パイプウェブ会員インタビュー#2 清野憂さん~型に捉われずにやりたいことをやろう~
- 執筆者 小川知香
- 所 属一般社団法人いなかパイプ
2022/09/06
こんにちは。いなかパイプの小川です。
いなかパイプでは、「パイプウェブ会員」というコミュニティを作り、各地のいなかで暮らす人たちにいなかマガジンを書いてもらっています。また、月に1度、オンラインでの”キカクカイギ”と称して交流の場も持っています。
こうやって会員のみなさんと交流してみると、みなさん本当に人としても、暮らし方も、お仕事もバラエティに富んでいて面白いです。そんな会員のみなさんの魅力を今よりも深くお伝えするべく、会員インタビューを行っています。
ぜひ記事を読み、色んな田舎に住むパイプウェブ会員それぞれに興味を持っていただけたら嬉しいです!
パイプウェブ会員インタビュー#2 ~新潟県小千谷市 清野憂さん
インタビュー第2回目は、新潟県小千谷市の岩沢という地域に住む清野憂(せいの・うれい)さんです。
清野さんは『ポレポレ工房』という、地元の食材を使って加工品などを作る工房を持っています。そんな清野さんが今の地域で暮らしている理由やポレポレ工房についてなど、色々お話を聞いてみました!
清野さん
自己紹介と小千谷市に移住された経緯を教えてください。
出身は東京の府中市です。学生の時に栄養学を学び、その後は食品関係のお仕事やNGOボランティアに参加したり、派遣で働いたりしました。
色々経験したのですが、
「そろそろ本気でやりたいことを見つけよう」
と思うようになり・・・また、都会の暮らしや会社勤めは合わないな、もう少し自由な生き方をしたいな、と思って、食に関わる仕事と移住先を探すようになりました。
移住先を探す中で、東京からのアクセスの良さと、スキーがしたい、けど寒すぎないのがいい、あとは父親の出身だった、などの理由から新潟が候補になりました。
「地域おこし協力隊」を知り、新潟での募集を探したところ、農家レストランの企画運営の募集がたまたまあって即応募。採用されて今の小千谷市に移住しました。
もともと定住することが目的で移住したので、よっぽど嫌なことがなければ動くつもりはありませんでした。
実際、来てみて違和感はなく楽しく過ごせたので、任期終了後も定住し、起業して今に至ります。
ポレポレ工房について教えてください。
地域の食材を使って、加工して、みなさんに広めたい。という想いで始めました。
「胃袋かぼちゃ」というものが小千谷市岩沢にあります。おばあちゃん世代が作っていて、一部十日町の地域でも作られています。
名前もおもしろいし、おいしいし、インパクトがあるので、この胃袋カボチャで何か作りたいなと思って。胃袋カボチャプリンを作って、売ってみよう。が発端です。
畑もあったのでちょうど良いと思いました。
胃袋カボチャ
もともとはお菓子だけじゃなくて、お弁当や料理の注文も受けていました。
他には、やっぱり新潟なのでお米かな。お米の消費量が減っているので、もっとお米の消費を促せたら。と思って米粉の商品づくりなどもしています。
店舗は持たないコンセプトで工房を持ち、色んな人の細かい要望に応えながら受注生産でやっていたら、自然と今のようなスタイルになりました。
オーダー制なので、アレルギーを持った人にも対応できます。
みんなが、「楽しく、身体にいいものを、楽しく食べられる」ということができるといいなと思っています。
今は加工した商品をお店に卸したりしていますが、この春から予想外に販売先が増えて忙しいです。米粉の製粉工場も忙しそうですし、売れ行きも伸びていて、お米の需要や消費が増えてきているように感じます。
ポレポレ工房のお菓子
注文があればお弁当を作ることも。
今住んでいる地域のいいところはどんなところですか?
住んでいるところの近くには川があって、畑と田んぼを借りているところの近くには山があって、景色がすごくいいです。
畑と田んぼの方は周りも田んぼで、緩やかな山の稜線が見えて、風が抜けます。川も見下ろせて、ビジュアルがいいです。
鳥の声とか、カラスでさえも2匹いつもつるんでたりして憎めないというか。鳴き方も面白いなあとか、入ってくるものを受け入れることができる環境です。
畑からの景色
周りの人も来たときからあたたかく迎えてもらって、優しいです。
私は畑を周りの人とは違うやり方をしていて、草が目立つような状態になってしまうのですが、楽しそうにやっていると興味を示して寄ってきてくれたり。楽しんでくれています。
私のやっていることで周りの人の気分も変わったり、刺激になってくれたらいいなあと思います。
チェーン除草という面白い取り組みも!
パイプウェブに入ったきっかけは?
週に2日、農業法人にアルバイトに行っているのですが、そこではいなかパイプのメールマガジンが届いて知りました。読んでみて、飾らない感じがしたし、面白そうだなと思いました。
そして、田舎のことを知ってほしいなと思っています。
田舎と交流することって敷居が高いのかな・・・? いなかパイプには、そういう(田舎と交流する)ところがある気がしたので、パイプウェブを通じて気軽に興味を持って来てくれる人がいいなと思っています。
移住は絶対楽しいです。何か物足りないな、何かしたいな、という人がもっと気軽に、「田舎に移住する」という選択をしてくれる人がいたらいいなと思います。
これからどんなことを発信していきたいですか?
今、会社とかも必ずしも確実じゃない社会の中で、何かに頼ったり、保守的であるのではなく、自分の中に確固たるものを持って生きた方がいい。型に捕らわれない生き方をどんどんみんなやっていったらいいと思います。
仕事が、収入が、とみんな言うけど、田舎って本当に人手がない。安定を求めるとちょっと違うかもしれないけど、こだわらなければ、やれることはたくさんあります。
人手を欲しているところは本当にたくさんあるので、柔軟性や楽観性を持って生きていけたら何とかなる。だから、気になっている人はぜひ行動したほうがいいよ、ということを伝えたいです。
地域の人と一緒に畑をして外でご飯
インタビュー後記
東京から新潟へ移住し、食に関わるお仕事といっても、畑から加工品販売まで幅広くやりたいことを実践されている清野さん。
心の内にあった「本気でやりたいことを見つけたい」という気持ちに正直に行動し、田舎で好きなことを全力でやられている姿は本当に生き生きとしているなあ、と感じます。
きっと、ポレポレ工房の商品や、清野さんのされている活動は、清野さん自身が心から楽しんで取り組まれているからこそ、多くの人を惹きつけているのではないかなと思います。
いなかパイプでも、そんな田舎で生き生きと暮らす清野さんを通じて、いなか暮らしの魅力を一緒に発信し、田舎と関わる人たち、興味を持ってくれる人たちを増やしていけたらなあと思います。
コロナ禍であったり、清野さん1人でやられている事業であることから、今は地元の方向けではありますが、ポレポレ工房では今年から大豆の自然栽培ワークショップなどもされています。
その他、地元の食材を使ったお菓子やパンなど、おいしそうなものもたくさん作られています。興味を持った方は、ぜひ新潟県は小千谷・岩沢のポレポレ工房をチェックしてみてくださいね!