスなどの支柱に使う棒)を田んぼにさします。そして、イボ竹をPPテープで結んで輪郭を作ります。
この時、ちょっとでもプロジェクターの位置がずれると、大変なことになります。プロジェクター自体のずれがほんの少しでも、遠くの田んぼに投影している下絵はものすごーくずれてしまうので、最初からやり直しです。
実際、去年作業の途中でそんなハプニングが起きてしまい、修正不可能となり、違う日に改めてやり直しました(汗)。
失敗からの経験は大事ですね。今年は無事にずれることもなく、約1時間ほどで作業を終えることができました。
ちなみに、前述の田舎館村はなんと7種類もの稲で絵を描いているそうです。
私たちはそんなにたくさんの種類の稲を入手することができないので(色々とルールがあり入手困難なんです)、普通のコシヒカリとムラサキイネという黒米の2種類で絵を作っています。
なので、絵はとにかくシンプルイズベスト!! これも去年、図柄を複雑にしてしまい苦労したという反省をふまえた教訓です。
今年は、十日町市のゆるキャラ「ネージュ」くんです。
下書きされた状態の田んぼを、明るいところでみるとこんな感じになっています。
すでにちょっと絵になっていますね。
ちなみに、田んぼの畦からみるとこんな状態です。
苗を植える作業はイベントとして行ない、東京から参加してくださった元気な子どもたちとわいわい賑やかにやりました!
ちなみに、大人は田植え用の長靴がありますが、子ども用は売っていないのでハイソックスで代用しました。保護者の皆さんもハイソックスで田んぼイン!
土の感触をダイレクトに感じることができ、初めての田んぼに子どもも大人も大興奮でした!
テープで囲んだ絵のアウトラインになる部分をムラサキイネで植えて、それ以外の部分はコシヒカリを植えました。
子どもたちはすぐに飽きちゃうかな~と思っていたんですが、思った以上に集中して植えてくれていたのでびっくり!!
子どもの持っている力って、大人が想像する以上なんですね。
後半には田植え機にも乗せてもらって、超ご機嫌でした!
さて、田んぼアートがどう成長していったか。ダイジェストでお届けします。
田植え10日後。うっすら見えますが、まだ成長はこれから。
田植え約2週間後。アウトラインの黒米が濃くなってきました。
田植え約1ヶ月後。だいぶはっきりとしてきました。
田植え約1ヶ月半後。コシヒカリがのび、田んぼアートらしくなってきました。縦のラインは溝きりの跡です。
田植え約2ヶ月後。立派な田んぼアートになりました。
そして、田植えから約4ヶ月後に稲刈りをしました。
コシヒカリが少し倒伏し、黒米はまっすぐ立ったままなので、なんだか3Dアートのようになりました。
稲刈りもイベントにし、田植えに来てくれた子どもたちと一緒に黒米を手刈しました。(コシヒカリはコンバインで刈りました)
稲刈りをした日は奇跡的に晴れましたが、それ以前の大雨で田んぼが大変ぬかるんでいて、一歩進むにも一苦労!! 子どもたちはお米を作ることの大変さを実感したことでしょう…!
予想以上に苦戦しましたが、なんとか全て刈り終えることができました。
今回参加してくれた子どもたちには心の隅にこの体験をとっておいてもらって、大人になった時に「こんなことしたな~。なんか大変だったな~。」と思い出してもらえたらと思います。子どもの頃の原体験って、大人になった時に活きてくるものですよね。
子どもたちと一緒に田んぼアートを作れて、本当に良かったです!!
(一部写真提供:小野悠介)