移住先での子どもの教育。田舎と都会で進路実現の可能性は変わるのか?
- 執筆者 門脇享平
- 所 属NPO法人Murark(ムラーク)
2021/05/31
いなかパイプをお読みのみなさん、こんにちは。佐賀のお山で暮らす門脇と申します。
佐賀のお山はこの辺り。山を降りると福岡市内なので、とっても便利。
田舎暮らしの心配ごと、子どもの進路。
普段は、空き家を活用した場づくりや、子どもたちの教育に関わる仕事をしています。
私が暮らす佐賀のお山は、例年より2週間も早く梅雨入りをしてしまいました。普段より早い梅雨入りが、田植えシーズンに重なってしまって、農家さんは慌ただしく田植えをされていらっしゃいます。
私自身は、まだ米作りをしているわけではなく、いつかは、という気持ちです。 ただ、おいしいお米を作ってくれる方々が周りにたくさんいるので、そんな方々に最後まで頼ってしまうかもしれません。
米作り1つとっても、手間ひまのかかる仕事なので、作ってくださる方々にはとっても感謝して、ありがたくお米をいただいています。
この時期だけ見られる美しい棚田の風景
さて、今日のテーマは、子育て・教育に関わるものです。
空き家活用・移住促進を進めるNPOを運営している関係で、毎月数組の方から移住相談をお受けしています。 年齢や属性は多種多様で、田舎の可能性を日々感じるのですが、子育て世代の方々の悩みの1つに、「子どもの教育」問題があるようです。
「よし、移住するぞ!」と決意されているご家庭の場合は、色々と考えたり、覚悟されている方が多いので、悩みとして表面化しているケースは少ないです。
一方で、「田舎暮らし、考えてみようかな。」と思い始めるタイミングの方々は、やはりまず「子どもの教育」問題で悩んだり、断念している印象があります。
田舎と都会の教育環境の違い
教育環境について親御さんが気にされるのは、子どもの将来に良い影響を与えるにはどうしたらいいか、ということだと思いますが、具体的な悩みとしては以下のポイントの質だったり多様性だったりを気にされることが多いでしょうか。
①進路先として選べる学校の選択肢の数
②塾や習い事といった私的教育の選択肢の数
③1クラスあたりの子どもの数
④娯楽施設や公園といった遊ぶ場所の数
などなど。
改めて田舎と都会の教育環境の違いを考えてみると、人口の違いに起因するものが多いような気がします。
人口の違いについてはどうしようもない(というより、人口の違いが田舎らしさ、都会らしさを生んでいるとも言える気がする)ので、それぞれ、どちらが良い悪いと論じることはできないと私は思います。
確かに、多分都会の方が教育サービスの多様性や質は担保されているでしょうし、その中から子どもに合った経験をさせることができそうです。
他方で、田舎の自然環境の中で、広々とした空間や田舎ならではの時間の流れを通して子育てする方が、子どもにとって良い影響を与えそうだという考え方もあると思います。
近所で自然を生かしたアクティビティができるのは田舎ならでは?
家庭教師や塾の指導を通して感じる「田舎の子どもの強さ」
田舎と都会、子どもの教育にとって、どちらも良し悪しがあるという立場の私ですが、移住してきて7年間、佐賀のお山の子どもたちに家庭教師や塾のサービスを提供する中で感じてきたことを、少しだけお伝えしたいなと思います。
子どもたちに
「三瀬(みつせ)で暮らしてて楽しい?」
と聞くと、多くの場合、
「街中の方が、イオンもあるし、友達も多そうだし、楽しそう。もちろん今のクラスも楽しいけど。」
という答えが返ってきます。また、
「高校生活は楽しみ?」
と受験生の子どもに聞くと、
「いろんな経験ができそうで楽しみだけど、今までが少人数クラスだったから馴染めるか不安」
という声もよく聞きます。
素直な意見だなぁと思います。 大人の中でさえ、田舎に移住して暮らす人たちは、どちらかというと少数派なのですから、子どもたちにとっても、都会的な暮らしが魅力的に映るのは当然と言えば当然ですよね。
私が塾として使っていたコミュニティスペース「みつせCUBE」
ただ、私が子どもたちの話を聞くときに注意しているのは、隣の芝生は青く見える、ということです。
都会の子どもたちに同じような質問をしたら、中身は違うけど、同じように憧れや悩みを抱えていると思います。
つまり、子どもたちの気持ちは尊重するけど、それだけを根拠に田舎の教育環境が劣っていると判断することはできないということですね。
佐賀のお山の子どもたちと接していて感じることがあります。それは、芯の強さというか、人と接する時の粘り強さというか。。。 ここを上手に言語化できると、PRポイントになるのでしょうが、断定することもできず。
自然環境が豊かであり厳しくもあるからなのか、少人数クラスの中で社会性を育むからなのか、田舎ならではの大人と子どもの近さからなのか、要因は複雑に絡み合っていると思います。
小水力発電署があり、子どもたちが電気の作り方を学ぶ機会もあります。
ただ、辛い時の我慢強さや、頑張りたいと思った時のやり抜く力や、決まったことを守る勤勉性といったあたりの非認知能力については、「田舎の子どもの強さ」として感じることがあります。
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田舎の教育環境の魅力について少し書いてみましたが、それでも教育の選択肢が少ないのは事実、感じています。
特に高校進学は、通学の問題や通塾の問題など、様々な問題があり、田舎に暮らす子どもたちの不利な点になっていると思います。
そこでおすすめしたいのが、最近関わり始めた「地域みらい留学」というサービス。 都道府県の枠を超えて、地域の学校に入学し、充実した高校生活を送れる制度です。
このサービスが優れていると思ったのは、全国の魅力的な高校に子どもだけが行けること。寮や下宿が準備されている学校だけが登録されているので、家族揃って引っ越す必要がありません。
また、探究学習に力を入れていたり、部活動に力を入れていたり、公営塾が充実していたりと、特色ある高校が多数存在しているので、子どもに合った高校を選びやすいと感じています。
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地域みらい留学
無料ですし、子どもたちの可能性を広げる1つのチャンスになると思います。
私にはまだ子どもがいないので、子育てのことなんて書かれても説得力がない、と思われるかもしれません。でも、地域にとって子どもは宝であり、地域に残る残らないに関わらず、健やかに育っていって欲しいと心から思っています。
私一人では無力でも、たくさんの大人たちが多様な教育のあり方を模索していくことで、子どもたちが健やかに育ち、地域も明るくなっていったら良いなと思っています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!!
※地域みらい留学の合同学校説明会については、こちらの記事でも詳しく書いているので、もしよろしければ合わせてお読みください。