「タラレバ娘」予備軍だった東京女子が、地方移住して結婚できた理由を考察してみた
- 執筆者 福嶋美佳
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2017/08/23
こんにちは。NPO法人地域おこし実行委員会 福島です。
私は2011年に十日町市池谷集落に移住し、移住1年目に知り合った男性と2013年に結婚しました。夫は5学年年上の、十日町生まれ・十日町育ちのコテコテの十日町人です。
27歳の時に結婚したワケですが、東京に住んでいた時はそんなに早く結婚すると思っていませんでした。「バリバリ働きたい!」と思っていたので、「30歳ぐらいに結婚すればいいかなー」なんて考えていました。
もしかしたら、「東京タラレバ娘」みたいに30歳過ぎてもダラダラと結婚できずにいた可能性も大きいな…と思います。…ていうか、きっとそうなってた!!
ではなぜ、そんな私でも結婚できたのか?? それは一言で言うと、
「地方に移住したから」!!!
まぁ、もちろん誰でも地方に移住すれば結婚できると保証はしませんが、できる可能性は高まると思います。
私の実体験を交えて、説明したいと思います。
縄文の遺跡で、「じょうもん結婚式」なんてこともしていただきました。
理由その1 定住するために、「ダンナ」が必要だった
いきなり、ゲンジツ的な話ですね。まぁ、結婚ってめっちゃリアルですから…。夢見る少女じゃいられない(by相川七瀬)ですよ。
移住1年目の私は、ずっとこう考えていました。
「定住するには、『収入』と『ダンナ』をゲットしなければ…!!」
というのも、実は私は移住する際、両親に「1年で帰るから!」と約束していたからです。
それは、移住に反対する両親を説得するための材料でもあり、新しい土地でやっていけるかどうか不安だった私の保険でもありました。しかし、やっぱり1年じゃ全然物足りないです。1年だと田植えも稲刈りも山菜も雪も、1回だけしかできませんから。
約束した1年よりも、もっと十日町に住みたい…。でも両親に心配はかけたくない…。
移住1年目は、NPOになる前の所属団体から活動手当として月5万円いただき、交流施設に借りぐらしをしていた私。今で言う「インターンシップ」に近い形で生活していたので、定職についているのではなく、社会保険は父親の扶養に入っていました。
そんな状態で、「十日町に残ります!」と両親にさすがに言えません。両親を安心させるためには、自分の生活を安定させること。つまり、「収入」と「ダンナ」が必要です。
職探しと相手探しを始め、大変幸運なことにいいご縁をいただき、無事に職もダンナもゲットでき、今にいたります。
池谷集落のイベントに、都市に住んでバリバリと働いている30代後半~40代キャリアウーマンの方もいらっしゃるのですが、きっと彼女たちは自分で自分の生活を成り立たせられているから、結婚は必要ないんだろうな…と思います。
いろいろな幸せの形があると思うので、それを否定することはしません。ですが、私には結婚に頼らず、十日町で自分ひとりで生きていく自信がまったくなかった。地縁も血縁もないところに移住し寂しい気持ちもあいまって、精神面でも金銭面でも「結婚」が定住するのに必要不可欠だったから、迷うことなく突き進んでいけたんだと思います。
理由その2 東京時代と好きな男性のタイプが変わったから
東京時代、私の好きな男の人のタイプは、「ひょろ長メガネ」でした。つまり、背が高くて、痩せてて、メガネをかけている人! 手がきれいだと、なおいいって感じです。東京にはこういう男性多いですよね。一言でいえば、都会的ってことでしょうか。
しかし、夫はそれとは真逆!! 最近はメガネをかけることもありますが、背は高い方でないし、瘦せ型でもない…。ガテン系タイプでした。(実際、建設会社の人間です) 理由その1で随分打算的なことばかり言っていますが、ちゃんと夫とは恋愛結婚ですよ笑。
では、なぜ好きになれたのか??
いわゆる「好きになった人が、タイプの人」だったわけではなく、移住後、好きな男性のタイプが「ひょろ長メガネ」から変わったからなんです。
ビル群で企業戦士が頑張る都会から、自然豊かな池谷集落に移住し、バリバリ農業をして生活の知恵がある村のじいちゃんたちと接していると、いつの間にか「生きる力がある人っていいな…」と思うようになりました。
「生きる力」というのは、たとえ災害が起きても生き抜ける力のこと。つまりはサバイバル能力みたいなもんですかね。
村の人の「生きる力」にはいつも驚かされます
人間、環境が変わると、好きなタイプも変わるんですね。それまで全然だった、ガテン系なタイプにときめくようになりました。
強くその変化を感じたのは、移住1年目の秋、農協倉庫の短期バイトに行った時。収穫した米の等級の検査結果をパソコンに打ち込むバイトを、ほんの少しだけしました。
わからないことがあると担当の職員の人に聞きに行くんですが、ある時、職員の人がフォークリフトを運転していて、私が質問しようとすると、フォークリフトから颯爽と降りて来てくれたんですね。その姿に、うっかりときめいてしまいました笑(少女漫画か!)
そんなこともあって、夫と出会った時に「ひょろ長メガネ」でなくとも、「タイプじゃないわ!」と選択肢から外さずにいられたのです。もちろん結婚に必要なのは容姿だけではありませんが…。「好みの男性のタイプの変化」は大きかったと思います。
理由その3 選択肢が少なかったから
「選択肢が少ない」というのは、地方に暮らしていると全般的に言えることだと思います。モノも情報もヒトも溢れている都会に比べたら、そうなってしまうのは仕方がないことです。でも、選択肢がありすぎると、むしろ疲れちゃう私にとっては、選択肢が少ない方がちょうど良かったりします。
時々、夫と一緒に新潟市の大きな複合商業施設に買い物に行くんですが、お店をはしごして、見て回って吟味してるうちに疲れてしまい、「やっぱ買わなくていいや…」となってしまいます。(元々そんなに買い物好きじゃないし)
どんなに選択肢があったとしても、よく見れば似たり寄ったりなものが多くて、そんなにたくさん選択肢は必要ないんだよな…ということが多い気がします。かえって選択肢が少ない方が、その中から選ぼう!という気が起きやすいかもしれませんね。これって、恋愛や結婚にも言えるような気がします。
都会には魅力的な独身男性がいっぱいいるから、お付き合いしている男性以外にも、もっといい結婚相手がいるかも?と思って、なかなか結婚には踏み切れない。そんな人も、もしかしたらいるかもしれません。
でも十日町には、東京と比べると独身男性が圧倒的に少ない!! そもそも母数が少ないので、その中から好みの男性と出会える可能性は限られています。
なので、好みの男性と付き合えることができたら、迷っている暇はありません!笑 結婚に向かって突き進むのみです。
実は、夫と結婚する前、別れを頭がよぎるくらいの大きなケンカが何度もありました。出会ってから付き合うまでが1ヶ月という、なかなかのスピードだった私たち。あまり相手のことを良く知らないまま、付き合いだしたので、ケンカをした時は「やっぱりこの人と合わないのかな…」と悩むこともありました。
それでも別れずに今まで一緒にいられるのは、好きだっていう気持ちはモチロンですが、「この人を逃がせば、次のチャンスはないかもしれない…」という危機感も大いに作用している気がします。っていうか、確実にしています(笑)。
地方で結婚してみて
そんなこんなで結婚し、はや3年が過ぎました。結婚とは究極の異文化コミュニケーションなんだな…と感じる日々です。
夫婦といえど、違う家で育った他人同士。さらに夫は十日町、私は東京というまったく違う文化の中で育ってきた人間です。文化の違い、価値観の違いに驚いたり、ときには衝突したり。大変なことも多々ありますが、やっぱり結婚して良かったなと思います。
いつか、「福島さんって十日町の生まれの人じゃないの?」と驚かれるぐらい、十日町の母ちゃんになるのが私の密かな野望です笑。