高知市内に存在する「海の県道」を渡れ!

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執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2022/01/19

 全国的にも珍しい「海の県道」が、高知市内にあります。桂浜に近い種崎渡船場と、御畳瀬(みませ)の梶ヶ浦渡船場を結ぶ全長575mの県道弘岡下種崎線。

 海を走る県道として、長らく地元の方やお遍路さんに愛されてきたこの“道”。存在自体は知っていたのですが、私が生まれた頃にはすでに浦戸大橋があったので、橋を渡らず海を渡る、という概念が私の中にありませんでした。

 今回は、訳あってゲストハウスの旅人を桂浜へ送り届けるというミッションがあったのと、コロナ禍で子供の行事が軒並み中止になっていたので、プチ観光気分を味わおうと立ち寄ってみました。

 

海の県道

黄色い矢印のところを往復します。ちゃんとした海の上の県“道”です。

 

 この県営渡船は明治より以前のかなり古くから存在していたそうなのですが、いつから正式に運航していたのかは明確にはわかっていないらしく、県の記録上では、戦後1949年の県営渡船船手就業規則によるものが運航記録の最初とのこと。

 以来、浦戸大橋の開通によって利用者が大幅に減少したとはいえ、 70年以上も県民やお遍路さんの足となり地域に根ざしているのです。

 

御畳瀬サイドの渡船場

御畳瀬サイドの渡船場。

 

御畳瀬サイドの渡船場の待合所

御畳瀬サイドの渡船場の待合所

 

種崎サイドの渡船場

種崎サイドの渡船場。

 

種崎サイドの渡船場の待合所

種崎サイドの渡船場の待合所。

 

 運航時間は朝の6時半から夜の8時まで。20分から1時間おきに往来しています。

 県道扱いなので、乗船はもちろん無料。 乗船できるのは、人と自転車と、125cc以下の自動二輪車。昔は車も乗船できたらしいです。

 どんな人が乗るのかというと、小中学生や高校生が通学に、地元の方が買い物に、お遍路さんが32番札所「禅師峰寺」から33番札所「雪蹊寺」へ向かうために・・・、とまあ目的は様々に、色々な人が利用するようです。

 

 私が乗船した日は土曜日の夕方だったのですが、部活終わりの高校生、外国人グループが数人、お遍路さんが1人、買い物袋を持ったご年配の方が1人と、実にバラエティに富んだ乗客たちが乗り合わせていました。

 N◯Kの「ドキュメント72時間」や「小さな旅」に取り上げられたら、さぞ面白い画が撮れるだろうなと、勝手に想像してしまいました(爆笑)

 

渡船に乗る
あいにくの曇り空でしたが、波も穏やかで風がとても心地よかったです。遠くに見える橋が浦戸大橋です。

 

 運航時間はおよそ5分。浦戸湾を船がゆっくり進み、波風を感じるこの5分間。たまたま居合わせた50年以上も乗船歴のあるご年配の方に話を聞いてみましたが、

「季節によって、景色の表情の違いを楽しめるのがえいのヨ!」

とのことです。

「夏は浦戸湾に沈む夕日、秋は宵の満月、冬は冷たい波風、そして大型船が往来する様子などなど、海の上から四季折々の風景を感じられるのがえいがヨ!」

と、何度も力説していました。

 

 そして、どことなくノスタルジーな、エモーショナルな心地を感じられるのも魅力的だとか。う〜んたしかに、たった5分の船旅なのに、陸の上では味わえない郷愁じみた風情が甲板の上にはある気がしますね。不思議です。

 私はプチ観光気分で渡船しましたが、地元の方が言うには、今も昔も変わらず“生活の足”として、この渡船は機能しているみたいです。そして昨今は、外国人のお遍路さんが目に見える形で多くなったのだとか。かつおゲストハウスと、同じですね〜!

 

時刻表
外国人向けに英語・中国語・台湾語・韓国語の時刻表。地方のローカルな渡船場にしては、嬉しいおもてなし。

 

 年末年始も休まず営業しているので、船上から初日の出を望むのも良い思い出になるかもですね。

 

■県営渡船「龍馬」
■お問い合わせ先/高知土木事務所 道路管理課 道路保全担当
■tel/088-882-8646・fax/088-884-6154
■mail/170106@ken.pref.kochi.lg.jp

 

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