ない人が参加してみた!コロナ禍でのステイホームプログラム&いなかインターン
2020/08/03
「ない人募集」ということをはじめると、全国の「わたしない人かも・・・」という皆さんからお問い合わせや申し込みをいただくようになりました。
実際、どんな人が来てるの?どんなことをするの?という疑問にお答えすべく、これまでの参加者の実話を元に編集して、ちび丸子ちゃん風にお伝えします!
プロローグ
「迷わず行けよ、行けばわかるさ」と言っても、俺にも迷うときはある・・・アントニオ猪木
私は「ない人」・・・ なにが「ない」のってそれすらも分かんないのよ(トホホ(~_~))
そんな私が、いなかのインターンシップに参加してみようと思ったのは、「ない人」を募集していたから!
学歴も職歴も婚歴?も犯罪歴!?も問われない、そんなウエルカムな場所があるなんて。
説明会で概要を把握できます。自分と似たような人とも出会えます。
でも待って。。そういったって結局、力があったり頭が良かったり、人付き合いが上手だったりする人がいいのでしょ?そもそも、やりたいこともないのに参加しちゃって大丈夫なの?
そんな不安も「元気とあいさつができればいいよ。」と一蹴されてしまう。
ああ~どうしよう。住み慣れた都会でも息苦しいのにそんな縁もゆかりもない土地で上手くやっていけるのかしら。
でも、もうやりたい仕事もないし、このままここにいても自分の将来が全く見えないのよね。
そういえば昔は、のんびり田舎で暮らしたいなぁと思っていたこともあったっけ。日々の仕事が忙しすぎて旅行も最近行けてないし。
一時の観光と思って行ってみようかな。四万十川って名前は聞いたことあるけど一体どれほどのものなのよ。もうこうなりゃちょうど息抜きがわりに行くのもいいわね。どうせ何もできなくても「ない人」を募集したあっちが悪いのよ。
さてそうと決まったら準備しなくちゃ。相当田舎みたいだから色々買いこんでいかなくちゃ。
「ない人」を募集したあっちの人。事前に相談ができます。
監禁プログラム during two weeks
旅路
眠れない。。。高速バスってこんなに寝苦しいものなのね。そして高知ってこんなに遠いものなのね。
私の薄っぺらい人生を3周くらい振り返っちゃったわよまったく(~_~) ああ、今までの人生がひっくり返るような体験ができるといいわね。
高知県はここです。東京からバスだと半日かかります。
到着
山!山!山!こんなに山ってあるものなの!!視界に緑しか入らない。四万十川より四万十山って感じ。
そしてここはどこなの?信号も標識もお店もないからどこにいるかも分からないわ。こんなところで生活していけるのかしら私。夜中にアイスが食べたくなったらどうしよう。
わ、鳥がデカい!都会のカラスの何倍もあるわね。
そういえば虫とか大丈夫かしら。ちょっと苦手なのよね。
常に美しい山の景色が待っています。 大きな虫にも歓迎されます。
到着初日
なにやらチェックインミーティングなるものが始まったわ。「困ったこと」「やりたいこと」「何気ない話」を書けって言われたけど何よそれ。
この状況が「困ったこと」だし逃げ出して「やりたい」わよ。そして「何気ない話」ってどこまでが何気ってどこまでが何気らないのよ。もう意味不明。来るんじゃなかったわ。
とにかくミーティングで自分をさらし、共有します。最初は戸惑いますが、じきに慣れていきます。(たぶん)
初日夜
疲れた。。。正直何を話したのかも覚えてない。それに、細かいところをネチネチ突っ込まれたり、突然宇宙の話をしたりと田舎の人ってみんなこんななのかしら。
このミーティング2週間は毎日やるらしいじゃない。ああ憂鬱だわ。やりたいことがないからきたのに「やりたいこと」を出せって頭がおかしいわ。これを「困ったこと」に言うしかないわね。
あら、星が綺麗。こういうところはやっぱり田舎のいいところよね。静かだしゆっくり眠れそうだわ。
突然、宇宙の話をするスタッフやネチネチ話を掘り下げるスタッフがお世話します。
日々の活動始動
例のミーティング。これって私だけじゃなくてスタッフの人も書くのね。スタッフ同士なんだからメールですればいいのに。
「でも共有することが大事なんですって。」 そんな大きな声で言わなくても聞こえるわよ。まあ裏でコソコソされるよりはいいかもね。
結局、私のやりたいことはなかったから、スタッフの方のお仕事を手伝わせてもらうことにしたわ。今まで内勤ばっかりだったけど外で農作業なんかできるのかしら。汗で化粧が落ちないかも心配。あ、日焼け止めもしっかり塗らないと。
やりたいことがなくても、スタッフがご提案させていただきます。Shall we work?
地域産業のお手伝い
「今日は、草刈りを一緒にしましょう。」
昨日の宇宙論を語りだしたスタッフだわ。あなたの髪の毛も宇宙から見れば雑草です、とか言われて刈られないかしら。ああ不安。
車に乗ること15分。(密を避けるために助手席には座らされず)
ギョギョギョ!さかなクンじゃなくても声が出ちゃうほどの雑草の量!私、これでもかよわい女の子なのよ。
「ここはお茶畑ですが、管理者が高齢なため私たちがやるんです。」
なるほど。少子高齢化の波は田舎の方が深刻よね。そう思えば私なんかでも少しは役に立つのかしら。
よーし、やってやろうじゃないのよ。
いなかパイプでは、地域の産業のお手伝いをしています。あなたの力も貸してください。
自給自足
はぁ~。昨日の筋肉痛が抜けないわ。今日は何をしたらいいのかしら。
「私たちは、自分達で食べるくらいの食料も作っています。よかったらお手伝いしませんか?」
へぇ~。それってちょっとステキね。自分で作ったものを食べて生きていく。正に田舎暮らしの醍醐味かも。
「今日は畑の雑草をとりましょう。」
ゲ!また草刈なの!まあそれも美味しい野菜を食べるため。しょうがないわね。
近くの畑や田んぼを借りて自分たちでも作物を育てています。日々のお世話で収穫ができると楽しいですよ。(草刈りだけでなく、種まきをしたり苗を育てたりと色々できますのでご安心を)
隔離生活
やっぱり体を動かしているとお腹がすくわね。今日のご飯はどうしましょう?せっかく高知にいるんだから美味しい野菜やお米を食べたいわ。あ、あとお酒も美味しいものがありそうね。あ、でも外に出ちゃ行けないんだっけ。
「何か欲しいものがあったら私たちスタッフが買ってきますよ。」
へぇ~。そんなことまでしてくれるなんてちょっぴりお姫様気分。そう思うとこの宇宙論の人もこじゃれた執事に見えないこともないわね。それじゃ遠慮なく頼んじゃおうかしら。
「では買ってきますので、それまで近くの川を散歩してみてはどうですか?」
あら、そうね。そういえばこっちにきてから四万十川なるものをゆっくり見られていなかったわ。そうさせてもらいましょう。さて、日本最後の清流とはどれほどのものなのかしら。
買い物はスタッフが引き受けます。(しっかり伝えないと鶏肉が豚肉に変わることがあります) 基本的には宿舎での生活ですが、近所の散歩程度なら可能です。(事故には気を付けましょう。土佐湾まで流されます)
好きなこと・やりたいこと
今日は少し休もうかしら。でも外にも出られないし何をしましょうね~。
「四万十川の水でメダカを飼っているんですがよかったら見ませんか?」
え、そんなことしている人がいるの。しかも繁殖までしてる!?よく見たら熱帯魚やらウサギまでいるじゃない。
「紅茶をつくったのですが一緒に飲みませんか?」
ハイハイちょっと紅茶で落ち着きましょう。…って紅茶のお茶っぱを自分でつくったの!?
「家具を作っているんですが見てみますか?」
まあ、素敵なキッチン!これも1から作ったの!?
「瞑想をしているんですが、よかったらご一緒にどうですか?」
瞑想って美味しいのかしら。 ん? 瞑想!!! 何じゃそれ! ていうかみんな自由すぎ~~~~
すごいわね田舎は。なんかみんなそんな自由だと私も何かしたくなってくるわね。
そういえば藁を使ってリースをつくれるって聞いたわね。お土産用に一つ小さなものでも作ろうかしら。そういえば写真も全然撮ってないわ。撮りに行ったりしてもいいかしら。
「写真を撮るならSNSで発信してみませんか?」
え、こんな私の写真や文章でいいの?そうね折角だからやってみようかしら。こう見えても学生の頃はインスタの女王と言われていたんだから。
なんか、急に忙しくなってきたわね。あんなにやることのなかった自分が嘘みたい。
最初の2週間は、基本的に自由行動です。スタッフのお手伝いもできますし、趣味に没頭することもできます。きっと貴方に合った「やりたいこと」が見つかりますよ^^
隔離生活最終日
初日のチェックインミーティングの反対で、チェックアウトミーティングなるものがあるらしいわ。え、何を準備しているの?
「今日は天気がいいので、外でランチを食べながらやりましょう」
まあ、何て開放的な青空会議でしょう!確かにそれなら3密も回避できるしいいのかもね。
感想を求められる私。2週間前ならきっと戸惑い、チグハグなことを言っていたと思うのよ。それがこの2週間で、これからしたいこととか行ってみたいところ、明日からのインターンの抱負とかスラスラ頭に浮かんでくるから不思議だわ。
スタッフの人とも話す時間が多くあったし、いろいろな情報も教えてもらったし、久しぶりに気力が漲っている感じ。
「表情も穏やかになったし、やりたいこともどんどん出てくるようになったよね~。」
ああ、この近くにいるのに大声のこの人にもやっと慣れたわ。
「宇宙の神も今日の貴女を祝福していますよ。」
この人の言うことは相変わらずよく分からないけど、その自由な生き方はちょっと憧れるわ。
エピローグ
これからいよいよ地域に働きに出るけど、普段の生活は何とかなりそうね。お店も遊ぶところも少ないけど、どこか人間の原点に触れている気がする。行くかどうか迷っていたけど、ここまでは来てよかった気がするわね。
もしそんな私と同じように「ない人」で迷っている人がいたら、是非足を運んでみてほしいな。私だってこの先どうしようか考えが決まっているわけではないの。でも、都会で迷うなら田舎を経験してから迷ってもいいんじゃないかと思えたの。それに一人じゃないって実感できるから。
この2週間プログラムでは、自己理解が深まります。同時に地域理解も深めることができます。個性が豊かすぎるスタッフの人間性に触れ、自分に自信を取り戻すこともまれにありますよ。
▼ない人のためのステイホームプログラムの詳細はこちら
https://inaka-pipe.net/event20200831/
▼いなかインターンシップにも参加する場合の募集要項はこちら