インターンシップ体験者インタビュー:川崎紗也加さん
2015/06/26
現在大学で農業の勉強をしているさやかさん。就職活動をする中、自分にはスーツを着て働く環境が向いていないと気づき、いつかは田舎で農家民宿をしてみたいと夢を持つようになったそうです。
田舎で農家民宿をする夢やこれまで東京の親元で生活をしていたので自立して生活出来る力を得たいと思い今回ほっと平山での研修に参加しました。
研修受け入れ先の「ほっと平山」は高知市より東に車で30分程行った香美市にある廃校を利用した宿泊施設です。周りはダム湖と山に囲まれた静かな環境で、都会生活しかしたことのないさやかさんにとっては初めての田舎での長期滞在をすることになりました。
現在、「ほっと平山」は、施設長の門田隆稔さん、由紀子さん夫婦に受け継がれて地域と密着した運営をされています。田舎で生活するには地域との関わり合いが出来るかが一つの大切な要素となります。都会でしか生活をしたことのないさやかさんにとっては初めての生活環境での経験をすることになりますが、1ヶ月でどういう経験をしたのでしょう。
研修中の様子
ダム湖を橋で渡った先にあるのがほっと平山の施設。
桜の季節はこの場所一帯が桜に囲まれます。
研修中は
お客様を迎えるお花を玄関にいけたり
避難訓練に参加したり
ある時は農業を学んでいつか田舎に住みたいというさやかさんのために門田さんが近くで開かれた農業と地域活性化の可能性を学ぶ講座に連れていってくれたりしました。
中間研修にて
研修の折り返し地点で今の状況を聞いてみました。
-研修中に出て来た悩みや困ったことはありますか?
研修でほっと平山で体験したい、学びたいと思っていたことはだいたいできてきたけど、これからそれを自分の生活や将来の目標にどう活かしていけばいいのかまだ明確になっていないという悩みが出てきました。あとは、困ってはないけど、なんとか食べている程度で、料理を作っています。教えてもらっているんですが、まだ美味しい料理ができていません。一番美味しくできたなと思ったのはオムライスです。(笑)人がいないことに最初寂しさもあったけど、もう慣れましたね。
-これから終えるまでに更に実践していきたいことはありますか?
この研修の生活を活かして、東京に戻ってからやりたいことの選択肢を増やしたいです。
自分のふるさとと思えるくらい平山のことをもっと知りたいです。そのためにも何かほっと平山にとって役に立つものを形にして残したいと思います。あとは、だるまストーブの火をつけられるようになったんですが、ピザ釜の火を薪でおこせなかったので、薪でも火をおこせるようになりたいですね。
修了研修にて
-研修を終えてどういう発見がありましたか?
色々な人の話を聞いてみたらとアドバイスもらったり、関わってお話を聞いてみると、今やっていることは元々これをやるつもりじゃなかったという人が結構多くて、人生何があるか分からないんだなということを教えてもらいました。人生設計って難しいんだなっていうのが分かりました。自分もこれから家庭や地域をどうするかということをもっと具体的に考えていきたいです。
-研修中、難しかったこと、楽しかったことはありますか?
自炊が難しかったです。じゃがいもをたくさん頂いたりして使い切れなかったり、玉葱を余らせてしまいました。あまりやったことがなかったので、料理をすることや使い方を考えるのは難しかったです。逆にこれまで母が作ってくれたことにあらためて感謝しました。
楽しかったのは、田舎でしか体験出来ない草刈り、薪割りができたり、最初出来なかったけど、薪に火がつけられるようになったのが嬉しかったです。あとは、都会では散歩してみようとは思わないけど、田舎に住んでいると歩くことだけで気持ちよくて毎日散歩していました。
-都会と田舎の生活環境の変化でどんな違いがありましたか?
東京では近所付き合いがあまりないし、コミュニケーションが都会の感覚と違うし、どういうスタンスで関わっていいのか分からずに最初戸惑いました。でも、地域の人と交流する飲み会を開いてくれたり、散歩中に声をかけてくれたりして徐々に顔と名前も覚えて、地域に慣れていきました。
あとは田舎の人達はみんな地域のことをよく考えてるんだなぁということが分かりました。地域活動で地域の人達が参加することも都会と違ってたくさんあると思います。都会ではみんながそうではないけど、住んでいる地域のことを意識している人はあまりいないと思います。都会では自分が住んでいる街という視点が強くて、田舎のようにみんなと住んでいる街という視点があまりないのかもしれません。
-研修を終えて見えて来たこれからの展望は?
農家民宿をしたいという気持ちは研修前より強くなりました。そのために、農業の知識をもっとつけて自分で野菜を作ることに挑戦したいです。お金もためたいし、農家民宿の研修の体験や参加をしてみて更に具体的に目標を固めていきたいです。研修中にも農家民宿をしたいと宣言していたら、みなさん色々な情報をくださったりして少しずつ具体的になってきていると実感しています。
あっと、ほっと平山にまた来ます!
-農家民宿だと料理も作れるようにならないとね!
ほんとそうですね。笑
がんばります!
研修修了後
この研修プログラムでは、ただ田舎での生活をするというだけでなく、田舎でのビジネスを学ぶために研修生と受け入れ先のそれぞれにとって有益になるような関係性や成果を一ヶ月通して創っていくことを目指しています。
研修後、さやかさん自身は学ぶことがたくさんあったけど、ほっと平山の役に立てていたのかが心配だったようです。実際どうだったんでしょう。門田夫妻とスタッフの方々にもそれぞれ感想を伺いました。
「忙しくて考える時間を取っちゃれんかったがやないか心配でした。それもさやかちゃんにとっていい体験になっていれば嬉しいですね。」
「さやかちゃんが居るおかげで地域の人達や新しい人達との潤滑油になってもらえて助かりました!」
「はじめてきた時より地域になじんでいるのが外からみていたらわかります。」
「さやかちゃんは一緒にいて話しやすかった。それはさやかちゃんの魅力だと思うので大切にしてもらいたいです。」
「あまり考えずにやりたいことをやりなさい!」
「役にたってないことは絶対ない、インターンに来てくれただけでこちらが勉強になることがたくさんありました。」
とう意見をもらってさやかさんも安心していました。
さやかさんは一ヶ月の限られた期間の中で何ができるかを考えながら実践するのが難しかったそうです。でも実際には自分の習得したいこととほっと平山や地域のために色々な行動をしていたようです。毎日の散歩中にゴミを率先して拾ったり、地域やお客さんとほっと平山の接点が少しでも多くなるようにスタッフのプロフィールをつくってみたり、隆稔さんのお母さんの由美さんと一緒にほっと平山通信を地域の人達に配布をしていたり、と色々なことをしていたようです。さやかさん自身は覚えるためにやっていたので、それが実際に相手のためになっていたのか分からなかったそうですが、周りからフィードバックをもらうと自分でも気づかない自分の行動の成果を確認出来たようでした。
今回の研修で夢に向かってやることが具体的になったり、自分の良さや課題が発見できたのは、大きな収穫だったのではないでしょうか。
田舎生活に憧れる人や田舎で何か新しい仕事をやってみたいという人はたくさんいますが、実際に田舎で生活するとコミュニケーションや環境の違いが暮らし方や仕事に大きく影響することが分かります。さやかさんは都会で生まれ、都会で育って、田舎で生活するという夢をもっていますが、今回はじめてその目標の生活環境に近い場でその経験をして自分の夢を実現するために必要な次のステップを発見できたようです。
田舎で何かをやってみたいと構想している人はまずその理想の環境に近い現場で生活と仕事を体験してみると、次ぎに進むステップが見つかるかもしれません。
理想の環境とお仕事の現場はこちらhttps://inaka-pipe.net/pgm/で探してみてください。