未来に繋ぐ地域づくり
2017/01/31
- 執筆者 友松裕希
- 所 属安芸太田町地域おこし協力隊
12月は、井仁の棚田を飛び出して、東京や広島市での仕事や研修が多く、師走という名の通り忙しくしておりました。広島県の取り組みのイベントにも参加しましたが、まさか県知事と並んで報道陣に囲まれるとは思いませんでした。 (次回、この件については紹介したいと思います)
稲刈りが終わって、井仁も少し落ち着いたかなという時期になりましたが、いろんな人たちが関わってくれました。11月のことになりますが、町内の地元の中学校の生徒たちによる、商人体験がありました。
地域おこしのターゲットは都会に目がいきがちですが、田舎の未来を作るのは、地元に住んでいる子供たちであって、地元の子どもたちにも地域のことを知ってもらうことも重要です。
地元の中学校では、子供たちが地域に生かされていることを学び、地域を生かすことを体験することによって、自分や地域の魅力を発見し、次の世代を担っていけるような人材づくりをプログラムに取り入れています。
取り組みのひとつである商人体験は、地域の特産品や販売の方法を学び、積極的にPRをして街頭で実際に販売する体験型の授業でした。今回、販売する特産品は、井仁の棚田米や伝統工芸品、祇園坊柿のお菓子、地元野菜です。
商人体験の当日、広島市の中心市街地にある販売するお店には、すでにお客さんが待っており、最初は生徒も先生も勢いに押され気味でしたが、だんだん慣れてきて、しっかり接客や宣伝をしていました。
販売した特産品は、多くの人に買っていただくことができ、生徒たちにとっても地域とのつながりを実感でき、自信を少しでも持ってくれたと思います。
昨年から企業による『森の探検隊』という「子どもたちを対象とした次世代育成の取り組み」が井仁で行われています。自然の中でその後の人生が変わるような体験をしてほしいという願いを込められている、子供たちが井仁の棚田の「夏」、「秋」、「冬」のそれぞれの「季節を探す」プロジェクトです。
夏は、地域の方の畑の野菜を収穫したり、夏の絵を描きたい絵描きさんのために「夏」を探しました。そして、秋は稲刈りを体験し、「秋」を拾って、自分たちで秋を創りました。
子供たちは一年を通して、井仁を訪れ、季節の変化を感じたり、年長さんと小学二年生の構成になっているため、子供たち同士の支えあいを学んでいました。
11月末にあった「冬」を探そうでは、冬の棚田の絵を創作・発表したり、たき火でホットドッグを焼いたり、一年間の活動を振り返りました。秋に咲いていたコスモスが枯れているのを発見したり、冬の色の少なさに気づいたり、「トンネルが怖った」、「カエルやトカゲがたくさんいた」、「田んぼが何段にもたくさんあって、それぞれの色が少しづつ違って綺麗だった」、と心に残ったこと思い思いに語っていました。
活動の最後に、皆でビリーブという歌を歌いました。棚田に響き渡るビリーブに、とても感動したので、担当の方と私でムービーを作成!自然の中で子供たちが歌う様子がマッチしていて素晴らしい場でした。今年の「森の探検隊」は終わりましたが、来年も新たな子供たちが井仁を訪れることを楽しみにしています!
動画 : 森の探検隊~BILIEVE~
12月の上旬には、棚田サロン(茶話会)がありました!今年のサロンは、地域の人と井仁に関わりがある人で共催の形で進めてきました。今回は、7月にも企画してくれた広島大学の学生が、インターンシップに参加した学生と一緒に、企画してくれました。企画は、「美味しくご飯を食べようの会」です♪
学生メンバーと地域の人で話し合って、クリスマスと正月が間近だったので、精進料理である煮しめやご汁、お餅を作ったり、クリスマスツリーの飾りつけをすることにしました。
何度も会って交流しているメンバーですし、地域の人たちも、学生との接し方にも慣れてきたので、皆で料理を作るときは和気あいあいとしていました♪クリスマスツリーには、恒例?になった願い事を書いたメッセージカードを書いて飾りました。
人によっては、料理の仕方や生活の知恵を教わる機会ってほとんどないよって人もいると思います。地域の方々は、僕らにとって学校の先生でも母親、父親とも違う「人生の先輩」です。学生の中には、学ぶだけでなく、自分の悩みを地域の人に打ち明けてくれる人もいます。
何か悩みがある時、ちょっと頭をリフレッシュしたい時に、ふと立ち寄れるような「居場所」や「心の拠り所」を田舎にしてもらうのも、都会と田舎のひとつの関わり方かもしれません。
秋から子供や若者の活動が井仁で行われ、いろいろなことを学んでくれたかなと思います。この先、地域に住む子供達は高校や大学に進学、もしくは就職するときが来れば、自分が住む町を出て行くこともあるかもしれません。そして、どのような道を選んで、どのように生きていくのかの選択を迫られる時が来ます。(私も、いろいろな選択をして井仁の棚田にたどり着きました)
その時々で、生まれ育った故郷のことが頭に浮かんだり、田舎も良いよな、自分なりの田舎との関わり方がないかなと思ってくれるでしょうか。
今、地元に住む子供達に、町の未来を担ってほしいと、願うならば未来に繋いでいく責任が大人にあると思います。子供達が胸を張って、自分たちの故郷は素晴らしい所だと思ってもらえるような活動をしていきたいと改めて思ったのでした。