シェアスペースのすごし方~日常からすこし離れて、日常をすこし忘れて~
新潟県上越市の里山「高尾」から、小さな小さな暮らしの出来事を今月もお届けします。
ここ高尾も、日に日に寒さが増してきて、冬はもうそこ?と言った感じの今日この頃。10月中旬くらいから薪ストーブをついに稼働しております。
これを見てください。母が必死に薪をくべていますが、ストーブ周りは見事に猫に占拠されて、かろうじて椅子が一つ空いているのみです(人間は3人います・・・・)。
11月に入り、現在運営しているシェアする空間「山のホムサ」(シェアスペース)もいよいよ、今年度は最後の営業月となりました。
実は「山のホムサ」には冬眠期間があります。これは雪国ならではの事情だと思いますが、説明させていただくと、まず例年通りだと12月中旬頃から「根雪(ねゆき)」が始まります。
根雪とは、積もった雪が溶けないうちに、次から次へと雪が積もる状態をいいます。専門用語だと「長期積雪」と言うらしいです(こちらの方が聞き覚えあるかもですね)。
「雪が根に張る」・・・・まさしくその通り。ちょっと想像すると怖いですが。
だいたい初雪が降っても、いったん消えて次に降るときに根雪になる事が多いのですが、その年によっては初雪がもう根雪に変わる事もあります。なので、
「今年の初雪はいつなのだろう?」
という事より(それも気になりますが)
「根雪がいつからなのだろうか??」
という事の方がある意味気になります。そして今年はまた大雪になるのでわともっぱらの噂です・・・(ソワソワ)。
今年の2月がこの状態でした。ちなみにこれでもMax積雪ではありません(ゾッ・・・)
ここで急に大変余談ですが、「山のホムサ」の「ホムサ」と言う名前は、うちの猫の名前なんですが、そもそも「ホムサ」って名前がどこから来たかと言うと、皆さん多分ご存じ「ムーミン童話」に出てくるキャラクターの名前なのです。
キャラクター的には「ホムサ族」っていう括りがあって、いろんなホムサがいるのですが、なかでも「ムーミン谷の11月」に登場する「ムーミンママに会いたくてムーミン谷に行く」ホムサくんが、うちのホムサの名の由来になっています。
なんとなく付けたのですが、今となってはなんだか似ている気が・・・
我が家に来た頃のホムサ。
そのムーミンのお話の中で「ムーミン谷の冬」というお話に、冬眠しそびれたムーミン(ムーミンも冬眠するんですね!!)が初めて外に積もる雪を見た時に雪が降ってくることを知らないので、朝起きたら雪が地面から生えてきた!!と驚くエピソードがあります。
なぜか「根雪」で思わずそんなお話があったなあと思い出しました。雪が根に張る想像から話がだいぶ飛びましたね。
ご興味がある方はぜひアニメではない方のムーミン童話を読んでみてください。ハッキリ言って大人向け?と思うようなシニカルだったりブラックユーモア満載の内容で面白いですよ。
話がちょっと逸れましたが、、、雪国の恒例作業として欠かせないのが「冬囲い」です。降り積もる積雪から、家や庭木、等などを守るために、とにかく囲います。
シェアスペースをしている1階部分の窓と言う窓は、その冬囲いにより12月後半頃から春先(3月位?)まで塞いでしまうので、1階からはほぼ外の景色を見る事も出来きません。もはや穴倉です。
屋根から落ちる雪や、積雪で普通に景色も見えなくなるので、さすがにお客様に穴倉でおくつろぎください・・・とは口が裂けても言えません。
結果「冬眠」と言う形をとらせて頂いております。他にも理由としては、除雪の関係だったりで駐車スペースも格段に少なくなりますし、道中道は綺麗にしてもらえますが、大雪だったりすると、その道も不慣れな方には厳しいですしね。
昨年の冬囲いの様子
中から見るとこんな感じ。もちろん既にシェアスペースは冬眠(一時休業と言うべき?)した後です。
前置きが大変長くなりましたが、今回の本題は雪の話題ではなくて(それはたぶんこれから嫌になるほど触れるので)そもそも「シェアスペース」って何するところ?カフェでもないし、コワーキングスペースとも違う? シェアオフィスでもないよね?? なんて疑問をお持ちの方もいるかと思いますので、私のパイプウェブの初めましての記事
でも、ほんのちょこっと説明していますが、今回は「シェアスペース(シェアする空間)」での過ごし方、実際に利用しているお客様は皆さんどう過ごされているのかを何パターンかご紹介しようと思います。
もうじき冬眠しますよっていうお知らせの後に、大変段取りが悪いのですが、、、
がっつり読書timeに
シェアスペースには我が家の書籍(私のがダントツ多いのですが)がたくさん置いてあります。もちろんご自由に滞在中は読んでいただけるので、結構手に取って読んで行かれる方も多いです。
ご自分の読まれている本など持ち込んで読まれている方もときどきお見かけします。いつもと違う環境だと読書も進みそうですね(私はここが家なので逆に進みません:涙)。
図書館ではないので本の趣味の偏りは大いにありますが、本にはあまり興味が無い方も、人のお家の本棚を除く感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか?
ちょっとしたコワーキングとして
持ち込みは飲食に限らずお仕事道具などももちろんOKなので、パソコン、タブレットなどを持参して、お仕事されている方も多いです。
私も、お客様が帰った後や、営業日以外の日に普段は自分の部屋で使っているパソコンをシェアスペースに持ち込んで、自宅コワーキング気分を味わったりもしています。あくまで自宅なのでなにか違うのですが。
上の写真は父がコワーキング気分しているところ(別にしていない)お客様がいらした時もこうやって猫たち接客してくれればいいのに・・・。
宿題とご褒美timeに
リピーターさんの中には、親子で通ってくださる方もいらっしゃいます。お子様はシェアスペースにあるコミックなど毎回楽しみに来て下さっていて、宿題をすませてから読書に没頭しているようです。
お母さまの方も持ち込みのお仕事をされていたり、この間は
「うっかり寝てしまいました」
とソファーでうたた寝されていたみたいです。リラックスして過ごしていただけるのが何より嬉しいです。
作品作りに集中!
お家にいる猫ちゃんに邪魔されちゃうからと、生地など持参して、コツコツと縫物作業をされるお客様もいます。うちにも猫はいますが(6匹・・・)あいにく、幸いにも人見知りな為、さすがに作業の邪魔はしないのでそこは一安心。もうちょっと「接客」して欲しいんですが。
細かな手仕事など、ご自宅でもできますが、やはり「集中」したい時、環境を変えて、いつもと違う場所でできるとはかどる事もありますよね。あとこういう作業的な事はなんとなく、カフェなどではできなさそうですし、そういう点ではシェアスペースはまさにうってつけ!
女子会、お茶会、食事会、同級会、とにかく語ろう会に
飲食持ち込み自由(提供できないのでむしろ推奨)なので、お客様も、ご自宅からお弁当を作って持ってこられたり、スーパーなどでお惣菜など買ってこられたり、ケーキを何種類か持参されたり、某スタバ(某の意味)やファストフード店で買って持ってこられる方、様々です。
そうやって、準備万端で時間を気にすることなく(一応気にしてると思いますが)最大5時間、ずっとおしゃべりにまさに華が咲いておられるお客様達も割合に多いのです。
カフェではないので飲食の有料の提供はありませんが無料セルフサービスにて、種類は限られていますがお茶のティーバックやインスタントの甘い飲み物、コーヒーは豆から挽いたものをドリップしてお出ししています(おかわり自由!)
これはあくまでサービスなので、絶対に利用しなきゃいけない訳ではなく、もちろんご自分の好きなお飲み物の持ち込みしていただいてOK。
なんとなく買い出しに行った時に珍しいお茶や新しい種類のものを見つけると、普段は家の人だけで飲むのにわざわざ買えないかなあ、と思うものも
「お客様にも出せるし、試してみよう」
というきっかけになるので、そんな風にお茶などの種類を考えるのもそれはそれで楽しいんです。
どうぞ、お気軽にご利用ください♪時折お菓子も置いてあったりしますので要チェック!
古民家に興味があって、改装に興味があって
このパターンのお客様もやはり多いです。なかなか改装した古民家って古民家カフェとか、宿泊施設だったり、あと個人のお宅だと知り合いじゃない限り行く機会もないですから(多分)シェアスペースをそういった目的で利用される方も多いですね。
シェアスペース内にも「古民家の改装の記録」を綴ったスクラップブックがご自由に読めるように置いてあります。それもぜひ読んでいただけると、嬉しいです。
古民家の片づけの頃から、コツコツ綴ってきたキロクたち。あとで自分たちでも見返して楽しんでいます。
猫に会いに
これは、やはり、密かに多いですね(笑)特にインスタなど見て下さる方は、私が
「猫カフェではありません」
とか言ってるくせに猫の写真ばかりあげているので(スミマセン他にあげるものがないのでつい)猫をチラチラ気にして下さっていますが、なんどもいって申し訳ありませんが、我が家の猫たちほぼ全員人見知りーズなので、下手すると一日いらっしゃっても、1匹も現れない事もザラです。
かと思えば、営業日以外の日に、地元の猫に一切興味が無いオジサマが野菜など届けに来てくれた時に限って、執拗に2~3匹周りをウロウロしたり、あげくニャーニャー話しかけたりしています。どういう事?人見知りは?その対応なんで今するの?捻くれてるの??(共に住む人間に似てくるのかい?)
なのでいつも言う言い訳は、
「猫が見れたらラッキー位の気持ちで来てください」
です。ほんと、ごめんなさい(猫好きな人の猫みたい構いたい気持ち死ぬほどよく分かります:趣味猫ストーキング)。
過ごし方に決まりなんかなくて、それぞれの方がいつもと違う場所で、ちょっとだけ日常から離れて、自分の時間を過ごしにきていただく場所、きっかけになればいいなあと言う思いもあり始めたシェアスペース。
実は始めた当初は「シェアスペース」という言い方ではなく「スペース貸し」としてスタートしていました。部屋は個室ではありませんが、「茅葺のスペース」「景色の良く見える窓のスペース」「中二階のスペース」といった具合に主に3か所に分かれてご案内していて「場所を貸す」イメージからそうしてのいたのですが、そうすると決まったスペースにずっといなくちゃいけないイメージでなんだか違うかな?と。
その日の利用人数によりますが、場所が空いていれば、同じ場所でなくて、移動したりも出来る訳だし、おひとりだけの日や、一組だけのご利用の日も結構あって、そうなると、なおさら場所を決めるのは窮屈な感じがしてきました。
ある時取材して下さった記者の方が、その時はまだシェアスペースどころか当初の「スペース貸し」も始まっていなかったのですが、改装した古民家や装飾、雰囲気を見て
「シェアハウスみたいですね。」
と言ったのが、なんだか印象に残っていて、もちろんシェアハウスではないのですが「シェア」ってなんかいいな、1階のスペース全部をその日に来た人たちで共有して使う、開いている場所にも自由に行き来して、過ごしてもらう場所というイメージとしてしっくりくるなぁと感じ、「シェアする空間」「シェアスペース」となりました。
シェアスペースは、日常からすこし離れて、日常をすこし忘れて、それぞれ自分の時間を過ごす場所です。
ある時は、まったく初めましてのお客様同士が、ストーブを囲んでそれぞれ本を読んだり、ウトウトしていたり。またある時は、パソコン仕事をしているお客様の傍らで、本棚の本を眺めて近くの椅子に腰かけて読みふけっているお客様がいたり・・・
そんな場面も時折見られて、なにげに「空間のシェア」がだんだん浸透しているなあと感じています。
カフェよりは近いけれど、けして無理にコミュニケーションを取る必要もなくて、それぞれが過ごしやすいスタイルで過ごす場所になればいいなあ、私だったらそういう場所に行ってみたいなあ、日々そんな事を考えながら、「シェアする空間」は未だ試行錯誤中です。
落ち着きのない「山のホムサ」は来年度はまた、なにか少し変わる、、、かもしれません。お楽しみにという程ではありませんが、またこちらでも発信させてもらいます。
次回からは、このシェアスペースを始める前段階の古民家改装の道のりをちょっと長くなりますが、何回かに分けてご紹介したいと思います。・・・・たぶん。