インターンシップ体験者インタビュー:宮内達朗さん

2013/08/09

2019

宮内達朗さん

 「将来、地元を含めて地域で働きたいと考えているけれど、地域に仕事は本当にあるのか?どんな仕事があるのか?そして、自分はどんな働き方をしたいのか?具体的なイメージがつかめていなかった」という宮内さん。昨年、大学のゼミで訪問した「道の駅四万十とおわ」と、管理運営をする株式会社四万十ドラマに心惹かれるものを感じて、インターンへの参加を決めました。
 「道の駅四万十とおわ」は、高知市から2時間程、四万十川中流域に位置する、人口約3千人の旧十和村にあります。近くのコンビニまで車で30分以上かかり、公共交通の便も悪い立地にも関わらず「四万十川に負担をかけないものづくり」をコンセプトに商品開発・販売を手がけ、年商2億円を売り上げる。「ここにしかないもの」を求めて、全国から来客が絶えず、県内外から優秀な若者も集まってきています。
 そんな「道の駅四万十とおわ」に飛込み、29泊30日のインターンシップを終えた宮内さんにインタビューしました。

インターンシップを終えて、今の気持ちは?

 すがすがしい感じですね。なんか、いろいろやったなと。思った以上のことをやり、経験して、びっくりするぐらいの数の人に会って。ほんとにインターンシップに来る前に思っていた、数十倍のことができたな、と。
 地域での仕事をやりたい、見たいと思っている人にとっては、インターンに参加することで、見えてくるものが絶対にあると思います。例えば地域の足元にあるものを生かしていけば仕事になっちゃうとか、働き方は多様だとか、地域に仕事ってたくさんあるとか、自分で作っちゃうとか。具体的にこうやっているというものを、実際に自分が見て聞いたことで「なるほど!」とイメージが掴めました。
 それから、この1ヶ月の中で、今までにないくらい自分と向き合った気がします。自分ってどういう人間だろうとか、自分の癖だとか、就活で言う自己分析っていうところができたので、来る前と今では意識が全然違うと思います。参加費分は、一瞬で元が取れましたね。

宮内達朗さん

研修の中で取り組んだことは?

 例えば、新商品の袋を結ぶために紐をひたすら切る業務があったんです。
 途方にくれながらも作業していたのですが、よくよく考えてみると、それも地域ビジネスの一環を担ってるんだと気づいて。道の駅は、表に見える華やかなところで売っているから、裏方のところはあまり見えないけれど、地味な作業が当然ある。それを、地域の人にやってもらったり、スタッフ総出でやったり。そんなこと全然知らなかったですし、細かいところにも目をかけないと事業をやっていける訳もない。大きな気づきを得られたと思います。
 「こういうことを学びたい」というものがあれば、傍から見れば雑用ばっかりやっているようでも、絶対どの作業でも得られることはあると思うんですよね。例えば、伝票を整理しながら、取引先や、やり取りの様子が見えてきたり、意識すれば、細かいところでも、知れることがあったので。
 それと、インターンに来た目的を周りの人に伝えると、予想外にいろんな方から、いろんな話を持ちかけて頂きましたね。例えば、市場に入っていた時に、売り場の担当者から、実はこんな風に売れる工夫をしているんです、と教えて頂いたりしました。

 あと、僕が研修中に大切にしていたことは「笑顔と元気と挨拶」です。そして、どんな時でも「ハイっ!」と受ける姿勢です。とにかく、何でもハイっ!て言っていたんですよ。休みの日でも「行く?」みたい誘いを受けたら、内心疲れたなーと思っていても「行きます!」と。とにかくほとんど断ることはしなかったです。そうすると、地域の生産者へのインタビューや、テレビの取材に同行する機会を声かけて頂いたり、いい方向に転がっていきました。

宮内達朗さん

研修中、特に印象に残ったことは?

 道の駅で行われた夜市でトランペットを吹いたことで、地域のそれまで面識のなかった方から、敬老会でも吹いて欲しい、とお誘いを頂いたことはすごい嬉しかったです。今まで楽器を吹いてきて、そういうことがなかったんです。1ヶ月という短い期間でも、自分でも活躍できる場があった。
 あと、受入先は別々でしたが、同じ時期にインターンをしていた仲間と宿舎で共同生活をして、夜な夜な、将来こうしたいとか、夢を語り合ったことは、楽しかったなというのはありますね。最初にインターン同期に会った時には、こんなこと(インターン)をする人が他にもいたことに驚きました(笑)。

宮内達朗さん

研修が始まる前は不安だった?

 行きの電車でも、来たのはいいけど、どうなるんだろうと、不安でした。
 始まってからは、受入先担当者が調整をうまくやって下さったことが安心に繋がりました。困ったことがあれば、何でも相談に乗ってくれましたし、受入先にはIターンで来た方や、過去に同じインターンに参加して就職した方もいらしたので、いろいろアドバイスを貰えました。
 サポート体制は、かなり充実しているんじゃないですかね。あと、最初の頃に、近所に住んでいる地域の方が「これ食べよ」と、良くして下さったことが大きかったです。背景には、受入先も地域の方も、インターン生を過去にたくさん受け入れてきていて、慣れている、ということもあったのだと思います。
 1ケ月って、長いんだろうなと最初の頃は思っていましたけれど、全然そんなことなかったですね(笑)

宮内達朗さん

研修を終えて、見えてきたことは?

 こっちに来て、豊かに生きたい、というのを、感じるようになりました。
 豊かに生きるって、自分の仕事を自分の意思で調整できることだったり、人と人との関係・距離感だったり、それらを総合して感じたものなんですけれど。
 例えば、どういった視点で仕事を選ぶか。お金も大切ですが、一番大切なことは、自分がモチベーションを維持してできることかとか、本当に自分がやりたいことなのかとか、そういうところです。少なくとも、僕がここで会ってきた人は、仕事にやりがいと誇りを持ち、なおかつ豊かに生きていることに、自信を持っていらしたので、価値観に影響を受けました。
 あと、飛び込んでみないと表面的ではない本当のところはわからない、ということを感じたので、何事もシンプルにガツガツ動いていきたいです。
 学部生の時に、就職活動をしたことがあるので、なんとなくわかるんですけれど、今の大学生の就職活動は、就職情報サイトで選ぶ、みたいな感じが多いんです。簡単にエントリーできちゃうので、言ってしまえば、就職活動がサイトの情報だけで済んでしまう。他にも色々調べたり、OB訪問をしたりもするんですけれど、それでも、知れることって限られているんだろうなと。今思うと、恐ろしい話です。
 この12月から就職活動がはじまるんですけれど、ここで見て聴いて感じて、自分はこうしたいな、と思ったことも、自分の選択肢の一つとして置いておいて、せっかく就職活動という期間もあるので、いろいろ見てみたいなとは思っているんです。その中でも地元に帰る、地域で働くという気持ちは強いので、そういうところを大切にしながらやっていきたい。ガツガツ動いていく姿勢というのは、これからも続けたいと思います。

研修を終えて、見えてきたことは?

インタビューを終えて

 誰も知らない環境に飛び込んだ29泊30日の宮内さんのインターンシップ。道の駅では市場・食堂・視察対応など様々な業務を「何でもやります!」という姿勢で手伝いながら、フェイスブックページに研修生の目線から情報を発信し、来たお客さんから「フェイスブック見てるよ」と声をかけてもらい情報発信の意義を感じていました。
 道の駅が主催する夜市では、中学から続けてきたトランペットを活かしたパフォーマンスで会場を沸かせ、その姿を見た地区の区長さんからの要請を受けて、敬老会に単身で乗り込んで演奏し、酒を酌み交わし、自ら地域の人々と関係をつくるという経験もしていました。そして、研修を終え、地域の方々から数え切れない程の「また帰ってきいや」の言葉を貰っていました。
 いなかビジネス教えちゃる!インターンシップは、「教えちゃる!」と言っているものの、ただ与えられるのを待っているだけの人には、誰も何も教えてもらえない。宮内さんのように、積極的に動く人には、様々な気づきや学びをたくさん得られる。そんな研修プログラムなのだと思います。
 高知県の農山漁村というフィールドを使って、29泊30日という機会をどう活用するかは、「あなた次第」です。こんな環境に飛び込んで来た人が「自分が得たいもの」「自分が見つけたい何か」を見つけて帰っていけるように、そしてこの若者のチャレンジが、地域にとっても価値あるものになるように、若者と地域をつないでいくのが私たち(社)いなかパイプの役割だと思っています。
 この記事を読みながら、悩んでいるあなた、まず相談してみてください。何か道が開けるかもしれませんよ。

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