四万十と田舎暮らしと私
- 執筆者 高濱望
- 所 属GUESTHOUSEオキオカ
2019/09/09
はじめまして。高知県四万十市西土佐で暮らしている高濱望です。
2016年8月に広島県広島市から四万十へと移住して早3年。四万十市地域おこし協力隊として2年間の活動を終え、今は素泊まり宿の「GUESTHOUSEオキオカ」のオーナーだったり、「さとう式リンパケア」のセラピストだったり、電子楽器「マトリョミン」の演奏や教室をしたり、助っ人としてバイトに行ったり、畑や草刈りに追われたりしながら生活しています。
アレコレやっていると「メインの仕事はなに?」と聞かれることも多いのですが、私自身は何か一つだけをメインに、という意識はあまりありません。
夏の今の時期はやはり川遊び目当ての観光客でゲストハウスの繁忙期なので、便宜上“ゲストハウスをやっている人”として自己紹介しています。
ここではあまり囚われずに色んなことを書いていきたいなぁと思っています。
こんなところに住んでいます
私のゲストハウス兼サロン兼自宅は四万十市西土佐口屋内という集落にあります。
「住んでいる人の数より猿や鹿の数のほうが多い」が鉄板ネタの田舎です。家は四万十川が見下ろせる高台にあり、目の前には田んぼ、裏は山、庭には池、庭を見渡せる縁側もあり、これまた絵に描いたような田舎の家です。
家主のご厚意で「好きに使っていいよ」と言っていただき、畳を板張りにしたり壁に漆喰を塗ったりとセルフリノベーションしました。
四万十に来る前から、田舎でのゲストハウス開業は選択肢の一つとしてぼんやりと考えていました。ただ、貸してもらえる家がなければ実現は不可能です。
移住した当初から空き家を探していましたが(協力隊の間は市が用意してくれた住宅に住んでいました)、今の家を貸してもらえることになったのは本当に運がよかったとしか言いようがありません。
誤算だったのは、畑と栗の若木100本以上の管理がついてきたことでしょうか(笑)畑では見よう見まねで野菜を作っていますが、栗の管理は一人では無理なので大半をほかの人にお願いしています。
私が四万十に来た理由
今まさに「田舎暮らし」をやっていながらこんなことを言うのもあれですが、田舎暮らしにすごい憧れていたかというと、そんなこともありませんでした。
「広島じゃないところに住んでみたい」→「あったかいところがいい」→「四国か九州かな」→「旅行で行った高知おもしろかった!」→「協力隊に応募してみよう」→「受かった!」そんな軽い流れです。
「住むなら都会よりは田舎かな~?」
という漠然とした直感と、
「どうせ田舎に行くなら中途半端な田舎じゃなくて自信をもって田舎と言える田舎がいいな」
という謎の思い切りが、高知の中でも四万十を選んだ理由でもあります。
もちろんほかにも色んな要因はありますが(下見で行った黒尊川がきれいだったとか、知名度のある四万十川近くならゲストハウスをやるにしても有利とか)、とにかくやってみないとわからないことばかりだったので、今もし移住に悩んでいる人が目の前にいたら、
「ある程度情報を手に入れたなら、あとは飛び込んでみるのも手だと思います」
と私は背中を押します。もし上手くいかなくても死ぬわけじゃないし。
田舎暮らしの予想外
実際に田舎暮らしをしてみて、「こんなはずじゃなかった」みたいなのはよく聞く話ですが、私は事前にあれこれ予想するタイプではないので、現実と理想の大きなギャップはありませんでした。夏の草刈り、高いガソリン代、猿による畑襲撃、南国のはずなのに雪が降る、のはまぁ想定の範囲内です。
予想外だったのは「盆踊りが楽しい」ことでしょうか。
四万十に来るまで、盆踊りというものを踊ったことがなかったんです。
「西土佐音頭」「手拭い音頭」「よさこい鳴子踊り」の3つが定番で、地域のおばちゃんたちに教わって踊れるようになりました。お盆の時期はちょうどゲストハウスの繁忙期でもあるので、今年は1回しか踊れてないのが悲しいところです。夏祭りをはしごするために来年は何か策を考えなければ。
せっかく田舎に暮らしているのに、仕事が忙しくて夏祭りに行けない、川遊びができない、では一体なんのためにここに暮らしているのか。本末転倒です。いやまぁ隙を見て川遊びもしましたけどね。
おいでよ黒尊川
そう、夏の川遊びといえば! 四万十川だけではないんです。口屋内には、黒尊川(くろそんがわ)という四万十川の支流の中でもっとも透明度が高いといわれている美しい川があります。
特に、天皇橋の下「おごりゅう」と呼ばれる場所は夏になると川遊びにくる人たちでにぎわいます。ただ、せまい道路にずらっと車が並んで通行の時に注意が必要なことと、ゴミを河原に捨てていく人がいることは残念です。
黒尊川は上流に行けば行くほどキレイなので、車が混み合っているときは是非上流にも行ってみてほしいです。
「黒尊川で川遊びをしたらもう四万十川では遊べない(黒尊川に比べたら水が汚いから)」
と言われるほど美しい川が暮らしのすぐ傍にあるって、考えてみたらとても贅沢。自信を持って
「いいところだから、おいでよ」
と言えるのが、今私が住んでいる場所です。