恐怖の白いタケノコ
2016/10/11
みなさまお久しぶりです。福田百貨店の黒田です。
ある時は建築士、ある時はデザイナー、またある時は自然の学校の校長、そしてある時は福田百貨店の店主…、という感じで元々何をやっている人なのか良く分からない肩書きの人だったのですが、最近では日々の大半を風力発電の反対活動ばかりやっていために、もう本当に何をやっている人なのか分からなくなってきました(笑)。ある意味、それら全部をひっくるめて『百貨店』で間違いないのかもしれない!…と、妙な悟りを開きつつある秋の夜でございます( ̄∀ ̄;)
実は先日も、宇和島から永田町へ馳せ参じ、国会議事堂の横にある参議院会館とやらに乗り込んで来ました。全国で風力発電の反対活動をされている方々と共同で、環境省との直接交渉をするためです。
もう、わたくしの田舎暮らしは、ドコニムカッテイルノヤラ?です。とりあえず、どうも田舎暮らしを深堀りして行くと、そのトンネルは国家の中枢に行き当るらしいということが分かって来た秋の夜でございます。(´・ _ ・`)
つまり何が言いたいかというと、日々それ(風車のこと)ばっかりやっているので、自ずといなかマガジンの記事もそのことになってしまうということを、ご了承下さい…ってことです。
さて、ここで宣言しておきます!
「この記事自分には関係なさそう…」「あんまり興味ない…」と思って、最後まで読まずに途中で閉じようとしたら…、
後で後悔しても知りませんからー!!ヽ(≧Д≦)ノ
もったいないお化けが出ますからー!!ヽ(≧Д≦)ノ
人生には知っておくべき大事なことがあるのです!それがこの記事です!!!「うわっこいつウザイ!」って思って今まさに記事を閉じようとしたあなた!ダメ絶対o(;□;`)o
ここ数年の僕の集大成を全力で投じていますんで、ぜひこのシリーズは最後まで読んで下さい!
let’s read!
今の僕は、『えひめ風車NET』というネットワークの代表をしています。風力発電を推進する組織で…はありません。むしろその逆のことをしています(紛らわしい名前でスミマセン)。「大規模風力発電による無秩序な乱開発をやめて、もっと慎重に検討するべきだ!(`・ω・´)」という立場です。昨年の夏から僕の生活の半分以上を占めるライフワークとなっています。その活動を通じて知り得た【再生可能エネルギーの本当の話】を、満を持して書いて行きたいと思います。
まず、のほほんとこの記事を読み始めたあなたを軽く脅しておきます。風力発電はタケノコと同じだと思って下さい。全国どこでも生えてきます。しかも、一度生えたら際限なく増殖します(これマジで!(#`・д・)/)だから、今は「他人事だし~♪」とタカをくくっているあなたも、ある日突然…集落の山頂に…、目の前の海岸に…、あなたの家の裏に…、風力発電という巨大な白いタケノコが生えるやもしれません。要注意です!
前置きが長くなりましたが、現在、僕が住む御槇地区には大規模風力発電を建設する計画があります。その名も『槇川正木ウィンドファーム』と言います。徳島県の株式会社ガイアパワーという事業者が、羽根の先端までの高さが130m(ビルで例えると40階建に相当する)にもなる巨大風車を、山の尾根に10基建設する計画を進めています。
皆さんは『風力発電』と聞いて、どんなイメージを持っていますか?ちなみに僕は、事業者の地元説明会に参加した当初は、「クリーンエネルギーの象徴の風車が出来れば、集落のイメージアップにつながり、観光での経済効果が期待できる★」と思っていました。つまりとても好意的に考えていたんです。一般的にはその認識の方がまだまだ多いと思います。かくいう自分がそうでしたから(汗)その当時、3年前にいなかマガジンに投稿した記事があるので、良かったら読んでみて下さい⇒《2013年5月31日「え!風車が来るの?」》
僕は元々建築士として企業の設計部門にいました。サラリーマン当時は、設計部のISO 14001(環境マネジメントに関する国際規格)の担当をしていたり、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の導入を社内で主導したり、eco検定が設立された初年度に真っ先に取得したりしていました。そう、分かりやすく言えば社内で一番の「環境オタク」だったんです。それはもう社内でもちょっと鬱陶しいくらい「環境が大事だー!環境が大事だー!」と言っていた人です。そして、再生可能エネルギーの超推進派でした。
当時の僕を知っている同僚の皆さまなら、「お前本当にあの黒田か!?Σ( ̄ロ ̄lll)」と、きっとニセモノ疑惑を投げかけることでしょう。…10年くらい前、ちょうど「愛・地球博」があった頃で、日本中が環境に向けて大きく舵を切った頃の話です。そんな環境オタクだった僕が、なぜ現在は風力発電の普及に警鐘を鳴らしているのか?そこには知れば知るほど愕然とする真実があったからです。そんなわけで、鼻息荒く書きたいと思います(`・ω・)/
と言っても、とても1回の記事で書ききれるような内容ではないので、今回は簡単に風力発電のメリット・デメリットの話をしてみようと思います。深い話は次回以降に乞うご期待です!
まず、一般的に言われている風力発電のメリットを挙げてみましょう。
①無尽蔵に存在する「風」を原動力に発電できるので、資源が枯渇しない。
②原料を他国に依存しなくて済む国産エネルギーである。
③化石燃料を使用しないので温室効果ガスを発生しない。
④原子力発電や火力発電のように廃棄物や大気汚染を起こさない。
⑤万が一事故が起きても、原発のように被害が広範囲に及ばない。
⑥「風」という地域にある資源で、地域に経済的恩恵を生み出す。
⑦大規模災害時も風さえ吹けば発電できる。
⑧風車を見物に訪れる観光客が増えて観光資源になる。
一般的に言われているメリットは、概ねこれくらいだと思います。
では次に、風力発電のデメリット挙げて見ましょう。
①あまりにも発電量がショボイ(期待外れ)
②風任せの発電ですごく使い勝手が悪い(実は電力会社も敬遠するほど)
③残念ながら『脱原発』にはつながらない(全国民的な勘違い)
④健康被害が生じる(地元にデメリット大)
⑤停電時には使えない(電気がないと稼働出来ない)
⑥建てれば建てるだけみんなの電気代が高くなる(再エネ賦課金)
⑦風車周辺の地価の下落(誰もそばには住みたくないですから)
⑧地元にはデメリットしかない(悲しくなるほどに…)
⑨地球環境に優しいと言われるが、地元環境には厳しい。
⇒以下のような環境破壊と健康被害を生じます。
(1)耳に聞こえる騒音の問題
2000kWを超えるような大規模風車(近年主流のもの)であれば、2km
程度の距離が離れていても、実際に騒音が聞こえます。
(2)耳に聞こえない騒音=低周波音・超低周波音による深刻な健康被害
人間の耳で聞こえる音の周波数の上限は20,000Hzで、それより高い音を
超音波といいます。逆に下限は20Hzで、それより低い音は超低周波音と
いいます。いずれも人間の耳では知覚することが出来ませんが、音の振動
として物理的に存在しているため、人体に健康被害を生じさせます。
(3)ストロボ効果(風車による影や反射)シャドウフリッカーとも言います。
風車の影が視界にチラチラして不快になる現象です。意外と深刻なんです。
(4)野鳥へのバードストライク
風車の羽根に渡り鳥や、希少な猛禽類が当って死んでしまいます。
(5)強力な航空灯による夜空の喪失
10km先でも見える強力な航空灯が一晩中ピカピカ点滅。夜空は台無し。
(6)山の尾根に立ち並ぶ景観破壊
山の尾根に風車が50基以上も立ち並ぶ景色は異常です。
(7)野生動物への被害
人間よりもっと感覚の鋭い野生生物に影響は必至。ところが、野生生物の
健康への影響は一切顧みられません。(すごい無視っぷりです。)
(8)家畜動物への被害
牛の死産が増えたり、黄身のない卵を産む鶏になったり、家畜にも影響大。
(9)造成に伴う土砂流出と、それに伴う河川・海洋汚染。
山の尾根を大規模に造成し、大量の土砂が数年間流出し続けます。1時間
雨量100㎜を超すような豪雨がいつどこで降ってもおかしくない昨今、わ
ざわざ集落に大災害を巻き起こす危険のある開発をしなくても…。
一般的に言われる大規模風力発電のデメリットは、大まかにまとめると上記の通りなのですが、これだと「いなかマガジンライター」としての名が廃ります。そんなもん今どきインターネットで検索すれば3秒で出てきます。いなかマガジンで書く以上は、もっと田舎民の役に立つことを書かなくては、いなかマガジンの意味がありません!だから「いなか」にとっての最大のデメリットをズバリ言います\(  ̄■ ̄)
『集落の将来が詰みます。』
本当に、集約するとこの1点です。大袈裟な話ではありません。いなかパイプ読者の皆さんは、UターンやIターンで「田舎に移住したい人」か、もしくはすでに「田舎に移住した人」の大抵どちらかでしょう。ではそんな皆さま、考えてみて下さい。これから移住しようと考えている集落に、『健康被害の恐れがある施設』が建っていたら、あなたはそこに家族を連れて移住しますか?移住しませんよね?(´・ _ ・`) 誰しも真っ先にそこを移住候補地から外すことでしょう。だって、人生の一大決心をして移住しようというのに…、「豊かな自然」と「穏やかな暮らし」を求めて田舎に移住しようとしているのに…、わざわざ「健康を害する恐れがある集落」なんて、危険を冒して選びませんよね?このご時世、ただでさえ全国の数限りない自治体が「移住者ウェルカム!」って躍起になって客引きをしていて、選択肢は星の数ほどあるんですから。
「全国どこでも選べる」という状況の中で、そんなリスキーな集落は誰も選ばないでしょう。全国で移住者の引っ張り合いが起こっている現在は、移住先を選ぶ段階では移住者の方が圧倒的に選択権を持っているんです。そして、過疎高齢化が進む田舎の集落にとって「移住先として選ばれない」=「他所から人が入って来ない」ということは、一方的な人口減少に歯止めがかからなくなる訳ですから、それはすなわち『将来的な集落の消滅』を意味します。息の根を止める行為です。移住希望者から選ばれない田舎は、長い目で見ると人口減で廃れて行くしかありません。これはもはや紛れもない事実です。
「移住者を入れて集落を残すことがその集落にとって良いのか?」という根本的な議論は、それぞれの集落の住民が決める事なので、そこを押し付ける訳ではありません。そこの議論は地元で徹底的にやって貰ったらと思います。ただ、「集落を将来に残す」という意志のある集落の場合は、根本的には移住者を受け入れるしか道がないはずであり、移住者から選ばれなくなるリスクは負うべきではないのです。とてもシンプルな話です。
それに加えて、低周波音で健康被害の症状が出てしまった場合には、症状を改善するには低周波音の当らないところに引っ越すしか方法がありません。つまり、今住んでいる住民が流出してしまうリスクもあるのです。
ですので、自分の集落を将来も持続させたいと思っている方は、ぜひともこの記事を読んで心に留めておいて欲しいのです。大規模風力発電の計画が持ち上がったら、素早く全力で対応して貰いたいのです。「風車が建つか建たないか?」という生温い話ではなくて、「集落の息の根を止めるかどうか」という集落の生死に関わる問題だからです。
ちなみに、自分が住んでいる地域に風車が建つ可能性があるかどうかを、ある程度簡易的に把握する方法があります。「NEDO局所風況マップ」というサイトがあります。ここで、自分が住んでいる地域を選び(結構詳細な範囲まで地図は拡大出来ます)、地上高を「地上70m」に設定して、年平均風速が6m/sあったら要注意です。事業性があるということで企業が群がって来ます。ある日突然タケノコが生えるかもかもしれません。そうでない地域の方は一先ず安心して下さい。
いろいろ書きましたが、それでも社会的な必要性や十分な効果があるのであればまだ検討に値するのですが、最大の問題は、そこがそもそもほとんどないことなんです。
風力発電の反対活動をしていると、必ず出てくるのが『原発』の話です。「脱原発のためには再生可能エネルギーの普及が必要だ」という話です。誤解のないように最初に断っておきますが、僕も根っからの脱原発派です。福島第一原発の事故を経験してもなお、日本で原発を再稼働させるなど愚の骨頂だと強く思っています。そもそも全原発が止まっていても、日本の電気は足りていた訳ですから、新たに発電所を建てる必要がありません。
しかも、国の省庁ですら、風力発電や太陽光発電といった「自然変動型電源」については、原子力発電の代替として扱っていません。経済産業省や資源エネルギー庁の資料を見ると、そのことが明記されています。第一、国の2030年の電源構成比の予測では、「再生可能エネルギー」と「原子力発電」がそれぞれ20%強を占める予定になっています。再生可能エネルギーで脱原発なんて、政府はこれっぽっちも考えていません。そこのあなた!まんまと騙されていますよ!(#`・д・)/
「原発よりはマシだ」「原発を再稼働させないためには、風車を建てるのは仕方ない」という考えは、漁夫の利を狙っている政府や産業界の思う壺です。「脱原発派」対「反再エネ派」という本来必要のない対立構図が作られていて、本来は同じようにエネルギー問題に危機感を感じている良識ある市民同士が対立させられる構図が巧妙に作られています。現実を見て貰えば分かる通り、原発も続々と再稼働し、再エネも続々と建設されています。そこに市民の声は全く反映されていません。一番思い通りに事が進んでいるのは誰でしょうか?そう、実は原発利権と同じような風車利権が存在し、「原発ムラ」と同じような「風車ムラ」が存在するのです。
…というところで、今日の記事はおしまいにしましょう。だって、長いもの(笑)。長文を読んで下さったみなさま、ありがとうございました!少しでも風力発電の問題に興味を持って頂けたら嬉しいな♪では、続きは次回の記事にて!
※白いタケノコが生えそうで危機感を持った方は、ご相談下さい(。・ω・)ノ゙