卒業おめでとう
この3月で、スタッフの冨金原(以下、ふきん)がおむすビーズを退職しました。
2014年10月におむすビーズに入社することになり、2015年1月に高知常駐スタッフとして土佐町に移住。インターンシップや米作りイベントの企画・運営に1年半携わってくれました。
退職後も土佐町に住まい、自分のやりたいことを追求していくという彼女。ひとつの移住ストーリーとして読んでもらえると嬉しいです。
ふきんの移住のはじまり
彼女とおむすビーズのつながりは、2014年のイベントを機に始まりました。その頃はまだイベントツアーの参加者の一人だったのです。募集締切りの直前に滑り込みで連絡をくれた彼女は、
「移住に興味があるけれど、女性一人での移住というところに不安がある」
ということを電話口で話してくれました。同じイベントに女性移住者も参加すること、イベント中にきっといろいろ話を聞けるだろうことを伝えると、とても安心したようで、その場で参加が決定しました。
当時ふきんはパン屋さんで働いていましたが、ちょうど次のアクションを考えているところでした。そのとき既に、
「農業に興味がある」
「自分で米を作ってみたい」
と言っていました。
そして、同年の秋に当社で新スタッフを雇用するという話が持ちあがった際、すぐにふきんが候補に挙がり、連絡を取ってみるとすぐに面接の日取りが決まり、翌月に入社することになりました。最初の出会いから入社まで、たった一か月。見事なトントン拍子ぶりでした。
おむすビーズはそれまで大阪の一拠点しかなく、スタッフが大阪から高知に出張に行くというスタイルでの運営でしたが、ちょうどその頃、高知にもオフィスを構えることが決まり、私が高知スタッフとして移住することになりました。そして、かねてより田舎に移住したいと考えていたふきんも、高知スタッフとしてゆくゆく移住する、ということになりました。
そして2015年1月、晴れてふきんも高知県土佐町に住居を移し、田舎暮らしをスタートさせました。
初めての農業インターンシップのお仕事
初めてのチェーンソー体験
その後のすべてが順風満帆だったわけではありません。彼女がこれまで経験してきた仕事は、アパレルやカフェ、パン屋などの現場中心。オフィスワークや企画やコーディネーターとは無縁でした。
一人で打ち合わせを重ね、イベントを企画し、イベント参加者に米作りの指導をするのは、めちゃくちゃ大変だったに違いありません(丸投げしてほんとごめんなさい!)。しかも、米作りは会社としても初めての試みでもありました。
入社した頃から、「自分で農業をやりたい」と言っていた彼女。おむすビーズを農業を始めるまでのステップとして活用したらいいということで入社に至ったのですが、まず仕事のひとつひとつに慣れることも大変だったことでしょう。
そんな中でもずっと農業への夢をずっと持ち続け、休日などを活用して農家さんのお手伝いに行ったり、イベントに出かけて行ったり、家庭菜園をしたり、毎日忙しく暮らしていました。農業インターンの際も研修生とともに作業をする機会がありましたが、さすが、とても手際がいい。その姿勢を評価されてか、農家さんからの信頼も厚かった。
やはり、地域の方はしっかり人を見ています。成果もさることながら、その人の「想い」が伝わると、地域での暮らしはとてもスムーズになります。こうしたことから、田んぼや畑を貸してもらえるなどの「ギフト」が舞い込んでくるのはよくある話なのです。
地元の農家さんと
※ところで念願だった米作りですが、2015年9月に無事収穫を迎えることができました。
が!!
その作業の大変なことといったらありませんでした…。除草剤を使わなかったため、雑草量がすさまじく、何日かけても何人で行っても雑草が減らない!!冨金原、すべてを終えてから、「田んぼは大変だった」とぼそりと呟いてました…。
農家への道
3月末におむすビーズを退職して、冨金原の現在。現在、免許のAT限定を解除するために教習所に通っています(超苦戦しているとのこと)。
これから彼女は、自身の夢に向かって、町内の農家さん宅にパートタイムでお手伝いとして通うことが決まっています(その農家さんはおむすビーズのインターンシップの受け入れ先としてずっとお世話になっていたお宅です)。自分で生産するスキルを身につけるため、本格的に修行に入るわけです。
修行先の農家さん宅でゼンマイの加工作業中
また、同時進行で現在、土佐町内の空き家を手作業で改修中。農家さんのお宅に近い、少し山手の方に引っ越すことが決まっています。これまでとは生活が変わります。田舎暮らしの次のステージに進もうとしています。
自分のやりたいことを見据えながらも、ずっと迷い、悩み続けていた彼女。
女性に農業はできるのか?
一人でできるのか?
生活は成り立つのか?
それが本当にやりたいことなのか?
農業を通して自分が表現したいことは何か?
自分に何ができるのか?
なぜ迷い続けるのか?
ずっとそんな彼女の姿を近くで見てきました。それは農業をしたい人に限ったことではない、きっと誰もが通る道なのでしょう。この一年半は、彼女が農業の現場を体験する期間というよりも、彼女が自分の想いややりたいことと折り合いをつけていく大切な期間だったように思います。
楽な道ではないかも知れません。それはある日「ピカーン!」と頭の豆電球がつく、というような明確な正解が出るような単純なものではなく、迷いながらも、少しずつできることに着手して前に進んでいく、というものかも知れません。でもそうやって真剣に自分と向き合い続けてきた彼女のこれからがどうなっていくのか、楽しみにしています。
2016「シコクゾメ」のイベントにて