香美市の日曜市

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執筆者 安澤真希
所 属かつおゲストハウス

2016/10/18

 

 高知市内では、日曜市をはじめとし、火曜市、木曜市、金曜市、土曜市(オーガニックマーケット)と、街路市が至るところで開かれています。とりわけ300年以上の歴史を誇る日曜市は、地元の人はもちろんのこと、観光客にも広く知られているため毎週大にぎわい。土曜日にかつおゲストハウスに宿泊するお客さんは、例外なくこの日曜市がお目当てだったり、ヘルパーさんは食材をここで仕入れたり、そして私も幼いころから足しげく通っていたりと、とにかく欲しいものは何でも揃っている、まさに高知を代表する市民の台所なのです。

 

 香美市の日曜市

 

 しかし…! それはあくまでも「高知市民」にとって、というだけなのかもしれません。高知市外の遠方からわざわざ来る方もいるにはいるのですが、それはあくまでもマイノリティ。やはり買い物は地元のスーパーで済ませてしまう、なんて方が多いのもまた事実のようです。

 さて、そんな中で、香美市土佐山田町では、かれこれ半世紀近くも続いている日曜市があるんです。私もその存在自体は知っていたのですが、高知市に住んでいると、どうしても近場である市内の日曜市に足が向かいがち。しかし、かつおゲストハウスで2ヶ月間ヘルパー滞在してくれたマリさんが、晴れて香美市への移住が決まったので、初めて香美市の日曜市まで出向いたのであります。

 

マリさんと物色

 

 マリさんと物色。40店舗ほどのこじんまりとした雰囲気でしたが、屋内なので雨に濡れる心配なし。買い物客にとっては非常に嬉しいですね!

 香美市役所の南隣りで、香美市の日曜市、通称・日曜市平成組合&土佐山田町ふるさと市は開かれています。

 私が散策したのは昼頃だったのですが、品揃えの良い午前中に行くのがオススメです。午後も近所の人たちやお店の人が買い物とおしゃべりを楽しんでいて、あちらこちらで元気な土佐弁が行き交うのはもちろんなのですが、コンテナを横に並べて昼寝をする人もいれば、商売そっちのけで弁当を食べる人がいたり、かと思えば熱心にオススメ商品をPRする人もいたり、なんとな~く高知市内の日曜市より自由度が高い気がしないでもない、と思いました。

 

 気になる市場にはどんな店が軒を並べているのかというと…

 

雑魚天屋さん

雑魚天屋さん。土佐沖の雑魚でつくる手打ち厚天は1枚130円。既に売り切れ… ガーン。

 

無人の肉屋さん

無人の肉屋さん。お店の人も近所のお友達とのおしゃべりに夢中で時折お店が不在に。

 

魚屋さん

魚屋さんも出店しています! カツオまであってビックリ~

 

練飴「りょうせん」

練飴「りょうせん」。昔は箸に巻き付けて練って飴代わりに食べていたそう。

 

骨董品屋さん

定番の骨董品屋さんもズラリ。お宝が見つかるかもしれません。

 

 香美市の日曜市は、日曜市平成組合&土佐山田町ふるさと市が、互いに一つ道路を隔てた場所に居を構え商いをして成り立っています。その歴史を紐解いてみると、旧土佐山田町が、高知市の日曜市に流れるお客さんを呼び戻そうと企画したのが、この日曜市の発端。今でこそ30~40店ほどに縮小した日曜市ですが、1970年代半ばのピーク時には、何と130店が並び、アーケードから道に店があふれていたのだとか! 毎週1万人以上が訪れて大変な賑わいだったみたい。今も昔も変わらず、香美市民の暮らしを支えているんですね~。

 

 これはあくまで私のファーストインプレッションなのですが、出店者とお客さんが、商売というよりはコミュニケーションを大切にしている、出店者とお客さんの距離が近い、という気がします。それは一体なぜか… なんてことを思いながら品物を吟味していると、いつの間にか財布の中があと千円ぽっきりだということに。そして、なぜかそういうときに限って、折悪しくわずかに届かない金額の良品を発掘してしまうものなのです… さあ困ったどうしよう、あきらめるしかない、だけれど欲しい、とその出品者の方と商品とは全く関係のない取り留めのない世間話をしていたら、思いもよらない救いの一言を投げかけてくれました。

 

「あ、それ千円でいいきね。500円くらいおまけしちゃおき」

 

 ……や、やった。感謝の言葉を口にすると同時に、そのときピンときたのです! この何気ない対話が出品者とお客さんの距離を縮めているに違いない、と! 高知市の日曜市は、県内外のお客さんで溢れて、どうしても一人ひとりのお客さんと対話・コミュニケーションを取る時間が少ないのが現状。しかしここは、規模も人数もそのキャパシティに余裕がある、だから必然的に人との触れ合いも増えるのだ! と、勝手に自分で納得してしまいましたが、あながち見当違いでもない気がするのです。

 

看板がノスタルジィ

午後には客足も減ってまったりムード。お店の上の大きな看板がノスタルジィ。

 

 高知市や香美市だけでなく、各市町村に、こんな風に地域の人々が協力しあって物を売り出す「日曜市」と呼べる空間があったらな~、と今回はつくづく思いました。今も昔も、時代が変遷しても変わらずあるものとして、日曜市はこれからも高知の地域に根ざし続けてほしいものです。

 

 

【日曜市平成組合/土佐山田町ふるさと市】

 

【開催日】

  毎週日曜日

 

【営業時間】

  夏/AM6:00 ~ PM5:30

  冬/AM6:30 ~ PM4:30

 

【住所】

  高知県香美市土佐山田町宝町1丁目3

 

【アクセス】

  ・JR土佐山田駅より徒歩約5分

  ・高知自動車道南国ICより車で約15分

  ・高知龍馬空港より車で約20分

  ・JR高知駅から車で約30分

 

【問い合わせ先】

  ・香美市いんふぉめーしょん/0887-52-9880

  ・香美市産業振興課商工観光班/0887-53-1084

 

 

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