初めての四国八十八か所巡拝便り
- 執筆者 和田玲子
- 所 属シェアハウス土佐指南家
2020/05/28
高知市で女性専用のシェアハウス&民泊「土佐指南家」を営む、おかみのレイです。2月より週末などを利用し初めてのお遍路へ。
道順などを調べてマイペースでゴトゴト、やりよります。できるだけ、昔からの遍路道を歩いて巡ることを目標にして、挑戦しています。しかし、この時期だから、コロナウイルス感染予防のため、現在は休止していて、安心して再開できることを願っています。
初心者お遍路のおかみは、般若心経などを唱えて読経の練習をしています。読み方はこれでいいの?と不安でスタートした巡拝だったので、とにかく読むことを続けています。わからない部分を簡単に調べることが、できる時代に感謝です。日常生活に気をつけていきたい戒めであり、現在にも通じる教えだから、すごい!読経で言葉に出し、意識して行動するように心がけています。
先は長くこれからですが、遍路道を歩く行程も、また修行の一つとなっているように感じ始めています。もちろん、歩き遍路でないといけないわけではありません。歩き遍路をできるだけ続けていくつもりです。
準備品で役立ったのが、膝のサポーター、トレッキングポールとおやつです。初回お遍路の最後に、膝が痛くなり石段を降りるのに苦労したことから、膝のサポーターと伸縮可能なトレッキングポールを購入して正解でした。重心のかけ方に注意して膝への負担を少なくすることができ、痛みがなく無事に歩き通すことができたのです。トレッキングポールで地面を確かめると安全で、苔や湿地で滑りそうになった時にも転倒防止で大活躍でした。
トレッキングポールは、軽く持ち運びが便利なアイテムです。スポーツの休憩時のように、途中に水分とともに、おやつが疲れを取ってくれました。梅や昆布のおやつは塩分補給にもなり、お気に入りとなりました。もぐもぐタイムと言って休憩を楽しく過ごしています。飴なども糖分補 給でポケットに常備し、おにぎりやサンドイッチなども重宝します。
歩き遍路として、初めて長距離の山道に挑んだ、中土佐町から四万十町影野までの行程を振り返ってみます。「添蚯蚓(ソエミミズ)」と呼ばれる遍路道です。標高400mの曲がり道をミミズが這う姿に例えた名称ですが、3時間半、汗を拭きながら頑張って歩くと、ご褒美のような美しい山並みの光景が広がり、眺め最高、気分爽快でした!!これがあるから、頑張れる!歩き遍路の醍醐味を感じた瞬間だったような気がします。
おかみのペースで、4kmを1時間で歩いています。しかし、急な坂やゴツゴツした岩のデコボコ道が続くと、同距離でも、さらに30分以上かかります。余裕を持って歩くことが、いかに大事かと身をもって知ることになりました。
途中、通ったことのある高速道路の下を通り、階段が続く休憩所から高速道路を眺めました、遍路道が身近にあったことが大発見でした。このような発見があると、とても楽しいですね。坂道が続くと精神的にも辛くなってきます。 息が上がり苦しくなった時に
「南無大師遍昭金剛」
と唱えていました。
言葉の意味は、自分達が生きていく上で弘法大師を拠り所として生きていくということです。お遍路は自分1人だけではなく、弘法大師と2人で修行している考えから、白衣などに「同業二人」と書かれているのと同様に「南無大師遍昭金剛」の言葉が苦しい時に自分を奮い立たすことへ。苦しい時の神頼みが、おかみの場合は苦しい時の弘法大師頼みといったところ でしょうか。諦めかけた自分を励ます、元気の出る言葉です。
そして一番嬉しかったのが、山道を歩き終えて国道などに出た時に、越えてきた山を見上げること。歩いてきた景色を見上げると、一気にこれまでの疲れがとれて、達成感を満喫できます。
お店で昼食をとり鋭気を養い、JR影野駅まで歩き、窪川駅へ。駅から近い37番札所岩本寺へ歩いて到着しました。(中土佐町久礼を出発して5時間経過) 岩本寺は本堂の天井絵の美しさが有名です。訪れたことはあったのですが、遍路として訪ねた今回は一段と綺麗だと感じました。岩本寺に行った時には、ぜひ見て頂きたい所です。
帰路は、窪川駅から土佐久礼駅までJRを利用して、車窓からの景色を楽しみつつ、いつしかウトウトしていました。土佐久礼駅からはクルマで無事帰宅しました。
朝の出発から13時間、お遍路の1日が終了しました。膝の痛みもなく、岩本寺を巡拝できたことが大きな喜びとなり、 歩き遍路を続けたいという思いが強くなりました。今後も過酷な道があるでしょうが、無理しすぎずに歩き遍路を続けていこうと考えています。
次は高知から愛媛へと向かっていきます。土地勘のない場所なので、事前に調べることが必須となりそうです。ワクワクしていますが、中断状態が長引きそうで、気がかりでもあります。
山道を歩いた経験で、嬉しい変化がありました。近所の石段を上がっても、今までみたいに息切れすることがなくなってきました。歩くことを楽しく感じるようになったことにも驚いています。
「これからも、歩くことを続けんといかん。」
それが最近のおかみの口癖になっていて、数ヶ月前には想像できなかったことです。
体力とともに思い通りにいかないことへの忍耐力をつけることが、民泊の仕事の現状に耐え忍ぶ事にも繋がっています。不安もありますが、おかみ自身が、どっしりと構えて、今できることを行っていくしかありません。
温かい言葉も頂いて、いつも以上に励まされ、感謝しています。頑張っている方々がたくさんいて、自分だけではないと気持ちを立て直すことにも、お遍路修行が大変役立っています。
平穏な暮らしができるようになることを心より願い、今までと同様に高知への旅行やお遍路に来られた女性が、安心してゆっくりと過ごす場となっていくように努めていきます。土佐指南家は、みなさまとの出会いをこれからも大切にしていきます。
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