大雪が嫌ならあえて雪国に住んでみる? 雪国の雪対策がこれでもかすぎる!
- 執筆者 福嶋美佳
- 所 属特定非営利活動法人地域おこし
2018/11/09
こんにちは。NPO地域おこしの福島です。去年の冬は東京でもかなり雪が降りましたね。東京が雪で混乱しているのを、北国がからかう「北から目線」なんていう言葉も、ネットでは最近生まれています。ただ、雪が日常茶飯事の北国と雪がめったに降らない東京とでは、雪に対しての装備が伝説の勇者と駆け出しくらい差がある訳なので、そうなるのも仕方がないですね。
では、日本有数の豪雪地帯である十日町市では、どんな雪対策があるのか? ご紹介したいと思います!
水の力で雪を溶かす! 消雪パイプ
まずは、雪国の道路を守る設備からご紹介します。地方では車移動が基本なので、道路の除雪は超大事です!
国道など交通量が多い道路には、主に「消雪パイプ」が設置されています。地下水などを汲み上げて、降雪があると自動で水が出され雪を消します。消雪パイプがあると、雪が積もらないので運転も楽々です。
道路以外でもスーパーの駐車場などでも設置されています。なので、冬の駐車場は水浸し(笑)。パンプスなんて履いていたら大変なことになります。冬のおでかけは、長靴が安心ですね!
ちなみに、時々勢いのあるパイプがいて、油断すると足にかかったりするのが雪国あるあるです(笑)。
いつもお世話になってます! 除雪車
消雪パイプがない道路には、除雪車が入ります。主に地元の建設会社が行政から請け負って、除雪を行っています。雪が降れば夜中や早朝から除雪車が出動し、通勤・通学前には道をきれいに除雪してくれます。雪がひどい時は一日中稼働して、雪国の道路を守ってくれています。
除雪車も種類が様々あり、大型のものが「ブル」、中くらいのが「ロータリー」と呼ばれています。他に歩道用の除雪車もあります。池谷集落にあがる山道で「ブル」に出会うと、「風の谷のナウシカ」の「オーム」を思い浮かべます(笑)。
十日町の除雪技術は本当に素晴らしく、近隣の市の方からも「十日町は除雪が上手だから、道が走りやすい!」と褒めていただきます。本当に業者の皆さんには感謝してもしきれません。
住宅密集地の味方! 流雪溝
中心市街や住宅地の人は、除雪した後雪を置いておける場所がないので、流雪溝(りゅうせつこう)という側溝に雪を捨てます。
地域によっては、流雪溝に水が流れる時間帯が決まっているので、その時間帯になるとみんな家から出てきて一生懸命除雪作業を行います。その様子を見ると、雪国の人は本当に勤勉で真面目だなぁ、と誇らしい気持ちになります。
雪国の大事な足! 車の雪対策
道路といったインフラの雪対策は、行政のお仕事。では、雪国に住んでいる人たちの生活では、どんな雪対策があるのでしょうか?
まず、生活必需品の車! 車の雪対策は、なんといってもスタッドレスタイヤ。スタッドレスにしていないと、スリップしたり坂道が登れないなどとっても危険です。そして車は、馬力のある四輪駆動が断然オススメです。
十日町市では11月中には初雪が降るので、それまでにタイヤを履き替えます。私は自動車屋さんにお願いしてタイヤ交換をしてもらっていますが、自分で替える人も多いようです。
それから、車の上に積もった雪を落とすのに必要なのがスノーブラシ。
車の上に積もっている雪が少しでも、けして油断をしてはいけません。ちょっとブレーキを強く踏んだだけで、屋根から雪がズザザーっとすべり落ちてきて、視界を一瞬でふさぎます。私も慣れないころはよくなりました(苦笑)。めっちゃ焦るし、すごく危険ですから、そうならないように除雪は大切です。
冬の間は、車にスノーブラシとスコップを常備しておくのが、雪国人の常識です。スコップを持っていれば、万が一雪に車がつっこんでタイヤがハマってしまった時にも、なんとか脱出することができます。何事も、備えあれば憂いなしですね!
あるとないとじゃ大違い!「雪囲い」
雪国でしか見られない、雪対策と言えば「雪囲い」。建物の窓や立木などを雪から守るためにつける、板のことです。
取り付け方は簡単。窓枠に雪囲い用の金具がついているので、そこに板をはめるだけです。多い時は建物の1階が埋まるほど雪が積もるので、雪囲いをしていないと雪に圧迫されて窓が割れてしまいます。地味ではありますが、建物を守るためには大事な対策です。
若木や低い木は、雪が積もると折れてしまう危険があるので、立木にも雪囲いをします。
立木を雪から守るというと、金沢の兼六園で行われる「雪吊り」が有名ですが、十日町市の場合ロープだけではとても木を雪から守れません(笑)。風情は全くないですが、がっちりと板で木を囲います。雪降り前になると、シルバーセンターの方などにお願いして作業してもらうそうです。
雪おろししなくて楽チン! 落下式屋根
除雪作業の中でも一番大変なのは、屋根の雪下ろしです。除雪作業中の事故は、屋根からの落下そして除雪機に関わるものがほとんど。なので雪おろししなくて済むよう、雪国での新しい住宅は、3階建て(1階は車庫)で屋根が落下式、というものが多いです。
我が家も落下式屋根で3階の部屋に住んでいるので、雪が多い日は「ズズズ…ドササササーッ!!!」と豪快に雪が落ちる音を楽しめます笑。
それから、車や農業機械を入れる車庫の屋根は丸く、「かまぼこ車庫」と呼ばれています。少し先がとんがっているバージョンもあります。雪国では、こういう独特の建物を楽しむこともできます。
まとめ
以上、雪国のこれでもか!な雪対策でした。
大雪報道のイメージが強く、雪国で住むことは大変だと思われがちですが、これだけの対策があるので、住んでみるとそんなに大変じゃない、ということを移住者の方はよく言います。むしろ、対策がない都市部に大雪が降ることも最近では珍しくないので、対策がされている雪国に住んだ方が快適かもしれません。
それに、雪があるからこそ水が豊富で、おいしいお米やアクの少ないおいしい山菜が食べられるなど雪国だからこその魅力も多いし、春の喜びは格別です。
こんな雪国での暮らしに興味がある方は、ぜひ私たちNPO地域おこしにお声がけください! 仕事先やインターンについて、ご相談承っております! https://inaka-pipe.net/iketani/