お米作りの第一歩
- 執筆者 多田朋孔
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2015/05/11
田んぼでお米を作るにあたって、最初に行うのは種もみの準備です。種をまく前により良い状態で苗を作るために色々な準備を行います。今回はお米作りの第一歩としての種もみの準備についてご紹介いたします。
工程としては以下の5段階があります。
①塩水選
②浸種
③催芽
④芽止め
⑤乾燥
それぞれについて写真付きで詳しく見ていきたいと思います。
①塩水選
塩水選は種もみを塩水につけて浮いたものと沈んだものを選り分ける作業です。沈んだ方を実際の栽培に使い、浮いた方は鶏のエサにしようと思っています。
こちらが種もみです。一袋当たり4kg入っています。
これを塩水につけるのですが、池谷集落ではこの塩水選の作業は集落で共同の道具を使っています。木のおけ2つとプラスチックの大きな青いざると竹の棒2本が集落共用の道具です。
つける塩水の濃度は一般的には1.13%と言われていますが、稲作勉強会で1.14%の濃い塩水につけた方が良いという話もありましたので今回は1.14%で塩水選をしました。
この日は食と農を考える飛渡の会のインターン生の馬場君と十日町市地域おこし実行委員会のインターン生の安藤君、市内在住で色々手伝ってくださっている羽鳥さん、うちの長男の和正と私で作業を行いました。何と、この中では私が一番のベテランという状況になってしまいました。ですので、一応偉そうに作業の手順などを教えました。
今後、このように若い農家の人達を育成していく事が出来ればと思います。一度自分が見本を見せて、その後は若い人達に実際に作業をしてもらいながら覚えてもらいました。
まずは種もみざるに入れて、ざるごと塩水につけてかき混ぜます。
その後、浮いた種もみをすくい取ります。すくい取った浮いた種もみはわかりやすいように別にしてまとめます。
その後、沈んだ種もみをざるごと真水の入ったおけに入れて洗い、洗い終わった種もみをネットに戻します。
塩水選はこれで完了です。
②浸種
塩水選の後、浸種といって水にしばらくの間浸します。この目的は芽を出すタイミングをそろえるためです。浸種では積算温度が100℃になるまで水につけます。この積算温度の計算方法は例えば10℃の水に10日間つけると10×10で100という事になります。勉強会では14℃で8日間つけるのが良いという話がありましたので、今年はそのようにしました。
積算温度が100℃になった後、種もみを出しました。
③催芽
14℃の水に8日弱の間種もみを浸種して積算温度を100℃にした後は種もみの芽を少し出すために催芽という工程があります。勉強会での話によると、催芽では32℃のぬるま湯に16時間(機械には15~20時間と書いていましたが)つけます。浸種の時は14袋あった種もみを全部いっぺんに催芽機に浸けましたが、催芽の際には7袋ずつ2回に分けて行いました。
下は丁度16時間経った状態の写真です。
この後、種もみを催芽機から出します。催芽した直後の種もみの状態をハトムネ状態と言います。ハトムネ状態の種もみは下の写真のように芽が少しだけ出ています。
このように種もみから少しだけ芽が出た状態にするまでが催芽です。
④芽止め
催芽した種もみの芽が余熱で伸びすぎないように10℃以下の水に2時間以上浸けます。これを芽止めと言います。雪国ではこの時期はまだ雪が残っているので水に雪を入れてキンキンに冷やしました。
⑤乾燥
芽止めをした後は、種もみを乾かします。種もみが濡れた状態だと筋蒔き(種をまく作業)の際に機械にもみがくっついてしまい、上手くまく事が出来なくなります。そうならないようにするために広げて乾燥させます。
乾燥させる前に脱水機にかけるとより早く乾燥します。(洗濯機の脱水で構いません。)
乾かした後、袋に詰めます。種まきまでの種もみの方の準備はこれで一旦終了となります。