中山間地を再生するためにはどうどうすべきか?

 去る3月10日、内閣官房副長官の西村康稔衆議院議員が池谷集落に視察にいらっしゃいました。

 さすがに、官房副長官ともなるとスケジュールがびっしりなのか、池谷集落に滞在する時間は10:45~11:15の30分間しかありませんでした。それでも、この短い時間の間に池谷集落の取組とそれを踏まえて「中山間地を再生するためのご提案」と「今後目指すべき国の姿」という資料を作って政府に現場の声を伝えました。

 

視察

 

 ここでは「中山間地を再生させるためのご提案」について、詳しく書いてみたいと思います。「今後目指すべき国の姿」についてはまた別の記事で書いてみたいと思います。

 

 中山間地の問題の本質を整理すると以下のように整理されます。

 

●行政がいくら仕組みや予算をとったとしても、若い担い手がいなければ全く機能しない

●なので、まずは地域側の若い担い手を受入れる機運を醸成する必要がある

●若い担い手が定着するために必要なものは住居・仕事・収入

●しかし、棚田は農業の効率が悪く収益性が低いため、農業の後継者が不足

●そこで、農業を補う仕事が必要

●農業を補う仕事として、棚田の持つ癒し効果を都会の疲弊した会社員に味わってもらう事を一つの仕事とする(里山での仕事を作りつつ、都会側の課題も解決)

 

 棚田の持つ癒し効果については、農業・農村の有する多面的機能という考え方があるのですが、そこで農業には農産物を生産するという事以外に、様々な多面的な機能を持っており、その機能の一つとして癒しややすらぎをもたらす機能があるという事が農林水産省のホームページで紹介されています。

 

多面的機能イメージ図

(図:農業・農村の多面的機能イメージ図) 出所:農林水産省ホームページ

 

 そして、癒しややすらぎをもたらす機能を貨幣価値に換算すると、年間2兆3758億円もの価値があると試算されています。

※以下のリンク先に農業の多面的機能の貨幣評価の試算結果というのが一覧で整理されていてそこに書かれています。

http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/pdf/kaheihyouka.pdf

 

 私自身も都会から色んな人を池谷集落に受け入れる中で、来る人の中には「池谷チャージをしに来ています」といって球に池谷集落に来て癒されてからまた日々の仕事に戻るという方もいるのを目にしてきました。

 精神的に病んでいる人は年々右肩上がりで増えてきています。

 

気分障害患者数の推移

(図:気分障害患者数の推移)

 

 そのような中、政府は従業員50人以上の企業に対してストレスチェックを義務化し、働き方改革をうたっています。このような流れの中で、一つの選択肢として、農村で心をリフレッシュさせるという事を中山間地での仕事の一つとして産業化できるような流れを作っていく事はとても理にかなっていると思います。

 最近では、SDGsという考え方が日本でも大企業を中心に重要視されるようになってきましたが、上記のような取り組みはSDGs17の目標から見ると、以下の3つを実現する取り組みにもなると思います。

 

3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

8.働きがいも経済成長も
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

12.つくる責任 つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する

 

 企業と地域がつながるきっかけにもなり、地域側としては副次的に地域の特産物の販売も顔が見える関係で進むようになり、地方創生を地に足の着いた形でできる取組になると思います。

 

 地域に住む人間として、都会との関係は双方にとってメリットがある関係性がとても大切です。都会の企業に勤める人が農村で癒され、その対価としてしっかりとお金を支払うという事は、これまで農村が都会の人をもてなす際に、高齢者がほぼ無償か格安の材料費程度で行って疲弊してしまうのを防ぎ、若い人の仕事をある程度のボリュームで作れる可能性を持っていると思います。

 是非、中山間地での新しい仕事の一つとして、まずは自分たちが池谷集落で実践もしていきつつ、全国各地にこういった取り組みが広がるようになればいいなと考えています。

 


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    • 多田朋孔