「いなかドア」で自分や他者の心のドアもひらく
- 執筆者 児嶋佑香
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
2022/03/28
こんにちは!いなかパイプ・スタッフのコジコジです!
四万十には山・川・海があり、自然が好きな人にとっては格好の遊び場です。
「もっとカヌーをしたくて移住した」
「もっと釣りをしたくて移住した」
そんな話も聞きます。
そこまではいかなくても、
「ちょっと自然の中で心と身体を休めたいな」
「自然の中で、やったことのないことをやってみたいな」
そんな方もいるのではないかと思います。
そんな方のためにいなかパイプがご用意しているプログラムが「いなかドア」です。
いなかドアとは、高知県四万十町にあるいなかパイプの宿舎に滞在し、やりたいことをとことんやるプログラムです。
驚くことに、予め決められた予定はありません。決まっているのは”毎朝8時にミーティングする”ことだけ。
そこで、参加者1人1人が「困っていること・気になっていること」「やりたいこと・知りたいこと」「分かち合い・何気ない話」をホワイトボードに書きます。そして、その日にやることを決めます。
私もいなかパイプスタッフになる前に「いなかドア」を経験したのですが、
「え?何も決まってないって大丈夫?」
「つまらない期間にならないかな?」
と少し不安になりました。
私がそう思ったのは、
「プログラムは企画者が決めるべき。そうでなければ場は盛り上がらない」
と思い込んでたからだと思います。
でも実際にいなかドアが始まると、私自身からも他の参加者からもどんどんやりたいことがでてきてました。
考え方も変わってきて、
「こうじゃないとだめ」「ああじゃないとだめ」
と固定観念が強かった私は、いなかドアが終わると
「もっと自由に生きていいんだ」
と思えるようになりました。
ただ遊んでいるだけなのに、人間の考え方までが変わってしまうこのプログラムは一体何なのでしょうか?
コーディネーターの吉尾さんに聞いてみました。
いなかドアが始まった背景
「元々いなかドアでやっているミーティングは、アメリカのフリースクールで行われていたPMPミーティングのまねをしたものです。これは、子どもたちと教師たちが一緒に学校の授業を作るためのもので、これを取り入れて徳島でフリースクールをやっていた人たちがいたんです。」
「まずは、その人たちと一緒に、いなかパイプで大人の休み企画というのを3泊4日でやりました。このイベントをやってみると、参加者のことが短期間でよくわかって、参加者の心に近づける気がしました。」
以前行っていた「しまんと大人の春休み」というイベント。1年目は冬、2年目は秋、3年目は夏、4年間は春と、4年間かけて一周した。
「1年間は冬で、2年目は台風で、過酷な環境だったにもかかわらず、参加者の満足度が高くて、これはどんなプログラムをやるかとかはあんまり関係ないな。その人たちとどういう関係を作っていくかが大事なんだなってそのときに思いました。そこで、じゃあいつ開催しても楽しいものができるっていう自信がつきましたね。」
大人の秋休み。参加者みんなでごはんを食べている。
「このイベントには、いなかパイプが伝えたい”楽しく仕事する”とか”コミュニケーションをしっかりする”というエッセンスも含まれてて、いなかパイプの社訓にも繋がるなあと思いました。」
いなかパイプに入社をするときに渡される書類。「イヤイヤ働かない」など他の会社では言われないであろうことが書かれている。
いなかパイプの事務所に貼ってある紙。いなかパイプがコミュニケーションを大切にしていることがわかる。
「大人の休み企画が一周まわって、次に何をするかを他の人たちと話したときに、もう自分達でやったらいいんじゃないの?という話になって、いなかパイプの事業として、外部の人を入れずにやることになりました。」
「最初いなかドアとインターンシップは別のプログラムでした。でも、やっていく中で、いなかドアをいなかインターンシップの前に体験してもらったほうが参加者をサポートしやすいなあと思いました。」
「それまでは初日研修だけやって、次の日からすぐにインターンシップがスタートしていたので、僕たちも参加者のことをよくわからないし、参加者もこの地域のことをよくわからなくて右往左往してたですよね。それで、いなかインターンシップの前にいなかドアをやることにしました。」
「ちょうどコロナが流行りだしたのと同じくらいかな」
現在、いなかインターンシップでは、地元の人への新型コロナウイルス感染防止のため、インターンの前に1週間のいなかドアを実施し、この期間は地元の人となるべく接触しないようにしています。
この期間に自分や他者と向き合い、やりたいことをたくさんすることで、インターンシップへの取り組み方も変わってきます。
インターン先は、やりたいことが明確な人の場合は、四万十に来る前に決めますし、やりたいことがわからない人は、四万十に来て、いなかドアをしながら決めることもあります。
参加者と一緒にプログラムを作ること
「最初からプログラムが決まっていた方が準備しておけばいいので楽ですが、それだと参加者が主体的じゃなくなっちゃうと思うんですよね。本当はやりたくないことがあっても、距離があってそれを言えないと思います。」
「あのミーティングでは、”今日何もやりたくない”もやりたいことの1つとして認められています。そういうのを受け入れられる場っていいなあと思います。」
「今日あの人、関わってこないなー、機嫌悪いのかなーって、なんとなくこっちの予想で距離とるのと、”今日は何もやりたくない気分だから関わってこない”というのがわかって関わるのでは全然違います。そういう1人1人の気持ちがちゃんとでてくるような関わり方は、社会でも必要とされていると思うんですよね。」
いなかドアでは、みんなで同じことをするときもあれば、個々でやりたいことをするときもあります。寝たければ寝てても問題ありません。
「自分のやりたいことを主張するのは、仕事をつくるときにも必要だと思っています。仕事では、人とか地域に求められていることばかりを考えてしまいがちですが、それだけだど、結局あなたは何がしたいの?となると思います。ここに来る人たちはやりたいことが何なのかわからなくて、進路に迷っている人も多いです。そういう人はいなかドアでも、とりあえずみんなの様子見て、というところからスタートするのですが、やっているうちにだんだんやりたいことがでてきます。」
「そうやって、毎日自分の気持ちに正直に、思ったことをやってみると、今まで気づいてなかったことに気づくこともあるんですよね。それをぜひ体験しに来てください。」
毎朝自分のやりたいことや自分の状態、話したいことを伝えているだけなのに、1人1人に変化がでてくるのだから不思議です。
私は参加者として1回、スタッフとして1回参加し、いなかドアにはその人本来の良さを引き出す力があると思いました。
いなかドアでは、いなかのことを知るだけではなく、自分や他者の心のドアを開けるきっかけにもなるようです。
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