いつかやりたいことを今やろうと決めた〜いなかインターンシップ参加者インタビュー〜
2021/06/11
いなかパイプでは、2020年5月から、新型コロナウィルス感染防止対策を行いながらもいなか暮らしの体験ができるいなかインターンシップを行っています。
前半2週間はいなかドアというプログラムで、地域の人との密な関わりは避けながらも、やりたいことをやりながら生きる力を身につける2週間を過ごし、後半2週間はそれぞれの希望に応じて地域の現場へインターンへ行くという2部構成になっています。
2021年4月10日〜5月9日のいなかインターンシップに参加されたエミコさん。サルサ、足つぼマッサージ、ドイツ語など引き出しが多く、惜しみなく知識や経験をシェアしてくれ、みんなから頼りにされる存在でした。
そんなエミコさんに参加してみて感じたことをお聞きしました。
Q)どうしてインターンに応募したのですか?
いつかやりたいことを今やろうと決めた!いなかパイプの独自性と四万十川の景色に魅了!
大学卒業後、2006年から15年間、東京やベルリン(ドイツ)でインターネットに関わる仕事をする中で、デジタルにどっぷり浸かった生き方や貨幣経済、大量生産&大量消費を中心とした世の中に違和感を持つようになりました。
そして、ぼんやりと
「いつか田舎で自然と共に暮らしたい」
「将来は自給自足と贈与、そして学びを中心としたエコビレッジを作りたい」
と思い描くようになりました。
2019年頃には(当時ドイツ・ベルリン在住)、いよいよ都会でインターネット漬けになりながら、ただ消費するだけの生活に飽き飽きしてきました。同時に、エコビレッジや贈与経済への関心が高まってきました。
40歳を目前に第二の人生について深く考え、
「自分の気持ちを大切に、やりたいことはなんでもやる!そして、いつかやろうと後回しにせず今すぐやる!」
と決めました。そこで、
「よし、ヨーロッパの主要なエコビレッジを巡るぞ!」
と意気込んだ矢先、COVID-19が流行しベルリンから他都市への移動が難しくなりました。
当初は移動制限が緩和されるまで待つことにしましたが、いくら待っても状況が改善しません。
「やりたいことは今すぐやる!」
と決めたのにできない・・・。ただ待つだけの時間に悶々とする中、
「あれ?私って日本人。日本の田舎なら身動きがとれるんじゃない!?」
とひらめき、日本の田舎についてインターネットで調べ始めました。
そこでヒットしたのが“いなかパイプ”。インターネット上の情報からは、地域おこし協力隊をはじめ、国や全国の地域が若者移住を促進している様子が伺えましたが、“いなかパイプ”は良い意味で他と何かが違う!そして、学生や若者に限らず社会人や中高年にも門戸が開かれており、私でも受け入れてもらえそうだと思いました。
また、いなかパイプの拠点である「四万十川のほとり」というキーワードと風景写真に魅了され、これはぜひ行ってみたい!と思い応募を決めました。そして、インターンシップ開始のタイミングに合わせて急遽日本に帰国しました。
四万十川の風景
Q)前半2週間の「いなかドア」をどのように過ごし、何を感じましたか?
目の前のことに忙殺された結果、自分に正直に生きよう!と感じた
実は、高知県については“四万十川”というキーワード以外何も知りませんでした。実家がある埼玉県からいなかパイプの最寄駅“十川駅”までのルートを調べるだけで精一杯で、とりあえず行ってから考えよう!というスタンスで参加しました。
また、私の第一の目的は
「都会の喧騒から離れて、まずは田舎でひと休みする。脳みそを緩める」
ことだったので、近所の山や川を散歩し、時々畑にお邪魔できれば良しと考えていました。
新茶の手摘み体験
ところが、私が参加した回はプログラム史上初の大所帯。8名の参加者がおり「四国カルスト」や「滑床渓谷(愛媛)」、「土佐清水」、「道の駅よって西土佐」などなど、「ここに行きたい」「あそこに行ってみたい」というアイデアがたくさん出て、どれも楽しそう〜!と便乗させていただきました。おかげで高知のことを少し知ることができました。
滑床渓谷
土佐清水の海辺でランチ
毎朝8時からのミーティング(その日やりたいことを出し合い決める会)に始まり、車に乗って観光をしたりドミトリーでアクティビティをしたり、ご飯をみんなで作って食べて、夜はお風呂に入って日報を書いて寝る。
時々朝のミーティングの前に畑へ行き、当番の日はドミトリーの清掃をする。たったこれだけですが、毎日朝から晩まで慌ただしい!
さらに、いなかドア中にも、個人的にオンラインで進めていたプロジェクトが複数あったため夜の会議や制作などでいっぱいいっぱい。気づけば“まずは田舎でひと休みする。脳みそを緩める”という第一目的をすっかり忘れていました(汗)。
モーニングミーティング
そんな折、ある朝のミーティングでいなかパイプ代表のレオさんに
「えみこさんの状態ややりたいことが見えてない〜(だからスタッフとしてちゃんとケアできていないかも〜!)」
と質問されて
「そーだ!私は休みたいんだった〜!」
と当初の目的を思い出し、それ以降“何もしない”を“私のしたいこと”にして、ペースを落として過ごしました(笑)。
第二の人生は
「自分のやりたいことをやる!」
と決めたのに、目の前のことで自分自身を勝手に忙殺してしまう私。自分の頭と心と言動にズレがある状態でしたが、レオさんをはじめ、いなかパイプのスタッフさんは“自分がやりたいことやその気持ち”を一貫して大切にされており感銘を受けました。
私も少しずつ、このズレを解消して自分に正直に生きようとあらためて気づかされました。いなかパイプの皆さん、どうもありがとうございました!
●いなかドア中に訪れた場所
滑床渓谷、四国カルスト、スノーピーク土佐清水キャンプ場、大月町のエビ養殖場、四万十川、夫婦杉、海、など
●いなかドア中にやったこと
四万十川カヌー、ダブルダッチ、サルサダンス(指導)、足もみ(指導)、散歩、自転車、海で強風ランチ、四国カルストで強風ランチ、1日お留守番&PC作業、お話し会&吉尾ドア、箸作り、お茶つみ、お茶もみ、インターン先の見学、いなかパイプ代表レオさんの聖火リレー応援(インターネット配信を見ながら)、いなかパイプWeb編集会議視聴、GoPro動画撮影、人狼ゲーム、地域交流会(最終夜)、などなど
四万十川でカヌー体験
Q)後半の現場研修はどこで何をしましたか?また、なぜその体験をしたいと思いましたか?
有機農家の桐島畑さんで農業体験!決め手は直感!
有機農家の桐島畑さんで2週間研修をさせていただきました。
桐島畑さんでは多品種の野菜を無農薬・化学肥料不使用で栽培し、ジンジャーシロップなどの生姜の加工品も製造されています。
研修中は、生姜の種割りや種植え、とうもろこしや枝豆の苗植え、ズッキーニの花つけ、カブの収穫や草とり、マルチ貼りといった畑仕事や、野菜の出荷作業、生姜の加工作業など多岐に渡るお仕事を体験させていただきました。
また、研修中には、桐島畑で働かれている皆さんから野菜や畑、虫のことを教えていただいたり、皆さんの人生経験など色々なお話をお伺いしたり、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。そして、毎日採れたての美味しいお野菜もいただいて、充実した食生活を送らせていただきました(喜)
さて、桐島畑さんで農業体験をしてみたいと思った理由ですが、もともと
「将来の自給自足生活に向けて畑のことを学びたい」
「無農薬で野菜を育てたい」
という思いがありました。
一方で、今の私にとってはどんな体験でも自分の学びになると考えていたため、研修先はどこでも良いという思いもありました。
そんな二つの思いで揺れる中、いなかパイプのスタッフさんにご相談したところ、候補となる研修先をいくつか訪問して直感で決めてみたらどうだろう?とアドバイスをいただき、数カ所訪問させていただきました。
するとビックリ!桐島畑さんの事務所に到着した瞬間に
「ここでインターンシップしたい!」
と直感が働き、その場で
「やりたいです!」
と手を挙げていました。
桐島畑訪問
Q)インターンシップ全体を通して、学んだこと・気づいたこと・得たことを教えてください。
自然回帰!原点回帰!
40年間の人生の中で、何度も学びや気づき、そして自己成長のタイミングがやって来ました。
そして、今回のインターンシップ直前には、大きな学びのサイクルが一巡して、人生のフェーズが変わったな〜と感じていました。だからこそ、嫌いで飛び出したはずの日本にまた戻ってくるという大きな決断をしたわけですが・・・、が、が、しかし! いなかパイプのスタッフの皆さんやインターンシップ仲間たちとの共同生活や対話の中で、
「できるようになったと思っていたことが、実はまだできてないじゃーん!」
と気づいてしまいました。
頭ガッツーン!と鈍器で殴られたような。人は奢ると謙虚に学ぶ姿勢を忘れてしまいますが、今回のインターンシップ全体を通して、自分の奢りに気づき、また少し学びの姿勢を取り戻すことができたように思います。
そして、やはり“自分がやりたいこととその気持ち”を大切にすることが幸せに生きる秘訣だとあらためて気づかされました。それは、いなかパイプが“やりたいことをやる”という信念を貫いており、インターンシップの参加者に何度も言葉や態度で問いかけてくれたから。
そして、インターンシップに参加した仲間たちがそれぞれに“自分がやりたいこと”を実行したり見つけようとする姿勢に刺激をもらえたから。私自身は、まだまだ日々の暮らしの中で実践できてはいませんが、そうやって生きることを目標にしたいと思います。
滑床渓谷でティータイム
最後に、「焦らない」ということ。「計画しない」ということ。
競争社会にしがみついてバリバリ働いていると、常にスピードを求められたり、計画を立てて実行することを求められたり。そんなあり方が最善だと思い込み、いつだって脳みそをフル回転させてきました。そのおかげで学べたことや経験できたことはたくさんあります。
きっと、これまでの私の人生には必要だったんでしょう。でも、これからの私の生き方やあり方はちょっと違います。
360度どこを見回しても神秘的で美しい四万十の山々に囲まれ、ウグイスの鳴き声で目を覚まし、暗くなれば今日一日を過ごせたことの充足感で眠りにつく。農家さんが丹精こめて作ったお野菜や地元の猟師さんがお裾分けしてくださる野生のお肉やお魚に“命をいただくことのありがたさ”を感じる。
ここでは流れる時間が違います。
時間をかけてでも思いを込めて一つ一つ手作業で丁寧に行う心のゆとりがあります。自然と共に生きるには“計画はあってないもの”くらいの感覚が人生を楽しむコツのように感じます。
お母さんのお腹の中からオギャーと生まれて来たとき、
「よし、1年後には一人で歩くぞ!スプーンを持てるようになるぞ」
なんて計画はしないけれど、人間本来の力や周りのサポートでいつの間にか成長していきますよね。
この四万十の土地といなかパイプでのインターンシッププログラムは、そんなことを思い出させてくれたように感じます。
Q)これから参加する人や参加を迷っている人へメッセージをお願いします。
いつでもおいで〜!
四万十の田舎へ来てみたら、
「こんなところで、こんな人手不足が起こっているんだ〜!」
「40歳でも若者なんだ〜!」
「おじちゃん、おばちゃんに移住してね〜と歓迎される!」
などなど都会では知ることのできなかった情報が満載でした。
田舎に興味がある人、都会の生活や仕事に違和感がある人、自分の存在価値を確かめたい人、やりたいことを見つけたい人、誰かの役に立ちたい人、これまでと違う経験をしてみたい人、自然が好きな人、自然に触れてゆっくりしたい人、四万十川で遊びたい人、山道を運転したい人、何もない人、現状に満足していない人、などなど、みんな早くここにおいで〜〜〜!!
ちょっとでも何かを変えたいなら、新しい道に半歩でも一歩でも踏み出してみる必要がありますよね。何ごともやってみなければ自分への向き不向きだって分かりません。ならば一度体験してみようじゃないですか!合わなければ途中で帰れば良いし、合えばずっと居たっていいんです。
だから、もし迷っているならぜひ一度訪れてみてください。いなかパイプのインターンシッププログラムは、皆さんの個性を大事に尊重してくれます。だから、ここには多様性がある。日本では結構珍しい環境だと思いますよ。
そうそう、例えば、一般的には企業って
「あなたには何ができますか?」
「あなたには何がありますか?」
って“あるもの”を聞いてジャッジするんです。でもいなかパイプって“ない人”募集なんですよね。これ、世間のいわゆる常識(常識って言葉嫌いだけど!)ってやつの真逆なんです。ちょっと面白くないですか?
これからインターンシップに参加される皆さん、ぜひ四万十の生活&仕事体験を楽しんでくださいね。
今の自分よりもちょっとだけ心をオープンにして参加すると、予想外の面白い体験ができたり、面白い人たちに出会えると思いますよ。