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いなかインターンシップ

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地域の地デザイナー

迫田さん写真

サコダデザイン株式会社
迫田司さん

四万十川支流の支流、小さな谷「一ノ又(イチノマタ)」に住み始めて20年。木賃ハウス主人であり、サコタデザイン(株)代表の自称「百姓デザイナー」、迫田さんに話を聞いてみました。 大学を卒業して大日本印刷株式会社に就職し企画デザインに関わりディレクターを務めていた。入社2年目にたまたま訪れた四万十川で、カヌーの面白さに魅了され、2年で30回ほど通い詰めた。「これを仕事にできたらどんな素晴らしいか」と仕事を辞め、一文無しで四万十に引っ越してきた。年間300日はカヌーに乗り、600人を指導した。1993~94年の四万十川におけるカヌー漕行距離日本一。しかし、カヌーを仕事にした時点で本当のカヌーのおもしろみは少しずつ薄れていった。 それから隣のおじさんのはちみつのラベルを作ったのをきっかけに、カヌーの仕事を辞め、デザインの仕事をはじめた。カヌーつながりで東京のアウトドアメーカーや広告代理店の仕事を受けるようになったが、10年間は、デザインで飯を食うことはできず苦しい生活が続いた。 この貧しい生活は、迫田さんにとって、貴重な蓄積の期間となった。ある月の初め、千円札を7枚テーブルの上に置いて、妻と「今月どう乗り切るか」を真剣に考えた。今、思い返せば妻には本当に迷惑をかけたが、お金が無いなら無いでお金を使わずに暮らす方法を考えた。 電気やガスはなるべく使わず、薪エネルギーを利用した。田んぼも借りて米も自分で作るようになった。地元の人も、仕事もカネもないことを察してくれているから、玄関先にお米を置いてくれていったり、野菜を置いていったりしてくれた。ありがたかった。この時期に自然の中から素材を取り出し変換する術を身につけ、地域の仕組みを学んだ。この経験があるから、今の自分があると考えている。同時に第一次産業の関わるデザインの仕事が増えていった。 移住10年目に家を建てた。そのとき「あぁ、コイツはここに永住するんだな」と周囲の人たちが感じ取ってくれたようで、より強い繋がりが生まれた。引っ越して来た時に、地域を理解するまでは、部落会や寄り合い、組織集会などに出席をしても「発言しない」と決めた。自分勝手な都会生活者の理論を展開する前にこの地域のことを素直に知ろうと考えたからだ。20年近く経った今では、地域や学校などのたくさんの役員を受けている。地元のアクの強いおんちゃんや堅物のじいさんの付き合い方もわかり、最近では「猛獣使い」とまで呼ばれている。 頭だけでなく、いろんなことを体の経験で覚えていくことが大切だと思う。ここには人の生き方をよりよくするヒントが地層のように積まれている。自分の田んぼの米を食べる。自分の畑の野菜を食べる。天然のものを季節の旬に食べる。自分の山の木を切り、小屋をつくるという豊かさ。その環境と技術と知恵を獲得したいと今でも思っているからこの谷に住み続けているのだと思う。 デザインとはモノや人や事柄のからみあったあやとりのような関係を、鮮やかにほどいてやるようなコミュケーションを生み出す仕事であるが、デザインはなにもデザイナーの専門分野ではない。日々の暮らしの中に潜んでいる小さなあきらめかけた問題もデザインという発想があれば、あたりまえの足元から眩しい驚きが発見される。解決したい問題をハッピーに解決するのがデザインだ。そして、生み出されたデザインはいかに多くの「共感」を生み出すかが肝。ピンポイントの鋭いメッセージを発信するのではなく、そこに住み、その暮らしのニュアンスを関わったみんなで共感しながら、ハッピーなコミュニケーションに変換することが重要だと迫田さんはいう。そういう地元のユタカサを身体で体得している「地」のデザイナーが田舎社会に担う役割をこれからも追求していきたいと語る。

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コミュニケーション能力を有し、人と協力し合って物事を進めることができる方。畑仕事 からパソコンでの作業までありとあらゆることをやってもらいますので、それに耐えられ る方。本気でデザインのことを学びたいと思う方。

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