第3回 人に合わせて働き方を開発したい

 今年の3月に突然行われた『「いなかパイプが求める「いなか求人」~ない人って何!~トークライブ」。いなかパイプとも関わりの深いおふたり(青木将幸さん、岡田拓也さん)とササクラレオで話をしました。テーマは「ない人」について。

 

▼YouTube動画はこちらからどうぞ。

 

 いなかパイプが考える「働き方改革」ならぬ「働き方開発」。人がいなくて困っているなら働き方や仕事の出し方を変えようという提案を事業者さんへしています。これって世の中の情勢にあってるの?日本各地で仕事をされているマーキーと岡田さんに聞いてみました。テキスト連載の第3回です。

 

第3回 人に合わせて働き方を開発したい

 

ない人

 

レオ:田舎の求人もはまらなくて困っているところもあるんですけど、いなかパイプは働き方開発だと思っていて。

 

マーキー:やり方の開発ね。商品開発みたいに。

 

レオ:例えばレジ打ち募集の求人をしても人は来ないんですよ。でも田舎の役に立ちたい、この事業者さん困っている。そこで「毎日レジ打ちだけの仕事は嫌だけど週2日だったら手伝ってもいいな。週2日は農業をしたいな。残りの2日は自分の仕事をしたり、のんびりしたりします」という働き方をしたい人が3人いれば、その事業所のレジ打ちのシフトは埋まる。事業者さんのお役にも立てて、働く側もやりがいを感じながら自分のやりたいことをやれている、という状態が作れますよね。

 田舎の人も都会の人も同じだと思うんですけど、ひとりの人に長くやってもらいたい、と思うわけですよ。でも、そうじゃない世の中になってきた。だから人生の中の一瞬かもしれないけど、田舎の役に立ってもらって、その人も田舎もハッピーになれるのでは。人がいないと困るから、入れ替わり立ち代りでもコーディネートできれば田舎経済をまわせるのではないかと。そういう“働き方開発”を事業者さんにしませんか?と提案してます。

 ただ求人を出して、人来ないなーと事業展開を止めているのではなく、働き方や仕事の出し方を変えることを考えようよ、という提案です。

 

岡田:とてもわかりやすい。いいですね。

 

レオ:どうですか?全国各地をまわっているおふたりから見て。僕らに訪れてくるニーズによってあみ出された「ない人」ですけど、一般的な世の中の情勢はどうでしょう?

 

岡田:世の中の情勢で言うと、合っているんだろうなって思いますよ。副業とか。

 

マーキー:めちゃめちゃ増えてるよね。

 

岡田:今って「何者であるか」をすごく求められるじゃないですか?何者でもないっていう状態が一番怖い、という世の中になっていて、私は何者なんだ、ということを誰もが言わなければいけないという状況になっていると思う。

 だから「ない人でいいんだ」というのはすごく良い。実際「ない人」でも「ある」って虚勢を張っていたりもするじゃないですか。

 

岡田さん

 

マーキー:そうそう。とりあえずわかりやすいから看板掲げたりとかね。「ない人募集」はやさしい感じがするので、ハードルが下がって良い。それが僕の印象。

 田舎の事業所に入るとか、独立して自分の力で食っていくのはどちらもすごくハードルが高い。ちょっと自分には無理だろうと怖気づく気はするけど、「ない人」は勇気づけられる。

 いなかパイプの仕事の仕方って人材プールみたいに何人もいる。「お前が唯一この島でひとりだ!」というのだと非常に緊張感があるけど(一同笑)、いなかパイプだと「俺が失敗したらダメだ」というプレッシャーがないよね。同じような有象無象の人たちがたくさんいて、なんかこの仕事合わなかったなーというときにスイッチ可能な仕組みがあるっていうのはやわらかいよね。

 

岡田:仕事がグラデーションしていくようなイメージが伝わっていいなって。行ったり来たりする人がもっと増えればいい。そしたら多分、生き残っていける会社がもっと増えていくだろうな。

 

レオ:そう思います。起業したり、自由に働いたりってフリーランスのような働き方だと思うんですよ。でも、フリーランスにならなくても雇われたままで色々なところで働ける、という仕組みづくりをいなかパイプができたらいいなと思っています。

 

(④へつづく)

ない人オンライン

 

ゲストプロフィール

青木将幸さん( 青木将幸ファシリテーター事務所 ) http://www.aokiworks.net/

 1976年生まれ。熊野出身。環境NGO・A SEED JAPANに関わる傍ら「それぞれの持ち味が発揮される組織づくり」に関心をよせる。95年よりNPO向けの組織運営トレーニングの開発とファシリテーションに関わる。企画会社ワークショップ・ミューで修行期を過ごした後、2003年に青木将幸ファシリテーター事務所を設立。以来、毎年100回ほどのペースで会議・ワークショップ・参加体験型研修の進行役をつとめている。2012年より拠点を東京から淡路島に移し、国生み伝説のある島から日本中に出かける日々を送っている。著書に「ファシリテーションを学校に!〜深い学びを促進する〜」 https://amzn.to/2Oj2vdQ などがある。

 

岡田拓也さん(株式会社ande代表)

 1988年、兵庫県豊岡市生まれ。いなかと都会を行ったり来たりしながら、ビジョン起点での仕掛けづくりを行う。2015年より、全国各地のまちづくり事業に携わり、まちづくりと地方移住とに関するメディアを立ち上げ、運営。全国100人以上のキーパーソンにインタビューを行う。2017年に起業し、複数拠点(宮崎・東京・高知・大阪・山梨)で暮らし、働く。人文知の社会実装がテーマ。

 

 

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