石垣のメリット
- 執筆者 小林美代子
- 所 属NPO法人男木島の町並み保存推進協議会 みんなの輪
2022/07/22
(株)菅組様がコミュニケーション力アップを狙って新入社員研修で、石垣を修復しにいらしてくださいました。
新入社員1人1人がきちんと揃えた靴
新人のお一人から 、
「石垣はコンクリートと違って作ったその時から使えるところがメリット」
と言う感想を頂いて、なるほどと思いました。そこで私も石垣のメリット探しをしてみました。
新入社員が積み直した石垣
1.長く使え再使用しやすい
石は何万年も前から存在し、現在まで残っています。つまり、コンクリートと違って耐久性に優れています。
一方コンクリートの耐久性は長くても70年ほど。あっという間に産業廃棄物になってしまいます。
2. 環境への負荷がない
コンクリートを作る際に使用されるセメントは、生成時に多量の二酸化炭素を放出します。そのため、環境への負荷がとてつもなく大きいのです。
セメントの主原料、石灰の化学式は CaCO3です。「CO3」 がありますね。
この石灰岩を高温で焼く(1300℃以上)と多量の CO2(二酸化炭素 )が排出されます(推定量石灰石 1kg から CO2 排出 0.44 ㎏) 。
石灰石は、大量の二酸化炭素を含むため、地球上の石灰岩を全て熱分解したとすると、気温が300度上昇すると言われています。
このような理由から、コンクリートの使用が環境に負荷をかけることは明らかです。しかし石は、何の加工もなく使用でき、環境への負荷が全くありません。
3. 生物の棲み処になる
まだまだ石垣にはメリットがあります。
例えば川の護岸を石垣にすることで、小動物やうなぎといった生物がそこに棲むことができます。
環境への負荷の大きさや生物との共存を考えると、石積みの技術や強度を高め、コンクリートではなく、やはり石垣にする必要性があると思っています。
イタリアでは、 石垣の強度基準を国が定めて 石垣の使用を勧めています。日本も石垣の価値を再確認及び共通理解 でき、国によって守られたら良いなと思います。
新人さんの一言から、私も石垣のメリットを探す機会をいただきました。
地球が「命豊かな世界」に少しでも戻ってほしい 、石垣のメリットを一人でも多くの方が知って欲しい、そういう気持ちで石垣修復の活動を今後も続けていきます。
こちらの研修は、2022年7月にドリマの上で行いました。
興味のある方は、ぜひ男木島へ石垣修繕をしにいらしてください。お待ちしています。