人手が限られている組織が『イベント疲れ』を起こさないために
- 執筆者 福嶋美佳
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2017/06/20
こんにちは。地域おこしの福島です。
『いなかマガジン』の読者の皆さんの中には、きっと地域おこしに携わっている方も多いと思います。地域おこしに携わっていると、避けて通れないのが『イベント企画』ではないでしょうか?
「自分たちの地域をたくさんの人に知ってもらいたい!来てもらいたい!」
と思ったら、自然と
「じゃあ何かイベントをやろう」
という発想になりますよね。地域おこし協力隊の方だと、地域の人から
「何かイベントをやって人を呼んでもらいたい」
と希望されることもあると思います。
『いなかパイプ』でもたくさんのイベントが掲載されていますね。自然体験ツアーや移住体験ツアー、手仕事のワークショップ、マルシェ、音楽イベントなどなど…。
でも、『一番始めやすい地域おこし』ともいえるイベントも、落とし穴があります。それは、『イベント疲れ』。
イベントって、良くも悪くも一過性のものだと思います。初回は「頑張るぞ!!」と意気込んでやれるんですが、やみくもに次も、また次も…となってくると、だんだんと主催者側も新鮮さがなくなってしまうし、関係者も疲れてきます。しかも、手間がかかる割にはあんまり儲からない…ってなると、もうモチベーションだだ下がりですよね。
そんな感じでイベントを続けられなくなったというのも、珍しくないと思います。
やっていることはいいことだと思うので、そうなってしまうのはもったいない!
池谷集落に移住して以来、約6年、体験交流イベントの企画運営をしてきた経験から、人手が限られている組織が『イベント疲れ』を起こさないために、私なりに思うポイントをまとめたいと思います。
池谷集落の体験交流イベントの歴史
まず、私が関わってきた池谷集落の体験交流イベントについて説明します。
池谷集落の体験交流イベントは、初めは『JEN』という外部の団体が運営していました。JENは池谷が2004年の中越大震災で被災して以来、池谷を支援していた団体で、年に10回程度ボランティアを募り、2泊3日の日程で活動をしていました。
2010年に池谷はJENから自立し、体験交流イベントは池谷で発足した、『十日町市地域おこし実行委員会』が引き継ぎました。
季節折々の農業体験イベントなどを実施してきました
私は、2011年に移住して以来ずっと体験交流イベントの企画運営を担当させていただいています。2011年には、体験交流イベントは2泊3日を中心に、年10回程度行いました。これは、JENがやっていた内容をそのまま継承したからです。
しかし、組織内で話し合いを重ねていった結果、2016年度は日帰りのイベントをメインに、年5回にしました。
なぜかというと…ぶっちゃけ『イベント疲れ』し始めていたからです。もちろんイベントをすることの意義も感じているし、それなりの成果もありました。
しかし、私たちのようなマンパワーが限られている組織には、2泊3日のイベントを年10回行い続けていくのは負担が大きかったのです。イベント以外の事業もたくさんするようになったからという理由もあります。
ビジネス書で『選択と集中』とよく言われますが、そうしていった結果、今の形に落ち着いたのです。
こうした経験をして、私が思う『イベント疲れ』しないためのポイントはこちらです。
主催者が一番楽しむ!
なんといっても、主催者が一番楽しむことが大事です。
参加者が楽しいことも大事ですが、主催者が楽しくないと、イベントの雰囲気が悪くなってしまうと思います。主催者が楽しくやっていれば、自然と人は集まってくるし、継続できるイベントになります。
いっそ、
「自分たちがこれをしたいから、ついでにイベントにして、他の人と一緒に楽しんじゃおう」
ぐらいの勢いでもいいと思ってます。
今年はかまくら作りイベントをして、主催者もめいっぱい楽しみました!
主催者の負担にならない
イベントが主催者の負担にならないことも、大事だと思います。
池谷のイベントは当初、金曜日の夜に集合して、金・土と宿泊し、日曜日の昼ころ解散という2泊3日の行程がメインでした。しかし、スタッフの多くは移住してきた20・30代なので、地域の行事や、家族がいれば子どもの行事や家族のイベントが重なり、2泊3日のイベントをすることが難しく感じてきました。
なので思い切って、開催日は土曜日だけで、昼集合・夜解散の日帰りできる行程に変えました。そうしたことで、地元の人も参加してくれるようになりました。
都会から来た人は日帰りする人もいますが、多くは近隣の民宿等に泊まって、次の日はゆっくり池谷を散策したり十日町市を観光したりします。池谷だけでなく、周辺にもお金を落としてくれるようになりました。
変化を恐れない
人間、なかなか続けてきたことをやめたり、規模を小さくしたりするのには、勇気がいるものです。やっぱり活動をしていると、もっと良くしたいとかもっと大きくしたいと思うもの。
続けてきたものをやめたり規模を小さくしたりすると、周りに「うまく行ってないのかな?」と思われるリスクもあります。
しかし、無理に続けていって疲れてしまっては元も子もありません。「今までやってきたから」という理由だけで続けているなら、なおさらです。イベントはあくまでも、地域おこしの『手段』であって『目的』ではないはずです。
「このイベントは何のためにやっているのか?」を問い続けて、目的のための手段としてイベントが合わなくなってきたら、やり方を変えたり、時にはすっぱりやめてもいいのではないでしょうか?
『ゴールのない駅伝』を走り続けるために
私にとって、体験交流イベントは好きな仕事の一つです。むしろ、それをやるために移住したようなものです。
でも、好きだったとしても、やっていくうちにだんだんと疲れてきます。イベントが終わると、疲れて爆睡したり、風邪をひいたりなんてしょっちゅうでした。
地域おこしとは『ゴールのない駅伝』だとよく思います。長い長い道のりを走り続けていく必要があるので、疲れない走り方をする必要があります。
もし、楽しいはずのイベントで疲れてしまっているようなら、冷静になって振り返ってみて、楽しく続けられるやり方に変えてみてはいかがでしょうか?
地域で頑張っている方、参考に少しでもなれば幸いです。