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人と接することが好き

ほっと平山 運営委員 門田さん

ほっと平山
運営委員
門田由美さん(右)
門田由紀子さん(左)

今回お邪魔した香美市土佐山田町平山という地区は、高知市から約30分という近距離にもかかわらず、カーナビの通りの道順で進んでいてもほんとにこの先に目的地があるのかと不安になるような場所。 道は急に細くなるし、看板も少ない。そんな山道をいくと一瞬ぱっと視界が広がるところがある。そこはダム湖があり、赤色の長い橋が2本かかっている。 なんて素敵なところだろう~と思わず見とれてしまった。この橋を渡ると目的地の平山地区だ。 ここにある地域交流施設「ほっと平山」は廃校を利用した宿泊施設となっており、また地域運営をされていることでも注目されている施設である。ほっと平山運営委員である門田由美さん・門田由紀子さんお二人にお話を伺った。

素人集団での地域運営開始

-「ほっと平山」はいつから始まったんですか?

地域交流施設ほっと平山

由美さん: 平成19年7月1日立ち上がりました。今年で6年目ですね。 ここは廃校になった小学校を利用してるんですが、平成5年に改築がされてまもなく、平成17年に閉校なったんですよ。廃校後この小学校の利用については、県や町や地域住民で話し合いを何回も行いました。この場所がなくなって、他の業者などの手に渡るよりは、自分たちで出来ることがないかと考え、まずは「お試し宿泊」をしたり「宝探し」イベントをしたりしてみました。そんなことを経て、宿泊施設として残そうという思いになり、運営委員会を立ち上げてスタートしました。 -設立当初は、とても大変だったと伺いましたが

由美さん: 運営に関しては素人ばかり。やることが多すぎて、家庭や仕事をかかえながら片手間でできることではなく、1人の負担が大きくなるばかりで、結果みんなが疲れて辞めていくということが起こり、スタッフも総入れ替えになったんですよ。素人で始める場合は、それ相当の準備をしておかないと、ほんと大変ですよ。私はその入れ替わりの時、運営を開始して1年半程してからこの運営委員に参加することになりました。

「ほっと平山通信」がきっかけで地域運営へ

地域交流施設ほっと平山 由美さん: そうですね、地域運営といいながら、この「ほっと平山」が、何をする所なのかぜんぜん地域にも伝わってないなと感じていました。そこで「ほっと平山通信」をつくりはじめたんです。通信には、今月はこんなお客様がいらっしゃってこんな事があったとか、またお祭りはいつ開催するとか、たまには猫が生まれたので里親さがしとか、地域新聞みたいな内容も入れて、それを毎月、地区の全所帯に配るようにしました。 施設の利用方法は節句や地域のイベント、初お盆の際、親戚の方の寝泊りにも、通信で発信することで「ほっと平山」って、こういう風に使っていいんだねって地域の人に思ってもらえたんです。 それからだんだん地域の人が理解をしてくれるようになって、「この野菜を使いや~」と、持ってきてくれたり、お花を持ってきてくれたりするようになりました。あと、要らないものができたら、「まずはほっと平山に」が合言葉になっていて、食器とか椅子やオモチャなど、不用品でも使えそうなものをここに持ってきてくれるようになりました。そうやって、地域の人が関わってくれるようになり、徐々に「地域運営」ができるようになっていったんです。

地域交流施設ほっと平山

昔から人と接することが好きだった

-「ほっと平山」に関わる前は何をされていたんですか?

由美さん: もともとは保育師で働いていて、その後リハビリで助手としても働いていました。大変だったけど、とても楽しかった。人と接するのが好きやね。お年寄りと話をするもの大好きでね。 で、病院勤務を経て、近所の鍛冶屋さんを4年ほど手伝ったりもしていました。 すっごく面白かったよ。カマに模様をつけたり、ニス上げをしたり、細かいことをするのがとっても好きなのよね。またその時はまだ平山地区より離れた場所に住んでいたんだけど、週に1回だけ地元の人の手作り雑貨などを販売する商店で働いていました。 でもここができて、施設でも雑貨を販売するようになって、お客様を取り合いするようになっては意味がないので、その商店を閉めて、こちらに来るようになったんです。 宿泊して頂いた方にお礼のハガキを送ったりしていますが、木でつくったハガキもあるんですよ。切手代が高いので最近は送っていませんが、これも施設長の手作りなんですよ。ここの地域の人達はなんでも手作りするんです。

地域交流施設ほっと平山工夫をしないと、生きる力がつかない

由美さん: 私はまだまだ、地域のおばちゃんたちに、沢山学ばないといけない。50代の知恵袋ってほんとに少ないんですよね。私の上の世代の人は、またその上の世代の人から受け継いだ知恵袋があって、それを学ぶにはまだまだ時間がかかります。学ぶだけじゃなくて、寿司飯の酢1つだって、実践して自分のものにしていなかいと身につかない。どんどん欲を持ってやっていかないといかんね。 このお花を生けたりするのも、おばちゃんたちに習ったんですよ。おばちゃんたちは、ちょっとした集まりがあっても、庭先の花やカヤでもさりげなく飾るんです。蘭やバラではない、この地域に合った花をね。 昔の人は、ほんと工夫をする力を持ってる。工夫のかたまりのような人ばかりだもの。 今の世代の人は私も含めて「生きる力」が弱くなってる。町に行けば、物はあふれてるもん。「買って得る」ことが身についているので、工夫をしないのよね。 お金もなくて工夫もなくて、ただ欲だけがあるって、どうしようもないね(笑)。

地域交流施設ほっと平山

-でも、そこに地域の人から、知恵や、協力してくれる支えがあるんですよね?

由美さん: ほんとにそうなんです。ここの地域の人は、若い人の声をくみとってくれるんです。 以前に、私を含め女4人で堀内佳さんのコンサートを地域でやりたい!って言った時、「まあやってみいや」って言ってくれて、何も分らずやりはじめました。にっちもさっちもいかんときはフォローも協力もしてくれて、結果250人も来てくれてイベントは大成功でした。誰かが何かやりたい!って思ったことに対して、ほんと協力的ですね。ほんとここに嫁にきてよかった~って思いましたもん。 ただ言いだしっぺはそれなりに一番動かないといけないですけどね!

地域交流施設ほっと平山

うちの息子が「この小学校で結婚式をあげたい」と言ったときも、自然発生的に地域の人達が手伝いに来てくれて、また引き渡し前のこの施設で、現場監督さんの心意気によってこの小学校を使わせてもらうことができました。地域の人がいっしょに楽しく関わってくれていい式をさせてもらうことができました。

動けなくなってからでは遅い

- 今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

由美さん: この地域はお年寄りが1人で住んでいるところが多くて、通信を配りに行った際に「久しぶりに人と喋った」という人がいてビックリするんです。デイサービスに行くにはまだ元気で、でも精神的に不健康になる状態があるんです。それを解消するために、1週間に1回でも、ここに集まって、ご飯を食べて、人と喋り、お風呂にはいる、そういう集まりを持ちたいと思います。 私の父がデイサービスに行くようになって、さらにそう思うようになりました。 父が人と会っているんだって、と思うだけでもほっと安心するんです。この地域におばあちゃんを残して、県外にでているお孫さん達を安心させるてあげることができるでしょ。 まだ地域の人たちは、動けるから危機感は少ないけど、動けなくなってからでは遅いので、いまから手をつけておかなくちゃいけないんです。

地域交流施設ほっと平山

由紀子さん:? 石釜体験や農業体験などのプログラムも考えています。 昔は子供たちの保育施設として開放していたこともありますが、みんなそれぞれが保育園に行きだしたので、今後は土日など定期的に行えたらと思ってます。 こちらに嫁いできて、もともと実家も同じような田舎だったので、不便さは感じたり違和感はなかったですけど、ほんとこの地域は子育てをするにはとってもいい場所です。 山に囲まれ、湖もあり、ここは田舎の一等地です。

由美さん:? 課題もありますよ。宿泊時の夕食は、平山の食材でおもてなししたいんですが、今は人手不足もあって、それが難しいのが現状なんです。 でも朝食やランチは人気なんです。以前から予約をもらって農家レストランのようにランチバイキングをやっていたのですが、地元のおばあちゃんちのご飯をテーマに、普通に家庭でたべる料理を、その時はエゴマの葉を敷いた板にお皿がわりにして出したりしてみましたが、とっても評判がよかったです。 平山の心をおもてなしするということをこれからも大切にしていきたいですね。

地域交流施設ほっと平山

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元気で明るいのはもちろん、おもいっきり素人の子がいいですね。1ヶ月間、平山の「住民」になったつもりで、とけこもうと努力してくれる人。 私らぁは教えちゃることはないけど、まあ来てみいや(試しにおいで)って感じですね。

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