日本昔話が実際に体験できる田舎暮らしとは?!ミニトマトを配ると起こる「わらしべ長者」物語
みなさんこんにちは。佐賀県の山奥に住んで1年が経つ、ヤマモトスグルです。「田舎暮らしの良さはなにか?」と聞かれると、こう答えます。
“集落の人たちがみんな家族のように接してくれる”
先日も朝、起きたら家の目の前に大根が2本置いてありました。「何かの恩返し的なものなのか?」と思いましたが、近所のおっちゃんが置いてくれていたみたいです。田舎暮らしをしていると日本昔話的なことが起こります。
今回はミニトマトを配ったら「わらしべ長者」になったお話です。
現在、古民家に住んでいます。家の周りには畑や田んぼしかありません。自然豊かな田舎暮らしを満喫中の僕です。
なかでも一番の楽しみは『野菜作り』です。現在15種類の夏野菜を作っています。とはいっても農業経験未経験の僕が畑を借りて野菜を作ることは本当に難しい。
しかし移住して半年が経った頃、
「やはり田舎暮らしするなら、野菜を作りたい」
と思い立ち、畑に飛びつきました。それはまさに、お腹を減らした猫がキャットフード“カルカン”にまっしぐらするCMのように。ただ、飛びついたは良いものの・・・。
「どこから手を付ければいいのかわからない」
途方にくれ鍬一本を握りしめ畑に立っていた。その時!!
「畑にするなら、まずは畑をおこさなきゃ」
とトラクターに乗り、集落のおっちゃんが颯爽と登場してくれたではありませんか!! それはまさに僕のヒーローでした。
田舎暮らしのスゴいところ。それは、農業猛者が周りたくさんいること。
それからというもの、毎日のように集落の皆さんが心配して声をかけてくれ、野菜の育て方を教えてくれました。
僕もおんぶに抱っこじゃカッコ悪いと、ひとつひとつ野菜の勉強しながら、雨の日も風の日も、毎朝、畑に出ました。そして、ついに今年の夏。大量の野菜を作ることができました!!!
だが、しかーし!!・・・出来すぎちゃいました。(笑)
欲が出たんです! 特にミニトマトは環境に強いので、脇芽をさしておけば、新たに根を張り、大きく育ち、どんどん増せてしまう。僕は欲深い男です。
「増やせるなら、どんどん増やした方がいいんじゃないの!?」
と脇芽を刺した結果。ミニトマトのテロが起こってしまった。
毎朝、ミニトマトが僕の朝食となり、昼も夜もトマト三昧。食べても食べても実るミニトマト。エンドレスミニトマトのサイクルが完成。(でも老化防止効果があるので、いっぱい食べてます。)
こんなにできるなら自分だけで食べるのはもったいない。「この山に住んでいる方々にお裾分けをしたい」と思い立ちました。こうして僕の『わらしべ長者』物語が始まったのです。
〇現代版「山のわらしべ長者」ミニトマトがいろんなものに変わった瞬間。
わらしべ長者って覚えていますか? 一本の藁(わら)が、馬に変わり、大長者となっていく男の物語。実際、僕もわらしべ長者のような体験をしました。とは言っても、大長者になったわけではありませんので、あしからず。
お世話になっている方の家を訪ねて
「これうちで採れたミニトマトです。食べてみてください!」
とミニトマトの入った袋を手渡し、日ごろの感謝を伝えてご挨拶。そして帰ろうとした、その時です!!
「あ! ちょっと待って・・・。これ持って帰って」
と手渡される袋。中身は、なんとピンクに熟した、甘い匂いの桃でした。
「ミニトマトを渡しに来ただけなので」
と断るも、
「いいから持って行って」
と頂いちゃいました。ミニトマトが桃に変わった『わらしべ長者』の瞬間でした。
それからというものミニトマトの変化が止まりません。ゴーヤに変わり、ビールに変わり、パン、お菓子、コーヒー、カステラ、最終的には釣ったばかりの魚に。凄まじい変化でした。
お中元やお歳暮のように、モノをもらったら、モノで返す文化『贈答文化(ぞうとうぶんか)』といいます。これは日本人特有の文化なんだそうです。しかもその始まりは農業。「収穫したものを分け合う」ことで関係性を気づいていたのが始まりなんだそうです。昔の人もこうして地域でコミュニケーションをとっていたんでしょう。
わらしべ長者現象を体験してみて、めちゃくちゃ幸せな気持ちになりました。何故かというと、皆さんが
「卓くんのミニトマト美味しいね。ありがとう。」
と笑顔をくれたからです。ミニトマトがいろんな物に変わる。だけど、物より大切なものを皆さんにいただいた気がします。それは「美味しいね。ありがとう」という最高の誉め言葉。
僕は日ごろお世話になっている集落や近隣の地域の皆さんに、ただ感謝を伝えたかっただけなのに「ありがとう」だなんてもったいないお言葉。
「野菜を作ってよかったぁ!!」
山に暮らして、日々の幸せを感じる。これだから田舎暮らしはやめられない。田舎暮らしすると日本昔話の主人公にあなたもなれます!!
《おわり》