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自分の農業をつくってほしい
桐島畑
桐島正一
高知県の四万十川の中流域で無農薬、無化学肥料の野菜作りで75種類以上の野菜を生産しているのが桐島畑です。
桐島畑は野菜の生産だけではなく、事務所に加工所を併設して、生姜を使った様々な加工品を作りそれらを県内外の素材にこだわる個人のお客さんやレストランに宅配や出荷をしています。
そんな野菜との関わり方が、消費者や同じ生産者にも共感され、しばしば雑誌で特集されたり現代農業などの専門誌でも連載されることがあります。
「私が今まで(連載で)書いたことは、ほとんど昔からなされてきた農業にあります。昔の人たちは少ない肥料で必要な分だけ収穫し、土を大切にしながら畑を上手に使ってきました。私がやっている農業も母をはじめとした先輩農家から教わったことです。そこに少しだけ自分の気持ちを入れてきただけです。私もそのなかの一人に入れてもらいたい、これまでやってきた農業を次の世代の人に伝えていきたいと思っています。」(現代農業2011.5)
? 昔は慣行農法でもやっていた桐島畑代表の桐島正一さんですが、自分には昔の人がやっていた農業の方が合うと分かり、先輩方から学んだ農業を基本としながら自ら探究して現在の自分に合った農業スタイルに辿り着いたそうです。
実際、桐島畑での農業を学んで四万十川中流域で農業と関わる人が何人もいます。そして今もなお桐島畑で研修を受けたいという人達からの問合せが多くありますが、なぜ高知の山奥の四万十川の辺にある桐島畑で農業を学ぶのでしょう。また、そんな人達を惹き付ける桐島畑の農業が大切にしているものとは何なのでしょう。
桐島畑の野菜作りの秘密
桐島畑の商品のラベルは親しみやすく、野菜の種類も豊富でその野菜も見るからに生き生きしていて、その生産現場によい空気が流れていることが商品からも漂ってきます。
?食べてみると、どの野菜も安心感とともにその野菜らしい味と、はじめて食べる野菜でもどこか懐かしいような風味が伝わってきます。豊富な野菜を常時栽培している桐島畑ですが、どんな野菜を作ってもその環境に合わせて無農薬、無化学肥料で素直な野菜の成長を目指している桐島畑の徹底した野菜作りの姿勢がそのまま野菜の中で表現されているようです。
?そんな桐島畑の野菜作りはどうやってつくられるのか桐島さんに聞いてみました。
-桐島畑の目指している農業は何ですか?
野菜らしい野菜を作ることを目指して作り始めました。昔からの農業を大切にしながらも、自分のやり方を作りながら考えていくという方法を繰り返しています。基本的なやり方は昔の人がやっていた農業をやりたいと思っています。
?-昔は慣行農業をやっていたそうですが、今と昔で変わったことがありますか?
昔から自分自身の農業に対する考え方は変わっていないと思いますね。慣行にしても今のやり方にしても、作り方が違うだけで、その元にある考え方は同じです。自分らしい野菜を作りたいという気持ちがあり、慣行農法でもできるかなと思ってやっていましたが、色々考えていく中で慣行では出来ないことが有機農業の世界にはあるということが分かりました。事前に決められているやり方ではなく、自分で考えて変化していく農業が元々やりたくて今の形になりました。
?-今の桐島畑の農業はなんて呼べる農業なんですか?
分かんないですね。普通の昔からやっている農業をやっているだけです。自然農とはまたちょっと違っているけど、昔の人がやっていた農業を元に、経験と改良で行き着いたのが今の桐島畑流の農業スタイルです。
-その桐島畑流の農業がこれからどうなって行く予定ですか?
?農業の形としては今まで通りです。ただしこれからやらないといけないとことは僕自身母を始め色々な先輩方から色々教わってきてある程度自分らしい形になってきたので今度は自分が伝え役目があるんだろうなと思っています。だから今は若い人達と一緒に農業をやって伝えていくということを考えています。
?-桐島畑としては自分で農業を独立してやっていける人も育てていきたいんでしょうか?
?基本的にはそっちの方向がいいと思います。ただウチも桐島畑としての成長もしなくてはいけない。ウチに残ってやりたいという人もいるのでその両方、それぞれに合ったやり方で一緒にやっていきたいと思います。伝えていくには色々な伝え方があると思うけど、ウチでやっていくということも一つの方法です。ウチでやるといっても、桐島畑の決ったやり方をやるということではなくて、自分流のものを成長していく中で形にしていってもらいたいです。自分流のやり方を何処でやるかっていうのはそれぞれあると思うのでそれぞれのサポートをしたいと思います。
?-桐島畑の中で色々な形で力をつけていく人を育てていきたいと?
?桐島畑というのは今まで農業に特化してやっていたけど、農業だけでなくてもいいのかなと今は考えていて、例えばデザインやるにしても何をやるにしても、最初は大変だし、そういうことを桐島畑でやりたいという人がいれば、桐島畑の中でそういう人が表現出来るスペースを創っていくのもありなのかなと思っています。農業がメインであることは変わりないんだけど、それぞれがやりたいことがあるならそれを自分で伸ばしていくために必要な環境を桐島畑の中で創っていきたいと思っています。
?-若い人や桐島畑でこれから農業をやってみたい人に向けて何か一言ありますか?
?自分の農業の形を創っていってほしいなと。僕が伝えられることは伝えますので、そこを題材にして自分流の農業をやっていてもらいたい。しかしその自分流の中にも自然と向き合う農業をやっていってもらいたいと思います。
桐島畑のある一日の流れ
年間通して出荷が絶えない桐島畑の一日は結構慌ただしく始まります。
出荷が多い時などは早朝から出荷作業をしています。
研修生の自分は基本朝8時スタート。
毎朝いくとこんな感じで、出荷作業をしています。
週一回のミーティングでこれから植える作物の植え方の作戦会議等をします。
この日は長引いた雨で待ち望んでいた生姜の植え付けを午前中からみんなでやりました。
?なれないクワ使いにひーこらしてると、皆さん丁寧に教えてくれます。
慣れていない人はクワ一つ使いこなすのも難しい。。
出荷もあるので、収穫作業も平行して行ないます。
力仕事もあるので、毎日みんなでお茶休憩があります。(気をつけないと食べ過ぎて少し太るみたいです。)
休憩中にカブトムシの幼虫を見つけたり
山菜が芽吹いてくると時にはみんなで山菜採りに脱線、とった山菜は出荷時に送られたり、家で夜のおかずになります♪
あまり自然と関わって生活をしていない人からすると、桐島畑での生活は自然との関わり方が全く違うことが分かります。畑で作業したいことがあっても、雨が降ると無理して畑や作物をいじらず、ハウスや事務所で出来る種まき、苗作り、事務作業になったり、あるいは休みにしたり。毎日ある収穫作業も季節や天候によって、朝取ったり、午後取ったりと、桐島畑は常に野菜や自然環境と対話する進め方をしています。
桐島畑を支える心強い仲間達
桐島畑は正一さん一人ではできません。
一緒に働いている人達がかなり強者ばかりで、みんな農業と桐島畑が大好きで仕事をしています。
?現在の桐島畑のメンバーを簡単にご紹介します。
桐島美根穂さん
このレンゲの咲いたお花畑のような野菜畑で収穫するかわいらしいおばあちゃんは、正一さんのお母さん。
百姓歴70年。80代なのに、若者より先に働き、遅くまで作業し、足腰も弱っているのに昔土方でならしたパワーは今でも健在で、10キロ以上あるコンテナを持ち上げてたり、クワを使いこなす、あり得ない程の力持ち。しかも泣き言一切言わず、その存在が周りの人を元気づけてくれています。
小さい頃から正一さんが農業に触れらて、その影響を受けたのもこのお母さんがいたおかげです。桐島畑のパワーはここから出ているのかも!?
桐島直也さん
人気農家桐島畑は現在も出荷がドンドン増え事務的な仕事も大きくなっています。その出荷などの事務作業は直くんがいないと今は成立しない。桐島畑の縁の下の力持ち的な存在。正一さんから「農業の感覚はすごくいいものを持っていると思う。」と太鼓判を押されている今後の成長が楽しみな正一さんの甥っ子です。
鈴木学さん
これぞ桐島畑のホープ!というような人。
桐島畑には、これまで桐島畑で力を付けていった人達もたくさんいます。学君は現在桐島畑4年目に突入して、今では桐島畑になくてはならない存在になっています。もう既に自分でも出荷していたり、正一さんだけではやりきれない作物を育て作ったものを桐島畑に卸していたり、独立する程の力を付けている人です。
本人曰く、「やりたいことをやりたいようにやらせてくれるし、自分のやりたい農業も今はここにある。」とのこと。
実家が有機農家であったり、若い頃に色々なことを経験して、たどり着いた桐島畑に自分のやりたい農業があったのは何か運命だったのかもしれません。今もなお桐島畑で野菜がどうやったらその潜在力を発揮して成長するのかという農業を追求しています。
?川合里奈さん
山菜娘、好物山菜は蕨です♪
北海道出身で、地域おこし協力隊で高知に来て、任期終了後、桐島畑で現在働いています。
笑顔が素敵で、分からないことや基本的なことは何でもサポートしてくれる研修中の頼れる先輩です。
美根穂おばあちゃんの遊び友達!?こんな娘さんと遊ぶからおばあちゃんは元気なんだろうなぁ。
こんな人が職場にいたらきっとみんな幸せになるでしょう。
塚原芽衣さん
桐島畑に入りたての新人さん。桐島畑には昨年一ヶ月の研修にきて、一目惚れして、働きたいということで茨城の農業先から飛んできました。いやー、桐島畑っぽい。ほっこりしますね。どことなく正一さんのほっこり感と似ているところがあるのは気のせいでしょうか。以前来た時に気に入られて数ヶ月後、桐島畑で働き始めました。これから桐島畑らしい作物を作ってくれることでしょう。
赤岡武さん
自分の研修と同じくして研修している赤岡君。これから桐島畑の事業拡大に連携してやっていく予定の企業に入る前に桐島畑で農業の修行中。連携企業と桐島畑の橋渡しを担う予定の大切な役目をこれから果たしてくれるでしょう。
加工娘部隊
桐島畑には協力者がたくさんいますが、彼女達を無くして人気商品のジンジャーシロップや黒生姜は生まれません。現在では冬場は月4回、夏場は月2回程のペースで併設している加工所で商品を作ってくれています。みなさん頼もしいお姉様方です。
桐島畑の人の入れ替わりも野菜のように入れ替わり立ち代わり変化します。卒業しても桐島畑となんらかの形で関わり続ける人達や連絡を取り合って生活する人達ばかりで、まるで家族のようにその和が広がり続けています。