越後の奇祭!「むこ投げ・すみ塗り」を楽しもう!
- 執筆者 福嶋美佳
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2019/01/09
こんにちは。NPO地域おこしの福島です。私が十日町市に移住してきて良かったな~と思うことのひとつは、地域性溢れる面白い行事に参加できることです。
特に1月15日の小正月の前後は、数日の間に様々なところで色んな行事があり、行き尽くせないほど!中でも私が大好きで、ほぼ毎年参加している、松之山地域の「むこ投げ・すみ塗り」をご紹介します!
「むこ投げ・すみ塗り」とは?
「むこ投げ・すみ塗り」とは、十日町市松之山地域で行われている小正月行事です。
主催は松之山温泉組合で、松之山温泉は日本3大薬湯の1つに数えられている人気の観光スポットです。それぞれ起源は別の行事なのですが、同じ日に続けて行われています。
まず、「むこ投げ」は、前の年に結婚した婿を、薬師堂前の高さ5メートル以上ある崖の上から投げるという行事です。略奪結婚の名残で、よそ者に集落の娘をとられたという若い衆の腹いせが形を変えたものといわれています。
昔はよそにお嫁さんにいった地元の女性が、小正月の時期に旦那さんを連れて実家に帰ってきていたそうです。その時に、地元の男性がやっかみで旦那さんを雪の中に放り投げたとか…。
現在では、新婚さんへのお祝いの意味を込めて、婿さんを雪の中に放り投げています。雪に向かって放り投げるなんて、雪深い土地だからこそできることですよね(笑)。
肝心の投げられる婿さんは、地元の方と、毎年公募で1組選ばれます。昨年は、地元カップル2組と公募1組の3組が主役となりました。
むこ投げの応募条件は、
●前年に結婚した、もしくは結婚予定の健康なカップル
●担ぎ手4名(体力のある方)を確保できること
とのこと。特典として、カップルと担ぎ手さんは松之山温泉に1泊2日無料招待してくださるそうです!
私も結婚した際に応募したかったのですが…。旦那に嫌がられ、断念しました(苦笑)。これから結婚のご予定のある方は、ぜひご検討ください!
そして「すみ塗り」は、さいの神を燃やした灰と雪を混ぜて墨を作り、「おめでとう」の声とともにだれかれとなくお互いの顔に塗りあうというお祭りです。約600年ほど前から伝わるこのお祭りは、無病息災と家業の繁栄を祈る越後の奇習として広く知られているそうです。
さいの神(十日町では他に、どんど焼き、ドウラクジンとも呼ばれます)は十日町市内中で行われていますが、すみを塗り合うというのはここだけの風習だと思います。
婿さんが放物線を描く! ダイナミックな「むこ投げ」
当日は、まず「むこ投げ」から行われます。「むこ投げ」の会場は、松之山温泉街を見下ろす薬師堂。時間に余裕があったので、1時間早く会場についたところ、すでにカメラマンがいっぱいでした。
みな、いい写真を撮ろうと、場所とりに熱心です。待っている間に話した方は、11時頃から待っていたそうです! 「むこ投げ」は、毎年必ず県内ニュースや新聞でも報道されるので、テレビクルーや新聞記者もたくさん来ていました。
私は場所とりをする前に、薬師堂にあがってお参りをしました。ついでに婿さんが投げられる場所から、下を覗いてみました。
雪が積もっているとはいえ急斜面&高低差…。これは、怖いだろうな~。
そして、時間になると出発の合図のホラ貝が響き、しばらくすると婿さんをかついだ担ぎ手が、威勢よくあがってきます。
地元の婿さんたちは、緊張していたのかちょっと固い表情。最後尾の一般公募のオランダの方は、にっこにこでした。外国の方がむこ投げに参加するのは、初めてだそうです。
そして、いよいよその時が…笑。担ぎ手の皆さんに抱えられ、一人ずつ雪の中に放り投げられます。
1人目の地元の方と3人目のオランダの方は、動画を撮りました!
2人目の地元の方は、スマホの連写機能で撮影してみました。
いーち、にー!
さーん!
ポーン!
ひゅーん! ←みどころは、なんといっても体操選手のごとく綺麗に伸びた足でしょう!
ズボッ
ズシャアッ!
あ!消えた!
ゴロゴロッ!!!
…と、連写してみると、また違った面白さが発見できました(笑)。
2人目の方は一番やせ型だったので、特によく飛びましたね~。
すみを塗って塗られてピースフルな「すみ塗り」!
「むこ投げ」が無事に終わると、会場を少し移動して「すみ塗り」が始まります。高くそびえる「塞の神」に火をつけます。
いざ点火!
賽の神に火がついてしばらくすると、ホラ貝が鳴らされ、すみ塗りスタートの合図。
灰と雪を混ぜ、「おめでとー!」と言いながら顔に塗りあいます!
すみを塗る人、塗られる人、写真を撮る人で会場はごった返し!もちろん、せっかくの無礼講のおまつりなので、すみを塗られることをオススメします! ですが、嫌な方は輪から遠ざかって見学することもできます。
輪の中にいると、知らない相手からもすみを塗られます。それでも最初は遠慮するようで、すこーしだけ塗られるのですが、そうするとすみがすみを呼び、
「コイツは塗ってもいい相手なんだな!」
を思われジャンジャン塗られます。遠慮のない人は、両手でわしゃわしゃーと塗ってきます(笑)。そして、最終的にはこうなります。
今までで一番塗られましたね~(笑)。
でもこれ、まだ「余白」がある方ですね。地元の方たちは、誰が誰だか分からないくらい、真っ黒に塗りたくられるのが定番です。
すみを塗って、塗られて、会場は笑顔に包まれます。この不思議なピースフルな雰囲気は、参加してみないと感じられません! ぜひ今年、「むこ投げ」を見て、「すみ塗り」に参加してみてください!!
こんな雪国での暮らしに興味がある方は、ぜひ私たちNPO地域おこしにお声がけください! 仕事先やインターンについて、ご相談承っております!